経済・政治・国際

2016年1月16日 (土)

言っちゃいけない事を言ってしまう病

ボーカリストの村松ショータローさんから「フクちゃんは言っちゃいけない事を言いたくなってしまう病で、なおかつ言ってしまう事をサービス精神と勘違いしている」と、極めて適切な分析を最近頂いた。

そうなのだ。私は言っちゃいけない事を言いたくなってしまう病なのだ。

こうやって長年ブログなんて書いていると、ついつい言っちゃいけない事を言ってしまってお叱りを受ける事も度々ある。

もうこの病は多分完治しないので、諦めていこうと思う。

という事で今日も元気にあんまり言っちゃいけない事を言っていこうと思うのだが。

現在の日本の首相に関して、私はどちらかと言えば良い印象を持っていない。

「うん、それには一理あるな」という部分と、「いや、そんな事ねえだろ」という部分が、私の知っている現在の政治に関して言えば3:7か2:8ぐらいで「そんな事ねえだろ」の部分が多い。

ちなみにこれがどっちにしても10:0もしくは0:10の人とはあまり議論をする気が起きない。絶対的な悪や善なんて始めから一つも信じていないから。

勉強不足の部分があるのはわかっている。現在の国際情勢や政治状況を全て把握している訳ではないし、新聞やテレビのニュースなど、言ってみれば「操作された情報環境」からしか情報を得ていない事を考えれば、それは不完全でしかないし、その不完全な中で想像力を働かせたりしながら考えていくしかない、と私は思っている。政治のプロフェッショナルにでもならない限りは。

で、先にも言ったように、私は現在の日本の首相に関してあまり良いとは思っていない。全てが間違っているなどとは思わないが、「もうちょい他にやり方があるんじゃねえかなあ」といった具合だ。

けれど、どうしても納得のいかない部分があって、それは何かと言うと、私と同じく安倍晋三氏の事をあまり良く思っていない人たちに対してだ。

揶揄したり、笑いの種にしてみたり、そういうジョークがたまらなく嫌いだ。本人たちはユーモアのつもりで言っているのだろうが、はっきり言って全然面白くないし、不愉快だ。

「はあ!?こいつ何言ってるの!?バカじゃねえのか!?」と憤るのは良い。けれどそれを上から見下ろしたような格好で揶揄するようなやり方が私は気に食わない。

フランスの新聞社S社がイスラムに関する風刺画を掲載した時にも「これやべえんじゃねえの?本人たちはエスプリかなんかのつもりだろうけれど、面白くねえし」と思っていたが、そこから負の連鎖は今も続いている。結局、揶揄された側の神経を逆なでしただけであるし、それは「表現の自由」という事とはまるで違う、と私は感じている。

日本人の美意識の中で私が憧れるものの一つに「粋」というものがある。私などは頭のてっぺんからつま先まで全て「不粋」で出来ているような人間なのでそれはまだまだ憧れの境地なのであるが、下品な揶揄はやはり粋ではない。

自分と価値観の違う相手と対峙した時に、その相違を揶揄して見下すのではなくて、相手の立場を想像して何とか妥協点というか合意点みたいな所に着地できねえもんかなあと、そんな事を思うのである。

いやね、今日たまたまネットで安倍首相に関するしょーもないジョークを見て「うわ、気持ち悪っ」って思ったからついついこんな言っちゃいけない事、というか言わんでも言いような事を言っている訳です。

安倍首相、私も良いとは思ってないんだけど、そういうものの言い方はねえだろって思って。

あーあ、また余計な事言っちゃった。

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2015年5月13日 (水)

