「セルフハイボール」のレシピ
学生時代にラウンジバーというところでアルバイトをしたことがある。
当時私は京都で大学生をしていたのだが、京都には「祇園」という東京でいうところの銀座にあたるような高級飲み屋街があって、そこのラウンジバーでアルバイトをした。マスター夫妻が生演奏を提供し、その合間にバイトが酒を出すというような店だった。
大学の先輩で今でもたまに一緒に魚釣りに行くほどに仲の良い高瀬さんという先輩が先にそこで働いており「一人バイトに欠員が出るからフクシマお前バイトするか?」と聞かれて「やりますやります」と言って働かせてもらった。
その時のバイトぶりについては以前このブログに少し書いたことがあるが、週6日の営業期間を私と高瀬さんとKさんという3人で二日ずつ回しており、Kさんの仕事の評価は「丁寧だけれど少し仕事が遅い」であり高瀬さんの評価は「仕事は早いが少しザツ」であり私の評価は「めちゃくちゃ仕事が遅い上にめちゃくちゃ仕事がザツ。なお態度も悪い」であった。完膚なきまでにダメなバイトであった。
私は若い頃に色んなバイトを経験したことがあるが、そのどこにおいても完全無欠の「出来なさ杉くん」の認定をもらっており、常に自らの無能さに打ちひしがれながら「資本主義が全て悪い!能力主義で世の中が回っていったらおれのような無能はどうやって生きていけば良いんだ!資本主義を打倒して破壊するしかない!」という極論に走っていた。
話が少々脱線した。
ラウンジバーでの仕事は酒を作ることや掃除をすることなどであったのだが、私は酒を作るのも掃除をするのもめっぽう苦手であった。
今でも上手に酒を作れないし、綺麗に掃除が出来ない。
そんな私が唯一得意なカクテル作りが「セルフハイボール」である。
ノーマルのハイボールは上手に作れない。セルフハイボールのみが上手に作れる。
作り方は簡単だ。以下、箇条書きにてセルフハイボールのレシピを紹介する。
・ウイスキーの瓶を片手に持ち蓋を開け、じかに口をつけて口の中にウイスキーを少し含む。なおこの時にウイスキーは飲み込まない。
・口の中にウイスキーを含んだままウイスキーの瓶の蓋を閉め、その瓶を一度傍らに置いたら炭酸水のペットボトルを取り出してこれもじかに口をつけてウイスキーの約3倍ほどの量を口の中に含む。
・口の中で二、三度ウイスキーと炭酸水を混ぜ合わせたらそのまま飲み込む。
これがセルフハイボールである。
酒を作ることが非常に苦手である私が唯一作れるカクテルのレシピである。
普通に美味いしグラスなどを洗う必要がない(そもそもグラスが必要ない)ので大変優れたカクテルであるのだが、人前でこれをやってしまうと生ゴミを見るような蔑んだ冷たい目で見られるのであまりオススメはしない。
昨日久しぶりに路上でこのセルフハイボールをやっていたら楽しくなったので今日はこのカクテルについて書いた。
おれを筆頭にしたどんなゴミくず人間にも生きていく権利があるんだよっ!
今日の演奏動画。
Irving Berlinの作曲した『The Song Is Ended』をソロピアノで弾いてみました。リードシート(譜面)も添えてあります。
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コメント
声出して笑った!一日の終わりに、ありがと。
投稿: kayo | 2024年7月22日 (月) 21時22分
kayoさんへ
ありがとうございます!文章を褒められるの、すごく嬉しいんですけど、その中でも「笑った」って言われるのが一番嬉しいです!
やったぜ!笑わせたった!
投稿: 福島剛 | 2024年7月23日 (火) 18時28分