「餃子の」王将
午前中に一つだけレッスンをして、その後にも色々とやらなくてはならないことがあったのだが、どうにも気が乗らずにとりあえず昼めしを食べに街に出た。
今日は妙に餃子が食べたい気分だったので餃子の王将へ行った。
実に美味い。数ある餃子の中でも餃子の王将の餃子はトップクラスに好きだ。
実は学生時代に1年か2年かは忘れたが餃子の王将でアルバイトをしていたことがある。京都山科東インター店である。大学の柔道部の先輩の紹介で働き始めた。
これまでにどんなバイトをしても必ず「無能くん」の名をほしいままにする私であるが、当然王将でも餃子の王将ホールディングス全店を見回しても比類なきほどに「無能くん」の称号を手にした。
様々なことで怒られたが、一番印象に残っているのは餃子にまつわる失敗談だ。
私は餃子を焼いていたのだが、何か考えごとをしていたのかぼーっとしていたのかは忘れたが、気がつくと餃子がよく焼け過ぎていた。
焼き目を強めにつけた餃子のことを「よく焼き」と呼ぶが、よく焼きと黒焦げと焼死体の中間ぐらいの焼きばえだった。控え目に言って丸焦げだった。
どうすっかなーと思案した私だったが、そういえば…とインドにいた時のことを思い出した。
インドの山奥にある食堂に行った時に焼きそばを注文したのだが、出て来た焼きそばはなかなかにデンジャラスなスメルを放ちつつ、大量にハエがたかっていた。
「こんなもん食えるわけねえだろ!」と私が声を荒げると、インド人の店員は「お前は何を言ってるんだ?これが普通だ、黙って食え」と微塵も悪びれる様子もなく私のクレームを切って捨てた。
たかるハエを手で避けつつ食べるデンジャラススメルの焼きそばは、間違いなくこれまでに食べた焼きそばの中でもぶっちぎりのマズさだった。何の罰ゲームだよこれは、と思った。
あんな焼きそばでもインド人は悪びれずに出してくる。ということは、私が焼きすぎてしまった餃子も悪びれずに出せば何とかなる。あの焼きそばに比べたら遥かにマシだ。
そう思って私は丸焦げの餃子をそのまま客に出したのだが、もちろん光よりも速くクレームがきた。当たり前である。
そして私は社員である料理長のオッサンに首根っこを掴まえられるような格好で店の裏に連れて行かれた。
「お前、何考えてんだ!ふざけんな!」
「すみません、いけるかと思って…」
「いけるわけねえだろ!!!!」
「すみません…」
「ここは何の王将だ!?おい!何の王将か言ってみろ!!!!」
「餃子の…王将です…」
「餃子の王将があんな餃子出して良いわけがねーだろ!!!!ふざけんなお前!!!!」
「はい…ごめんなさい…」
どう考えても社員のオッサンが正しい。私が悪い。いや、むしろインドが悪い。
これ以降私は二度と餃子を焼かせてもらえることはなかった。
若かりし頃の苦い思い出の一つである。
今日食べた餃子は実に見事な焼き加減で、良かったおれのようなポンコツがこのお店で働いていなくて、と思った。
今日の演奏動画。
Paul Desmondの作曲した『El Prince』をソロピアノで弾いてみました。リードシート(譜面)も添えてあります。
| 固定リンク



コメント