【ご確認下さい】送金致しました



まずは報告。

先月からやっている「ただ募金だけする会」の報告です。

先程銀行に行って、ネパールを支援している団体、「ラブグリーンジャパン」に49607円を振り込んでまいりました。

添付した写真は銀行の振込み明細です。

2〜3万円ぐらい振り込めれば良いかなーと思っておりましたが、その約倍額を振り込む事が出来ました。

ご協力下さった方に心より感謝致します。

昨日も何か地震あったみたいですしね…

そもそも今回の募金は先月のネパールでの地震を受けて、「困った時はお互い様だから何かしねえと!」と私が思ったのは良いものの、自腹で数万円を送ると私の生活がピンチになる、またチャリティイベントなどを企画して金を集めるのも良いが、その企画と運営がめんどくさい、という極めていい加減な理由から、「よし、イベントも何もせずに金だけ送ろう!金だけをくれる人を募ろう!」という思い付きで始まったものでした。

なので「ただ募金だけする会」なのです。

また、「お、フクシマそういう事やって偉いじゃん」と思われた方、ワタクシ完全無欠の偽善者ですから、良いことをして自分が気持ち良くなる為にやっておりますからね、これは慈善活動ではありませんよ、純然たる偽善活動です。エラさのカケラもありません。

とにもかくにも今は金なんですよ。偽善でも慈善でも何でも良いから金になりゃあ良いんですよ。

再来月を目処にもう一回だけこの「ただ募金だけする会」をやります。それで一旦終わりにします。

「そういうのは続ける事に意味があんだろがゴルァ!」とお怒りの方、怒りを静めなさい。

続けてやんなきゃ意味ないし、とか、お金よりも人々の心からの笑顔を、とかそういう事を色々と考えてるから行動が遅くなるんですよ。あんまり深く考えずに他の人が困ってたら出来る事をすりゃあ良いんですよってのが私の考えです。

寝言はいらん。金を送れ。

という訳で「ちゃんとやりましたよ」という報告とあとは私が立て替えてる人たちに「あとからちゃんと金をくれよ」という意味合いで、下記は明細(内訳)です。私にお金を預けてくれた方と、立て替えといてって言った方はご確認下さいませ。なお、お名前はプライバシーを考慮してアバウトな感じにしてある事をご容赦下さい。

~~~~~~~~~~~~~~~~

送金内訳

現金34000円+3607円+フクシマ立替分12000円

【既に現金を頂いた方】
・Uチミヤ社長
・Iワヤマさん
・Mモリさん
・Aのさん×2
・Iワシタさん
・Nムラさん
・Nンさん夫妻×2
・Wタナベさん
・Dコさん
・Yシダさん
・ヒデくん
・みゆきちゃん
・かつこおばさん
・Oチアイマネージャー
・Nギシさん
・村松ショータローさん
・セキ夫妻×2
・Hグチさん
・Yマダさん
・Nカノさん
・Mリモトさん
・Iケウチさん
・フクシマ×2
・Kモリヤくん
・Sカイさん
・Sクマさん
・Oカダさん
以上34000円
・DJ GENさん
3607円(某イベントで集めてくださった分)
以上現金合計37607円

【フクシマ立替分】
・Sガワラさん
・Uツノミヤさん
・Mエさん
・Tカセさん
・Hタケヤマさん
・Nイチさん
・しもさん×2
・Nカモリさん
・Aマガサさん×2
・Aya Suekiさん

以上立替合計12000円

現金37607円+立替12000円=49607円

~~~~~~~~~~~~~~~~

という事でございました!ご協力くださった方、ありがとうございました!

また、名前が漏れているもしくはもう既に払ったのに未払いの所になっていたなどの不備がありましたらご一報下さい。

もう一回だけやりますのでまた懲りずにご協力頂ければ幸いです!

次回は7月2日ぐらいの振込みを目処に考えています。

今必要なのはとにかく金だよ金!

