ここ数日、インターネット界隈で「大阪南港ストリートピアノ問題」というのが話題に上がっている。
大まかなことの経緯はこちらを見てほしい。
炎上ストリートピアノ撤去へ 発端アカウントが謝罪「呼称の認識を誤っておりました」
ここに多くの著名人が賛否両論の意見をぶつけたことも「炎上騒動」に拍車をかけた。
私はと言えば咄嗟にTwitterに投稿してしまったのはこんな意見だ。

プロのピアニストの中でも最底辺のレベルを20年に渡って生き抜いてきたポンコツの悲痛な叫びである。だって練習しても練習してもミスするんだもん。ちなみに最後の一行はもちろん中島みゆき先生へのリスペクトとオマージュを交えた一行だ。
とまあ、私のポンコツぶりは一旦置いておくとしても、この問題に関して咄嗟に違和感を覚えたのは間違いない。「なんかヤダな」という違和感である。それはもちろん「聴くに堪えない音楽を聴かせられるのは苦痛である」という意見に対する違和感だ。
今日の移動の電車の中でこの違和感について考えてみたら、少しずつその違和感の正体が明らかになってきた。
おそらくこの違和感の根っこにあるのは、私の中にある「他人に迷惑をかける(orかけられる)」ということに対する価値観だ。
結論から言えば、私は他人から迷惑をかけられることに対してたまに腹を立てることもあるけれど、基本的には非常に鷹揚(というか大雑把)だ。なぜならば私も常日頃から他人に迷惑をかけながら生きているからだ。「ま、おれもしょっちゅう人に迷惑をかけまくってるし、人から少し迷惑をかけられたぐらいは気にせずにいこう」というスタンスなのだ。
もちろん私も出来ることならば他人に迷惑をかけずに生きていきたいという気持ちはあるし、その為に精一杯努力もする。しかし私ぐらいのレベルの無能くんともなるとそれでも人に迷惑をかけまくってしまうのだ。気を付けてるのに。それなのに。なんでこんなに無能なんだ。
その度に不快な顔を向けられたり、あるいは人が私から離れていったりすることもある一方で、「まあしゃーない!次頑張ろう!」と許してくれる方もいる。そういう人に助けられながら生きている。なので私がごくたまに他人から迷惑をかけられた時にも同様に「ノープロブレムでドントウォーリーだ」と構えておきたいという気持ちは強い。もちろん怒る時も無くは無いのだけれど。
そしてさらに言うと、非常に個人的で自分本位な意見ではあるが私は世界全体が「そういう世界」であればいいなとも思っている。
迷惑をかけないようなパーフェクトな人間ばかりを目指さない世界、自分も迷惑をかけながら生きていると自覚する世界、迷惑をかけられても「まあ大したことじゃねえよ」と言える世界、である。
こういった価値観が原因となって、今回のストリートピアノ騒動に対して「なんかヤダだ」という違和感が生じたのではないだろうかと私は考えている。
実を言うと「拙い音楽を聴くのは苦痛だ」という意見に関しては完全にわからないわけでもない。私の場合は「拙い」よりは「過度に饒舌な」音楽が苦手なのだが。そういうのを聴いているとどよーんと暗い気持ちになったりもするし、苦痛まではいかないにしても少々苦しくなる。なので出来ることならば聴きたくない。極力そのような場に行くことを避ける。
ただしその一方で「そういうのが好きな人もいるしそれはそれで良いじゃん」とも思っている。私が好きなものを他の人が好きである必要はないのと同様に、私が苦手なものを他人も苦手と感じてもらわなくて良い。というか、そういう世界は私が願う世界とは真逆の世界だ。私は私でありたいし、あなたはあなたであってほしいというのが私の願う世界だ。
だからおそらく「拙い演奏を聴かせられる方の身にもなってください、それは『苦音』です」という意見に違和感を感じた。ひょっとしたらその拙いながらも懸命な演奏に心を打たれる人もいるかもしれないじゃん。そんなに迷惑迷惑言うなよ。おれなんか人に迷惑かけっぱなしの人生だよ、といった感じに。
私は今も大してピアノは上手くないし、昔は笑えるぐらいにヘタクソだった。けれどそれを職業として選び、毎日少しずつだけれど積み重ねている。それに対する自負も多少はある。何なら私の音楽を愛してくれる人の存在(そんなにたくさんいるわけじゃないけど)も認識している。そして音楽やピアノというものが私の人生の大部分(あるいはほぼ全て)を占めるものであるという自覚は確かにあるのだ。
多分自分にとって音楽というものが非常に重要であるからこそ、今回のこの問題に関しては少々敏感に反応してしまった。
現時点で私がはっきりと言えるのは「他人から何言われたって自分がやりたいんだったらやりゃあいいんだよ」ということだ。あなたの「表現したい」という気持ちを阻むことが出来るのは決して他人ではない。自分だけだ。
今日の演奏動画。
堀込泰行さんの作曲した「キリンジ」の『エイリアンズ』をソロピアノで弾いてみました。リードシート(譜面)も添えてあります。
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