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2023年7月22日 (土)

【君たちはどう生きるか】を観てきた(ネタバレは無し)

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昨日のブログでも書いていた通り、金曜ロードショーの【もののけ姫】鑑賞をサボって、宮崎駿監督の最新作【君たちはどう生きるか】を観てきた。

最初に言っておくと、私は大変興味深く観た。

なので、終幕後に映画館にも関わらず観客が拍手喝采のスタンディングオベーションなんていうことがありえるやもと一瞬思ったのだが、全然そんなことはなかった。多くの観客が「なんだこれ?」という狐につままれたような顔をしていたし、一緒に観に行った嫁氏は「なげーわ」と吐き捨てるように言った。絶賛の私と酷評の嫁氏という構図になった。

確かに観ながら「あーこりゃあ確かに賛否両論あるだろうなー」と思っていた。それでも私は「おおっ!マジかよ!そうくる!?おー!やるねえ!」と夢中になって観た。

これは”難しい作品を理解できたおれスゴイ”という自慢では全くなくて、クサヤの干物を「めちゃんこ美味い」と食べられる人と「臭くて食えたもんじゃない」という人に分かれるように、”私にはたまたまハマった”というだけの話なのだ。ちなみに私はクサヤの干物も大好きだ。食べられない人の気持ちもそれはそれでよくわかるけれど。


極力ネタバレを避ける形で本作に言及すると、私の印象としては「宮崎駿のやりたい放題」だった。

自分が描きたいと思うストーリーと自分が描きたいと思うカットをこれでもかこれでもかと描き続けた作品である。

そして「これは絶対にアニメーションでないと描き切れない世界だ」とも思った。活字でもダメだし、実写でもダメ。アニメーションでなくてはならない作品だ。

そういったカットの連続を観続けながら、私は宮崎駿の強烈な矜持と自負を感じた。アニメーションという文化が描けるものの可能性はここまであるのだという矜持、そしてそのアニメーションに一生を捧げてきたのだという自負。そんなものをビンビンに感じた。

エンターテイメント性に欠けるかと言われれば確かにそんな気もするのだが、宮崎駿監督はこれまでに散々エンターテイメントをやってきた。そしてそれで世界中を熱狂させてきた。エンターテイメントということに関して言えば間違いなく世界でもトップクラスのアニメーション監督である。この作品がこれまでの彼の作品に比べてエンターテイメント性に欠けるという批判があることなど百も承知だろう。

とすれば、これが「現在の宮崎駿監督の考えるエンターテイメントの極致」なのである。

作中に登場する様々な暗喩に思いを広げながら観るというのもとても楽しい体験だった。「これは何の暗喩だ?」と考えながら観るのは、少々頭は疲れるけれどとてもワクワクする体験だった。

私は文句なしに「とても素晴らしい作品だった。もう一度観たい」と思っている。

この作品を観た人とこの作品の話をしたいな、とも思う。それは絶賛ばかりの意見でなくても。

「この作品について語りたい」と思うような作品って、そんなにたくさん私は知らない。


今日の演奏動画。

Lillian BowlesとWinifred Hoyleの作曲した『I'm Working On The Building』をソロピアノで弾いてみました。リードシート(譜面)も添えてあります。

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