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2015年1月15日 (木)

覚悟のないやつは喧嘩を売ってはいかん

仮にですがね。

読売新聞とか朝日新聞みたいな大手の新聞社が、山○組だとか会津小○会みたいなガチガチのヤ○ザをバカにしまくった記事を一面に載せるとするじゃないですか。「風刺」という名目で。もしくは「表現の自由」という名目で。

すると翌日あたりに当然のように新聞社に報復が来ますわいな。そのザーヤクの方々から。火炎瓶投げ込まれたりだとか、従業員が銃で撃たれたりとかしますよね、何なら。

当たり前っちゃ当たり前ですよね。

だってケンカ売ったんだもん。

散々コケにしといて、いざ相手が「よござんす、この喧嘩、買わせて頂きます」となった瞬間に

「いや、これ全部ジョークだし!ジョークもわかんないの?何マジでキレてんの?」

なんて言われても「知るかアホが」ですよ。

誰かを風刺したり馬鹿にしたり、そういう事をやるなとは思いません。状況においてはそういう事も大事でしょう。

けどね、人を馬鹿にする時には、反撃を受ける所まで想像してから馬鹿にしてね。

そんな事をふと思いました。

おフランスがどうとか、関係ありませ・・・

嘘です。ものごっつ関係あります。

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2014年12月 8日 (月)

選挙に行こうキャンペーン

もうすぐ選挙ですね。

選挙には行きましょう。選挙権のある方々は、必ず。

未成年であったり、或いは在日外国人であったりする方々は選挙権が無くて、そういう方々の中にも「くそっ、選挙行きてえなあ」なんて方もたくさんいらっしゃるワケで、選挙権があるなら選挙にきちんと行きましょうというのが私の考えです。

で、もう一つ、個人的な意見を。

白票はやめましょう。

白票には意味がない。私はそう考えています。

「だって入れたい政治家、政党がないんだもの」と言う方の気持ちがわからなくもない。けれどそれでも白票はダメです。

私は特別な支持政党がある訳ではありません。なので、毎回選挙の度に「うーん、今回はどこに入れっかなー」と悩みます。あ、逆の意味の支持政党というのはあって、ここの党には絶対に票を入れない、という党は一つだけありますがまあそれは置いといて。結構直前まで、何なら投票所でエンピツを持つ辺りまで悩む事が多くて、それでも悩んだ末に何かしらの名前を書いて投票しています。

で、私はこの悩むという行程が大事なんだと思っています。選挙に行くために各政党の意見を見比べる。この行程は「自分に近い意見を選ぶ」という意味以上に、「自分にとっての幸せとは何か」を考える時間なのだと思っています。自分を見つめ直す時間です。

私はこういう社会が人間にとって幸せな社会だという気がする、そんな事を考え直す時間なのではないかな、と。

当然ながら正解は一つでなくて構わなくて、例えば原発の問題に関しても、ああいうものがあると人間は幸せに生きていく事は出来ないと考える人がいる一方で、いやいやあれがあるお陰で人間は幸せに生きているのだと主張する人もいる。色んな意見があって構わない筈です。一つの意見しか許されずにいる社会なんてそれこそイヤだ。

大事なのは「じゃあ幸せってなんだべさ」という話で、悩んでも良いので「オレにとって幸せとはこういう事だ!多分そうなんじゃないかな、そのような気がする」ぐらいの感じで構わないので、そこを自分会議の上で決定する事が大事な気がします。

私の場合は、これまでに幾度となく行われてきた「台風呑み(台風がやって来た時にカッパフル装備で外に出て、暴風雨にさらされつつ缶チューハイなどを呑むという大変風流な遊び)」などの結果から「自然はマジにすごいからこれに逆らって生きてはダメだ。人間が自然を支配してはならない。人間はとにかく自然に寄り添って、そこから頂戴して生きていく方が良い」という、いささか宮崎駿テイストな、もしくは倉本聰テイストなマインドを持っておりますので、そういった観点から今回の選挙でどこに入れるのかを決定しようと思います。

「入れたい政党がない」というのは政治家達にもそりゃあ問題はあるんでしょうが、それ以上に投票者であるその人の意思決定が足りていないのではないか、という気がしています。

という事で一人「選挙に行こうキャンペーン」でした。

選挙に行こう。

ほんで白票はやめよう。

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2014年8月11日 (月)

