先日、ネットの記事で「現在の人々の苦しい暮らし」みたいな内容の記事を読んだ。
率直に言って私も現在の日本は徐々に、そして確実に貧しくなってきていると思う。
20年以上前(1999年から2001年ぐらい)に海外を訪れた時には「まだ日本は経済的に豊かな国なのだな」という実感を持った。私が行ったのはアジアの国々ではあったけれど、そんなに多くない金で長期間の滞在が出来たし、海外に関しては「日本よりも物価が安いんだな」と思うことは少なくなかった。
けれど今では日本は「安い国」になっている。日本に行ったら安い金額で色んなものが買えるし食べられる、安い金額で滞在できる。そう考えて多くの外国人が日本を訪れている。
外国人が日本にたくさんやってくること自体は私はそんなに悪いことだとは思っていないのだけれど、日本が貧しくなり「安い国」になっていくのはいかがなものかなと思う。
それはおそらく多くの原因は政治にあるのだと思う。
政治に関して私はそこまで明るい方ではないのだが、富裕層を優遇するような税制を敷いて若者たちの暮らしを圧迫していった結果として少子化が進み、日本の国力はどんどんと右肩下がりになっていっているのかも知れない。
どうするのが良いのかはわからないけれども、少なくとも「今のままではヤバい」という気持ちはあるので、毎回選挙には行くようにしている。なかなか世の中は良い方向には進まないけれど、それでも政治や経済に多少なりとも興味を持って社会に参画していくことを諦める気持ちはない。
閑話休題。冒頭に書いた最近読んだ記事のことについて。
今の貧窮する社会の中ではこのような貧乏生活しか送ることが出来ないということがその記事には書いてあった。そしてその取材を受けた誰かが絶望している様子も。
ここに関しては私は「はて?」と思ってしまったのだ。
その記事に書いてあった貧乏生活は、私よりも幾分裕福だったからだ。
昼飯は金が無いのでパンを二つ食べて飢えを凌ぐという部分や、以前は月に一度行けていた美容院にももう3か月に一度しか行けないという部分については「おれよりマシじゃねえか」と思った。私は金が無ければ昼飯は食べないし、髪を切るのは行きつけの1300円カット(私は「カリスマ美容室」と呼んでいる)に4か月に一度行くか行かないかだ。そこに書かれている「誰かの貧しい生活」よりも私の実生活の方がまだまだ貧しかった。
もちろんここで「そんなのは全然貧乏でも何でもない。もっと耐えるんだ!」などと言うつもりは毛頭ない。政治に由来する生活の困窮については大いに不満の声を上げて良いと思っている。ふざけんな!という声を上げていかなくては社会は何も変わっていかない。
私がその記事に違和感を覚えたのは、「だがおれに絶望を強いるなよ」という気持ちがあるからだ。
私は音楽家などという不毛な職業をしている上に全然売れてもいないので、生活は決して裕福ではない。だが、ちっとも絶望していないのだ。
金が無いならば無いなりに毎日楽しく過ごしている。
大好きな音楽と柔道に毎日打ち込みながら楽しく過ごしている。
そんな私に「お前も貧乏なんだからもっと絶望しなさい!」と言われても、やなこったと言う以外にない。だって全然絶望していないんだもの。
高校生の頃に学校で「将来の進路を考えなさい」と言われても、自分が真っ当に働いている未来が全く想像できなかった。かなりの高確率でおれはホームレスになる。そして野垂れ死ぬ。本当にそう思っていた。
その予感は20代前半に更に強固になった。どんなアルバイトをしてもあまりの無能さゆえにすぐにクビになるし、そもそも「働きたい」という意欲が皆無だった。
その時の方が遥かに絶望していた。おれはどうなってしまうんだろうと思っていた。
それに比べると今は屋根のある家に暮らしているし、子供はいないけれど家族はいる。全然しっかりしていないけれど音楽家として辛うじて生活しているし、激弱いけれど柔道の修行も出来ている。毎日好きなことばかりをして遊んで生きているのだ。
ということで今の日本社会については私も大いに不満はあるが、かと言って現在の自分の生活に絶望しているかと言われれば全く絶望していない。
多分こういうのって優先順位の問題なんだろうなと思う。
私は音楽が出来て柔道が出来ればそれでかなり満足だし、それ以外のことの優先度がめちゃくちゃ低いせいだ。
とは言え、金はもらえるんならばもっともらっても構わない。このブログを書いている今現在、4か月ぶりのピアノの調律をしてもらっているが、できれば2か月に一回は調律をしてもらいたい。その為には金が必要だ。
頼むぜ、政治家たち。
私は絶望しながらは生きない。楽しく貧乏ライフを生き抜いていく。
今日の演奏動画。
Lee Morganの作曲した『The Sidewinder』をソロピアノで弾いてみました。リードシート(譜面)も添えてあります。
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