ジャズスタンダードについて私は何を伝えられるのだろう
「ジャズの演奏」ということで言うと、いわゆるジャズスタンダードと呼ばれる曲を弾くことも少なくない。
古い映画音楽だったり、ミュージカルの挿入歌だったり、あるいはその当時の大衆的なヒット曲だったり。そういったものの中からジャズミュージシャンたちが好んで取り上げていった結果今でも頻繁に演奏される曲がジャズスタンダードと呼ばれる。
良い曲がたくさんある。多分ジャズスタンダードをずっと研究し続けていたら一生はそれで終わってしまってなおかつ時間が足りないのではないかなと思うぐらいにたくさんの素晴らしいスタンダードがある。
私が個人的にずっと大切に弾き続けているジャズスタンダードというのもたくさんある。多分少なく見積もっても100曲はある。それはピアノを弾き始めた頃から今に至るまで、何度も何度も弾き続けて、そしてその度に少しずつ以前とは形を変えながら私の中に宝物のように残っていってる曲だ。
そういう曲をレッスンの時に題材に採るとなかなかややこしいな、ということを今日思った。
私はその曲について何をわかっているんだろうという自問自答が始まってしまう。
うん、それについてはかつてこう思っていた。けれどその後こういう風に考えが変わり、今はこう思っているけれどそれも今後どう変わるかわからない。
正直に話せば話すほど、そういう風になっていく。
じゃあ私は何をわかっていて何を伝えられるんだ?
結局「ずっとこの曲を大切に思いながら弾き続けているけれど私はこの曲のことは何もわかっていないのかも知れない」という所に行きついてしまう。
長年ずっと大切に思いながら弾き続けてきたとある曲を今日のレッスンの時に題材として取り上げたのだが、私は自分自身に困惑してしまった。
上っ面の簡単なことだけを伝えるのも何だかそれは違うような気もしてしまって。
思い入れの強すぎるスタンダードを教えるのは本当に難しい。
今日の演奏動画。
Jerome Kernの作曲した『In Love In Vain』をソロピアノで弾いてみました。リードシート(譜面)も添えてあります。
| 固定リンク
« Takeshi Fukushima Trio Live at BACK IN TIME Tokyo Koiwa 2023 9.2(Sat) Digest | トップページ | プレイバックを聴いてて気持ち悪くなるのは精神的に良くない証拠だ »
コメント