アイドルグループを見て安倍首相の事を考えた

先日の秋葉原ライブ。私がご一緒した佐久弥レイさんのステージが終わった後に、「アリス十番」というアイドルユニットのライブがあった。出番を終えたのでステージ脇でそれを見ていたのだが、結構夢中で見てしまった。

と言ってもステージはほとんど見ていない。客席に夢中だった。客席にいるお客さん達に目を奪われた。

そのアイドルユニットのファンの方々が、大きな声援を送り、同じような動きで応援の踊りをする。

「あ、こりゃ楽しいワケだわ」と思った。

全く似たような光景を私はよく知っている。我らが広島カープの応援だ。

大声で応援歌を歌い、全力でスクワットをする。点が入れば狂喜乱舞。いつも私は試合を見に行った翌日は声が枯れている。

これが楽しいのだ。一緒に試合に参加しているかのような感覚。そして実際に身体を動かしている感覚。「ああ、アイドルの応援っつうのは広島カープの応援と同じなのね。そりゃ楽しいワケだわ」と思った。好きな対象がアイドルグループとプロ野球チームという違いがあるだけで、本質的には同じだ。

無意識下にちょっと苦手意識があったアイドルとそのファンであったが、「何だオレと一緒か」と思った瞬間にぐっと親近感が湧いた。

さて、それと同一に考えて良いのかはわからないのだが。

話題は変わって。

広島と長崎の平和祈念式典における安倍首相のスピーチがコピペスピーチだったとニュースで報じられ、「何だかなあ」と加藤あい、もとい阿藤海よろしく首をかしげてしまう。

先日の集団自衛権の問題や原発に関する態度も含めて、今の所私個人は安倍首相を支持したくなる要因がまるで無い。「早く辞めてくれねえかなあ」というのが正直な所だ。今の所。

ただここで一つ思う所があって、(選挙における投票率の低さを考慮に入れなければ)現状では自民党が最も国民の支持を多く集めている政党であり、安倍首相は間違いなくその自民党の中から選ばれている、という点だ。言い換えれば「選挙の結果きちんと我々が選んだ首相」なのだ。

私は自民党には票を入れてはいないのだが、それはこの場合関係無い。やはり「私(達)が選んだ」という事には変わりが無い。

そうやって考えた時に、やはり安倍首相にも自民党にも支持されるに相当する理由がある、と考えるのが妥当だ。しかも「ごくごく小数の」人が安倍首相や自民党を支持している訳ではなくて、「かなり多数の、おそらく過半数の」人々が支持している。

冷静に考えて、全方向的に間違っている政策や政党をそこまで多くの人々が支持するとは考えづらい。

という事は、私が「は!?オマエ、アホと違うか!?」と思った集団自衛権の問題についてもメリットとデメリットが共に存在するのだ。確実に。

自覚があるが、私はまあまあ左寄りである。この右だの左だのいうのも全然好きではないが、仕方ない、どちらかと言えば私は左寄りだ。そうなった時に、どうしてもいけない傾向があって、右寄り或いは保守寄りの意見が情報として少なくなりがちで、どうしても左寄りの情報を多く収集してしまう。その方が自分が精神的にラクだからだ。

それはあまり良い事ではない。右の立場の意見も左の立場の意見も聞かなくてはならない。私などは少し意識的に保守派の意見を多めに聞くべきだと思う。

安倍首相の良い所はどういう所なのか。日米同盟のメリットは。集団自衛権の行使を容認する事でどんな良い事があるのか。

左寄りの意見はほっといてもある程度集まってくる。けれどそれだけではいけないのだ。

以前、右翼団体「一水会」のトップである鈴木邦男氏の言論を読んだ時に、「あれ、結構共感出来る所が多いぞ?」なんて思った事がある。アイドルグループの応援を見た時に、あれ、これって広島の応援と一緒じゃね?と思ったぐらいには。

自分の意見を強化してくれる、自分に気持ちの良い情報ばかりを集めていてはダメなのだ。自分と異なる、相反する立場の人間の見解や意見を情報として集めなくてはならない。極端に言えば赤旗新聞と聖教新聞を同時に読むくらいの心持ちが必要なのではないだろうか。

