一つ一つ階段を昇る喜び
オリンピック選手を多数輩出するような柔道の道場のことを素直に「すごいな」と思う一方で、道場の役割というのはオリンピック選手を育てることだけではないとも思う。
柔道の鍛錬を通じて門下生の人生が豊かになったり、指導者が指導を通じて柔の道をより深く理解できるのであれば、それはそれでオリンピック選手を輩出することと遜色ないぐらいに素晴らしいことであると思っている。
そういった考えは自分のピアノ稼業についても同じようなところがある。私は町の小さな音楽教室のピアノ教師として何年もやっている。自分なりに少しでも良い音楽教育を追求したい気持ちもあるし、それを通じて生徒の生活が少しでも豊かになれば良いし私の音楽道に対する理解も少しでも深まれば良いと思っている。そういうところで通じる部分がある。
もちろん優れたミュージシャンを育成することに対してもかなりの責任感がある。その為には本当に心血を注がなくてはならないが、さっきも言ったようにそれが全てではない。
色んなレベルの人が色んなスタンスで音楽道に精進することをサポートする役目も当然あると思っている。
今日の昼のレッスンで、三連というリズムを取るのに少々苦戦していた生徒さんが、本人の根気強い努力と根性でそのリズムをかなり会得してくれた。そのせいでその人の音楽が俄然生き生きと躍動し始めた。
ものすごく嬉しかった。そういった喜びは、何にも代え難い。
芸事は一気に階段飛ばしでは上達しない。けれど、一つ一つ階段を昇っていくのはやはりとても面白い。
今日の演奏動画。
John LewisとDizzy Gillespieの作曲した『Two Bass Hit』をソロピアノで弾いてみました。リードシート(譜面)も添えてあります。
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