ベースの鶴賀の産休(育休)が理由で今年の夏以来しばらく活動していなかった「福島剛トリオ」が少しずつ活動を再開できそうだということで、ドラムの市川と共に連絡を取り合ってまずは三人での練習の相談を、ということになった。
「今度の練習ではこんな曲をやろう」ということでそれぞれに譜面や音源を送り合ったりしている。こういう時に「今は便利な世の中になったなー」と痛感する。一昔前までは音源はCDRに焼いたりして手渡ししていたし、譜面も全て紙にした状態で封筒に入れて郵送したりしてたんだから。今は全部メールで済む。音源もYouTubeにあるものであればそのURLを貼り付ければ良いだけだし。本当に便利になった。
で、鶴賀が送ってくれた何曲かは譜面も全て添えてあった。ありがたい。
非常にありがたいのだが、この譜面を私は全て一度自分で書き直す。鶴賀の送ってくれた譜面と音源と照らし合わせて、もう一度最初から自分で書く。
これはもちろん鶴賀の譜面を信用していないからではない。だから私が書き直した譜面を見て鶴賀が「福島さん、おれの譜面は不満なんかな」と思う必要は1ミリもない。むしろとても助かっている。ただし自分で書き直す。
私はこういう風にしないと気が済まない性格なのだ。そういうことを改めて思い知った。
何でもかんでも一度自分で作ってみたいのだ。
音楽においてはその性格と傾向が一番顕著に出るが、もう一つ、魚釣りの時にも私のこの性格が顔を覗かせる。
魚釣りに使う仕掛けを、私は常に自作する。大体どんな仕掛けでも作れる。自作した方が安いというのもあるが、一番は「どういう仕組みになっているのかを一度自分で確認したい」ということが大きい。そういう理由で私は魚釣りに行く時にはいつも数日前から自宅でチマチマと仕掛けを自作する。
自作していく中で「これは作る時間を考えると市販品を買った方が良い」と思うものと「これは絶対に自作した方が良い」というものがあることに気付く。
具体的に言うとアジ釣り用の仕掛けは市販品を買った方が良いが、マゴチ釣り用の仕掛けは自作した方が良い。
アジ釣り用の仕掛けは糸を結ぶ箇所が非常に多いので作るのに時間がかかるのだが、市販品を買ってしまえば2セット200円ぐらいで買える。面倒くさい時はアジ釣り用の仕掛けは自作せずに買ってしまう。
それに対してマゴチ用の仕掛けなどは糸を結ぶ箇所はサルカン部分と針の部分の二か所だけだ。ものの5分ぐらいで一つ作れてしまう。なのに市販品を買ったら2セットで600円ぐらいする。これは絶対に自作した方がお得だ。私のマゴチ釣り用の仕掛けはいつもなかなかに美しい出来栄えである。
こういうことに気付くのも、一度自分で作ったからこそである。
音楽に関しては、自作のメリットはこの比ではない。ものすごくメリットがある。
どんな曲を演奏する時にも必ず複数の音源を聴きながら自分で譜面を作成するのだが、この譜面を作成する段階でメロディが頭に入り、そして曲の分析もある程度までは終了する。一枚の譜面を書くのにそれなりの時間はかかるのだが、それが書き上がった時にはかなりの情報が既に頭の中に入った状態になっているのだ。
なので人から渡された譜面をそのまま使うということはほとんどない。仕事の性質によっては人から渡された譜面をそのまま使うこともあるけれど、「自分の音楽」として演奏したい場合にはまずありえない。必ず自分で書き直す。
鶴賀が送ってくれた丁寧に書かれた譜面を自分で書き直しながらそんなことを考えた。
うん、送ってくれた譜面に不満があるわけじゃないんだよ。
一度自分で作りたい病なんだよ。
今日の演奏動画。
Johnny Mandelの作曲した『Close Enough For Love』をソロピアノで弾いてみました。リードシート(譜面)も添えてあります。
最近のコメント