昔、大学生の時にアメリカ文学のK先生が「私がアメリカという国家について好きか嫌いかという事を聞かれたらものすごく迷うが、迷った末に多分好きだと答えると思う」と言っていた事を思い出した。それは自分にとっての良い情報と悪い情報をなるべくたくさん集めたからこその言葉なのではないだろうか。

ちなみに私もその質問には迷うが、迷った末に「アメリカは嫌いだ、多分」と言うと思う。

安倍首相を本当に引きずり降ろしたかったら、安倍首相を支持している人たちの意見を真摯に、そしてなるべく偏見無く耳を傾けるべきだと、そんな事を思った。

アイドルグループの応援を見ながら。

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2011年9月16日 (金)

金の話

「お金の話するの、ちょっと下品だ、ぐらいに思ってるでしょ?」と、昨日かみさんから言われた事と全く同じ事を違う人から言われた。

確かにそうなのだ。金の話でこじれると「じゃあいらねえよ!」と言ってしまうのは本当に悪い癖で、細かい金の話をするのが多分に苦手だ。というよりも、指摘の通りどこかで「下品だ」と思っている。

しかし実際には私たちは金を介在させながら仕事をしているし、その話無しに「仕事」は成り立たない。

確かに良くない所。

少しずつ直していこう。

少しずつね。

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2011年8月 6日 (土)

原爆投下の日

8月6日。

ちょうど66年前に、広島に原子爆弾が投下された日である。

原爆の持つ残忍な破壊力というのは今更語るまでもないだろう。多くの人達が無慈悲に殺された。

その後、長崎にも原爆が落とされたのは周知の事実だが、今また、原発問題によって多くの人々がいわれの無い差別の目に晒されている。そう、福島県を中心とする人々の事だ。

広島や長崎の人々が、原爆投下後にいわれの無い差別を受けた構図と一緒だ。被曝者の尊厳が無惨に蹂躙されている。

痛ましい原爆投下や原発事故、これらが何故起こってしまったのか、原因を究明して対策を練る事は当然必要だ。そしてそれと同様に、「既に被害を受けてしまった方達」に対して少しでも力になる事もまた、我々「さしたる被害を受けなかった者達」に求められている事ではないのだろうか。

まずは、放射能の被害について学ぶ事、それは恐らく必須だろう。

我々がすべきは、被曝者を遠ざける事ではない。

広島の原爆投下の日に、そんな事を思った。

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2010年6月 7日 (月)

もうすぐ南アフリカW杯

午前中にレッスンを一つだけ。午後からは意図的にだらだらと過ごす。

昼飯にお気に入りのラーメン屋にラーメンを食べに行ったり、随分と暑かったので少し汗をかきながらの昼寝をしたり。

起きてから近所のスーパーへ。牛のスネ肉を買ってきて、ビーフシチューを作る。買ってきた段階ではまだまだ肉が硬い。大量の玉ネギと赤ワインと共にひたすらに煮込む。

大して高級でもない食材を、こうして時間をかけて柔らかく美味くしている時に、「物事には時間が解決してくれる、という事も往々にしてある」といつも思う。生まれ持った素材が全てではない。時間や調理で食材は変わる。人間も然り。

さて、シチューを煮込んでいる傍らで時間潰しに少しコラムを。

間もなく開催されるサッカーW杯にまつわる話を少し。

今回のサッカーのW杯は、ご存知のように南アフリカで開催される。ちなみにこの南アフリカ共和国、数年前から私の個人的な「行ってみたい国ベスト3」の第一位だ。とても興味を持っている。私はジャズなんていう音楽を生業にしておきながら、アメリカ合衆国への憧れは強くない。アフリカという土地に、強烈に興味をそそられる。あ、あとはもちろんインドも。

そういった個人的な興味、という事もあって、私は数年前から南アフリカ共和国の事については自分なりに勉強をしてきた。今でも南アフリカ関連の書籍などを目にすると、ついつい手が止まってしまう。

