セーフティネット
昨日は柔道の稽古の日だった。
トレーニング自体はほぼ毎日やるようにはしているけれど、やはり週に一回の稽古は格別。
未だに四十肩が治らない私ぐらいの中年になると気力を振り絞って動くこと自体が尊いので、もはや勝ったから嬉しいとか負けたから悔しいとかそういうレベルでもない。自分よりも数段強い先輩方の胸を借りて正面から全力でぶつかっていって派手に跳ね返されるだけで何とも言えない爽快感がある。コテンパンにやられてるのに楽しい。
とりあえずは私も形だけは「有段者」という立場ではあるので、初心者の白帯の方に指導(というほどちゃんとしたものでもないのだけれど)をすることもあるが、それも身が引き締まる。私など大したことは教えられないが、少しでも柔道の楽しさを共有出来たらなという気持ちはある。
稽古後に先輩方と飲みに行くのも楽しい。みな同世代のおじさんたちだ。柔道の話題を中心におじさんたちがキャッキャウフフと酒を酌み交わす時間は何物にも代え難い。
こういった一連のことを考えてみると、もはや柔道(とそれにまつわる)の時間は、私にとって一種のセーフティネットになっている。健全に日々を過ごすため、仕事への活力をチャージするための時間である。つらいことやしんどいことがあってもそこに逃げ込めば何とかなるというセーフティネットとしての役割を担っている所が大きい。
こういったセーフティネットをいくつか確保しておくことは非常に重要なのではないだろうかと思う。
私の場合は柔道に加えて「海」もまた一種のセーフティネットだ。海で釣り糸を垂れている時間は全神経を釣りだけに集中出来るので現実的な諸々の出来事から逃避出来る貴重な時間なのだが、釣りは年に数回しか行けないので、それに比べると週に一回ある柔道の時間は非常にありがたい。
生活のほとんど全ては音楽に捧げる。これは自分で選んだ生き方なので後悔はない。
けれどそこで行き詰まったりしんどくなった時に頭を切り換えられる場所があることは私にとっては大変なプラスだ。
音楽でどんなに失敗しても柔道でリフレッシュしてまたチャレンジすればいいやと思えれば、音楽でチャレンジすることに貪欲になれる。それをあまり怖いとは思わなくなる。
私の周りには音楽を仕事として選択はしなかったものの、とても真剣に音楽に取り組む人たちがたくさんいる。
願わくばそういう人たちにとっても音楽がセーフティネットとして機能すれば良いなと思う。
どんなに傷ついてもそこに戻れば何とかなる、という場所に。
今日の演奏動画。
Eddie "Lockjaw" Davisの作曲した『Hey Lock !』をソロピアノで弾いてみました。リードシート(譜面)も添えてあります。
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