「ちょっと違う」は「全然違う」
今日は朝からレッスンをして昼からリハに行くという一日。これだけ書くといつもと大して変わらない一日のような感じだけれど、ちょこっとだけ違う。
朝のレッスンはオンラインレッスンだったし、今この文章を書きながら電車で向かっているリハーサルはポップスバンドのリハーサルだ。
レッスンは普段ならば対面のジャズピアノレッスンだし、リハーサルも普段ならばジャズバンドのリハーサルだ。本当に微妙にではあるけれど、いつもと少しずつ違う。
同じようなことをしているようで実はちょびっと違うという、こういうことがたくさんあるなと思う。
というか、繰り返される日常は「同じように見える」ことがたくさんあるだけで、実際には「同じこと」は一つとしてないのだ。多分。
こういうことが昔からずっと気になるのはサミュエル・ベケットの『ゴドーを待ちながら』が好きだからだ。
ヴラジーミルとエストラゴンという二人がゴドーという「何ものか」を待つ(そしてゴドーは来ない)という物語が第一幕と第二幕で繰り返されるこの不条理演劇は、繰り返された二つの物語が細部において異なり、「同じように見えるだけ」の二つの物語は実は別の物語だということを表現している。
私も毎日同じような日々を繰り返しながら過ごすけれど、同じことは何一つ起きていない。いつも新しいことが起きている。
何か新しいことをしようと思い立つのはとても素敵なことだけれど、代わり映えの無い日常を過ごしていても何かしらの新しいことが起きているのだ。
ゴドーはやってこないけれど。
知らんけど。
今日の演奏動画。
Marcus Millerの作曲した『Maputo』をソロピアノで弾いてみました。リードシート(譜面)も添えてあります。
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