昨日、ちょっとした用事で新宿の辺りをうろついていた時のことだが、私の目に、元南アフリカ大統領のネルソン・マンデラ氏の写真が飛び込んできた。

「お、マンデラ」と私は思った。それは雑誌「The Big Issue」の表紙だった。隔週で刊行されているこの雑誌であるが、今号は南アフリカの特集であったのだ。

ちなみにこの「The Big Issue」、ご存知の方も多いかも知れないが、ホームレスが販売員をしている。300円の代金を彼らに支払うと、その内160円が彼ら販売員の収入になる、という仕組みだ。私はその仕組みも大分気に入っているし、何となくホームレスに話しかけたい時などに、そのきっかけとしてこの雑誌をよく買う。とても良い雑誌だと思う。

今号の「The Big Issue」の南アフリカ特集も良かった。
・マンデラの描いた南アフリカ社会と今
・「真実和解委員会」について
・南アフリカで長年の支援を続ける津山直子さんの話
と三つの側面から南アフリカを特集していたが、どれも丁寧な取材と独特の切り口で、読んでいても退屈しない、とても面白い特集であった。まだ暫くは今号も販売している筈なので、皆様にもお勧めしておく。

さて、テレビに目を移してみても、サッカーW杯が間近に控えている事もあって、テレビ各局が南アフリカ共和国についていくつかの特集を組んでいる。

正直に言って、これらの殆どが、酷い。ものすごく酷い。

「マスゴミ」などという言葉を使って安易にマスコミ批判を繰り広げるのは大嫌いだ。「マスゴミが、マスゴミが…」などと一生懸命になって批判している輩を見ると、「あ、バカなんだな」と思う。大抵の場合、驚くほど話が幼稚だ。

しかし、それにしてもテレビ各局で報道されている南アフリカの報道はあまりにも酷い。

似たような感覚を以前味わった事がある。2001年の「9・11」の時のイスラム諸国に対する報道だ。安易な二元論で「イスラム=悪」の図式を作り上げる報道姿勢に吐き気すらもよおした。

何が酷いのか、と言えば、それは「あまりにも南アフリカの治安の悪さばかりがクローズアップされている」という事だ。

確かに南アフリカの治安は決して良くはないと聞く。しかし、その治安に至るまでの経緯、またその背景についての報道があまりにも少な過ぎる。

また、それとは別に南アフリカには独自の素晴らしい文化がいくつもあるのだ。音楽も然り。私が心から尊敬するピアニスト、Abdullah Ibrahim氏も南アフリカが生んだ音楽家だ。そういった、南アフリカの素晴らしい面の報道はいつになったらなされるのだろう。

一昔前の歌謡曲の歌詞で、「外国で飛行機が落ちたが、ニュースキャスターは『被害者に日本人はいませんでした』と嬉しそうに言った」というようなものがあった。日本人たちはどこまで自分たちの身の安全を確保する事に必死なのだろう。

南アフリカは危険な国です。だからなるべく近寄らないようにしましょう。W杯を見に行く時にも万全の警戒をして行きましょう。

何だかそんな事を言っているようにも聞こえてくるのだ。

南アフリカは複雑な歴史を持ってはいるが、奥深い、大変に素晴らしい国だ。折角のW杯、南アフリカを身近に感じる機会だ。テレビの報道にあるような「治安の悪い国」としてだけの側面ばかりでなく、深遠なる南アフリカの文化に触れて頂きたい。そんな事を切に願う。

そういう意味では、今週の「The Big Issue」は、大変に良い。と私は思う。

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2010年2月23日 (火)

「年齢×1000円」という嘘

財布の中に入っている金額は、年齢×1000円が適切だという話をどこかで聞いた事がある。

昨日は近所に住む友人のヤマと遊んでいたのだが、夕方に落ち合って二人の所持金を合わせてみた所、何と驚愕の二千円以下。私が千円強、ヤマが千円弱の所持金。「年齢×1000円」の公式に当てはめて考えると私たちはまだ一歳かそこいら、まだ親父の膝の上でうんこを漏らしたり漏らさなかったりという事を生業とする、所謂「赤ちゃん」と呼ばれる生き物に属してしまう事となる。

もはや二人とも30歳だと言うのに…

いやしかし、財布の中に三万円も入っている事なんてほとんど無いぞ?「年齢×1000円」の公式はちょっとおかしくないか?

