深く深く潜る
これまでにかなりの数の曲を作曲してきたと思う。
もちろん、職業作曲家の方々に比べれば大した量ではないけれど、若い頃から作曲をするのはわりと好きで長年かけて色んな曲を書いてきた。
不思議なもので作曲をするのは好きなのだけれど、それを人前で演奏するのはそんなに好きではない。何なのだろう、気恥ずかしいのかな。自分でもよくわからないけれど、自分の演奏の機会に自分の曲を演奏することはそれほど多くない。不思議だ。
作曲に関しては定期的に毎日書くという習慣はあまりない。気が向いた時に書く。それでも年間に少なくとも4~5曲ぐらいは書くし、このペースは別に変らなくても良いかなと思っている。
ちょっと数曲書きたい曲があって、今日は練習の後に久しぶりに作曲に取り掛かった。
作曲というと「空からメロディが降ってくる」みたいに言う人もいるけれど、私は全くそんなことはない。
どちらかと言うと「降ってくる」というよりは「引きずりだす」感じ。
元々自分の中にあるメロディやコード進行、リズム遊びみたいな要素を自分の中から引きずりだす。それらは元々自分の中にあるのだ。どこかから唐突にやってきたりはしない。だから「降ってくる」というよりは「引きずりだす」。
引きずりだす為に、一旦自分の意識の中に深く潜っていく。海の深いところに潜っていくみたいにして。
そこに音楽の断片は確かにあって、先っぽだけが見えているのだけれど、なかなか引きずりだせない。上手く取ることが出来ないUFOキャッチャーみたいなものだ。「あとちょっとなのに!」と思ってもなかなかクレーンがぬいぐるみに引っかからない。引っかかったとしてもすぐにポロンと下に落っこちてしまう。何回も何回もチャレンジしている間にやっと小さなぬいぐるみを一つだけ落とすことができる。それをまた何度も繰り返す。
いつもこんな感じで作曲をしている。
今日は小さなぬいぐるみが二つか三つぐらい取れたかなという感じ。
明日以降もまたやろう。
これもとても不思議なことなのだけれど、私は自分の書いた曲を演奏するのはあまり好きではないのだが、自分の書いた曲は好きなのだ。聴くと「お、なかなかいい曲だな」と思うことが多い。
今回も好きな曲が何曲か書けそうな気がする。
もっともっと深く潜ろう。
今日の演奏動画。
Irving Berlinの作曲した『Lady Of The Evening』をソロピアノで弾いてみました。リードシート(譜面)も添えてあります。
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