強く速く弾くことだけが全てではない
ピアノを弾かずにずっと譜面だけを書き続ける数日間を送っていたが、そろそろ少しずつ良いかなと思ってピアノを少しずつ弾いてみた。
ただし、まだ怪我の回復は万全ではないので練習方法はいくつか限定的に。
曲の難しい箇所を何度もゆっくりなぞるような練習を中心に。これならそれほど指に負担もかからない上に、どこかでいずれやらなくてはならない練習なので。
そういう練習を少しやっていたら、思いのほか指がそんなに痛くなかった。かかりつけの「すぎむら接骨院」の杉村先生が万全のテーピングを施してくださっているおかげもある。テーピングは本当に痛みを軽減する。
怪我はすべからく安静こそが最大の治療なのだけれど、全てのスポーツ選手や私のようなピアニストを含めて「全然動かさないで完全に安静にしている」というのは事実上不可能な時もある。だからそういう時に「じゃあ動かしても負担がかからないように」とか「ここまでなら動かしてもいいから」といったように”やりながら治す”パターンも多々あって、そういう時の為のテーピングだ。本当に助かる。
そんな感じに少しはピアノも弾けたので、今日は少し録音もしてみようと思った。
毎日更新を続けている(もう何年続けているんだろう、三年ぐらいかな)YouTubeの演奏動画の貯金もそろそろ底を尽きてきたから、弾きなれた曲を少し弾いてみようかな、と。
この際に少し興味があって、「怪我の功名」みたいなことはないかなと思ったのだ。
もちろん怪我はしない方が良いし、万全の状態でピアノを弾けるのが一番いい。
けれど今の私は少し怪我をしてしまっているのでそうはいかない。具体的に言うと、強いタッチで弾くのと速いパッセージを弾くのが難しい。指に鈍い痛みが走るからだ。
そういう状態の時の演奏ってどうなんだろう、と思った。
ピアノの演奏というのは強く弾けば良いというものでもないし速く弾けば良いというものでもない。もちろん強く弾けて速く弾けるに越したことはないのだけれど、それだけが全てではない。
なので、今出来ること、今持っている手持ちの武器で何が出来るか。ひょっとしたら肉体的にベストな状態よりも良い演奏になる可能性はないかな、ということを探ってみたかった。
というわけで今日は昔から弾きなれたジャズスタンダードのバラード『Body And Soul』という曲を録音してみた。
これがやっぱりなかなかどうして。そんなに悪くなかった。
自分で聴き返してみても「あ、ここもうちょっと強く弾きたかったのかな」とか「ここは速いパッセージを弾きたかったのに途中で止めてるな」という部分がいくつかあるのだけれど、それがそんなに悪くない。
ひょっとしたら新しい表現を探るきっかけになるのかもしれない、と思った。
ということで良かったら聴いてみてください。
今日の演奏動画。
John W. Greenの作曲した『Body And Soul』をソロピアノで弾いてみました。リードシート(譜面)も添えてあります。
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