それはまあ良い。

「持たざる者」である私達は知恵を絞った。どうしたら今日を楽しく過ごせるだろうか、と。

まず最初に挙がった案は、「自販機巡り」であった。小岩中の自販機を巡り、釣り銭口に手を突っ込む。また、自販機の下にある不思議なスペースを細めの棒で掻き出す事で、知らず知らずの内に私達は「持たざる者」から「持っておる者」へと変貌を遂げる、そういった魅惑のプランである。

結論から先に言えば私達はその「自販機成り上がり大作戦」を実行には移さなかった。我々ほど賢明な者ともなれば容易に想像する事が出来るのだが、その作戦を実行する為にはプライド、つまり矜持を地よりも下へと落とさなくてはならない。

想像してほしい。30歳にもなる男が二人して地べたに顔を近付けて、「オイ!奥の方光ってるって!あれぜってー銀色の金だって!」などとはしゃいでいる光景を。

私がその光景の目撃者ならば、音よりも速く携帯電話を取り出した後、光よりも速く1と1と0をプッシュする。もっと分かり易く言えば、通報する。

諸々の事情を勘案し、我々はそれを実行に移さなかった。何と賢明なのか。ついつい自讃してしまう。

次にヤマが言い出した一言は、驚愕の一言であった。

曰わく、「オレの部屋に眠っている…っ!財産が…眠っている…っ!」

ざわ…ざわ…ざわ…

我々はざわついた。

その事実を思い出したヤマの顔には、いささかの狂喜の色が見て取れた。悪魔的閃き。まさに僥倖。

私は訊いた。「い…いかほど…?」

ヤマは答えた。「一山…っ!」と。

どうやら嘗てヤマが戯れにやっていた500円玉貯金、その貯金箱が部屋に残っているはずだと言うのだ。

おそらくは500円玉が四枚、計2000円は貯金箱に入っているだろうとの事であった。

2000円。現在の貨幣価値に換算すれば、凡そ国が一国買える金額である。つまり「王になれる金額」、それが2000円という金額であるのだ。

私達は逸る心を抑えつつ、ヤマの家へと向かった。

ヤマは自らの部屋へ刹那消えたかと思うと、やおら神妙な面持ちで踵を返して来た。

「これだ…持って…持って来たぞ…っ!」

ごくり。私は自らが唾を呑むその音が奇妙なほど鮮明に聞こえたのを覚えている。

ヤマが手に持つその貯金箱には、「10万円貯まる貯金箱」と書いてあった。貯まるかっつうのそんなもん、とは思いつつも、貯金箱を振ってみると、中で大粒のコインが揺れる音が聞こえる。

「入っておるのう…」

「うむ、入っておるのう…」

そんな事を呟いて、我々は貯金箱を破壊しにかかった。

文明の利器を熟知した「The近代人」でお馴染みの我々が選んだ手段は、「足で踏んで破壊」、これである。

何も足さない、何も引かない。シンプル・イズ・ザ・ベスト。そんな格言を私達は知っていたのだ。

まず手始めにヤマが踏む。

グシャァッ!という鈍い音と共に中から大判小判がザックザク…

と思いきや…

何も出て来ない。

それどころか、貯金箱は鉄塊へと化け、中に入った500円玉を強固に自らの中へ閉じ込めた。

まずい…っ!まずいぞ…っ!

私が逆方向から踏んでみる。

鉄塊は形を変えた別の鉄塊に変化しただけで、中から500円玉は微塵も姿を現さない。

そこに一筋の光明。

我々は気付いたのである。

「コレさぁ、手でこまめにギコギコ曲げて、真っ二つにしたら良くね?」と。

そう、大きくホームランを狙うのではなく、小さく持ってコツコツ当てる。野球も人生も、同じ事なのだ。

電信柱の灯りの下で、平らな鉄塊になってしまった貯金箱を手でギコギコ曲げる30歳の男を二人想像してほしい。

頼むから殺してやってくれ。

格闘する事凡そ30分。我々は予想通りの四枚の500円玉を中から取り出すことに成功した。

500円玉が四枚。計2000円。現在の貨幣価値に換算すれば、星が丸ごと一つ買える金額である。

我々はその金を持ってホクホク顔でまずはパチンコ屋に向かった。

最早負ける気がしなかった。

800円ずつ負けたが。

若干意気消沈した所で、チューハイが一杯150円の立ち呑み屋へと向かった。

テレビでクイズ番組の「Qさま」を見ながらチューハイをかっくらった。「伊集院先生は賢いよなあ」「すげえなあ」そんな事を呟きながら。

「金もなくなったし帰りますか」どちらからと言う訳でもなくそんな事を言い始めたのが夜の10時頃。

思いの外我々は一日を楽しんで過ごしていた事に気が付いた。

人間、金は無くともそれなりに楽しく過ごせる、というのがこのエピソードからの教訓である。

あと、もう一つの教訓は、「貯金箱を破壊するときは、缶切りなどの道具を使うのが確実」、これだ。

読者諸氏も肝に銘じておいてほしい。

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2010年1月26日 (火)

現代経済を生き抜く私

「江戸っ子は宵越しの銭は持たない」

などとはよく言うが、こうして言えば響きこそ良いものの、実際の所は経済観念がパーフェクトに欠如したダメ人間である。

東京生まれ、ヒップホップ育ち、じゃなかった、東京育ち。いわゆる「江戸っ子」である私は(厳密には違うけれど)、ご多分に漏れず経済観念がミジンコほどしか無い。

月収が6兆円あることも手伝って、私は金があればあるだけ使ってしまう悪癖がある。昨日もヤマと二人で五億円使った。それも「肉豆腐:250円、マグロ刺:300円、チューハイ:150円」の店でだ。店ごと買いかねない勢いであった。

このように金はあればあるだけ使ってしまう自らの悪癖を熟知している私は、最近ではライブのギャラやレッスンの月謝など、収入があれば逐一「ナミコ信用金庫」という所に預ける事にしている。

この「ナミコ信用金庫(通称:NFJ)」、実に細緻かつ最先端の方法で金を管理してある。まさに現代経済の技術の結晶がそこにある。

私が奈美子という「NFJ」の会長に金を預ける。すると即座に会長である奈美子はその辺にある紙に殴り書きで「入金・5000円」などと書き、私から預かった金を箪笥に無造作に放り込む、といった塩梅だ。

まさに完全無比、鉄壁のセキュリティーである。この経済における「ナミコ・メソッド」は、現代経済に大きな影響を与えたとか与えないとか。マルクスの「資本論」が20世紀に最も影響を与えた経済書であった事は周知の事実であるが、21世紀はこの「ナミコ・メソッド」である。この間ビルゲイツが奈美子の元を勉強に訪れたらしい。嘘だと思うだろうが信じてほしい。私は嘘をつく時以外はいつも本当の事しか言わない。

そうした「ナミコ・メソッド」に基づいた「NFJ」であるが、唯一の欠陥がある。

「マジに金が必要な際に、私が直接奈美子の所まで金を貰いに行かねばならぬ」という点だ。

今週末にちょっとした用事で関西に行かなくてはならない私は、只今高速バスのチケットを買う為の金を持っていない。

ゆえに奈美子に金を貰わなくてはならない。

という事で電車を乗り継いで奈美子の所へ向かっている。

便利なのだか不便なのだかわからぬ「NFJ」である。

追記:コメント返すの遅くなっています。しばしお待ちを。

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