金を払って初めて「客」になれる
今日のレコードは昨日に引き続きGeoroge Lewisの【At Club Hangover vol.1】。今日はB面。
レコードを買ってきたらそこに入っている曲を全て採譜してってことをよくやるのだけれど、先日聴いていたB.B.Kingのゴスペルアルバムを採譜し始めている。このアルバムもやろうかな。半分ぐらいは既に譜面書いたことのある曲なんだけど。
今日は昼にラーメンを食べに行っていた。
家を出る前にぼんやりと「腹が減ったなー、しかし金を無駄遣いするのもいかんので今日は霞を食べて生きていくかなー」と思っていたのだが「そういえば!」と思い出したことがあって、こないだ友人から「魁力屋」というラーメン屋のラーメン一杯無料券をもらっていたのだった。
「これだ!」と思った。
お店の18周年記念を祝って配られたその無料券は使用期限を見たら今月末までとのことだったので、こういう時にこそ行かなくては、と思って自転車にまたがった。
近くに「魁力屋」あったかなーと思ってネットで探してみたら、篠崎のあたりにあった。我が家からは柴又街道をずっと下っていけば良いだけだった。
途中で友人が働くラーメン屋「亜熱帯」を通るのが何となく心苦しかった。その辺まで行くのならば友人の店に立ち寄れば良かったのだけれど、今日は無料券に釣られて別の店に行くから。友人N氏ごめん、と思いながら「亜熱帯」の前を通りかかったら行列が出来ていたので良かったと思った。今は人気店なんだな。実際に「亜熱帯」はめちゃくちゃ美味いので行くべし。
そこから更に自転車を漕いだら「魁力屋」があった。
このあたりから私の小者ぶりが炸裂し始めてきた。
「タダ飯食らうってどうよ?」と自問自答し始めてしまったのだ。
客は金を払って初めて「客」になれるのだ。それが今日の私は無料券を使うので金を払わない。私は乞食同然の人間なのではないだろうか。私に矜持はあるのか。そんなことを考えていたら悶々としてきた。
店に入って着席を促される。
とりあえず無料券を取り出してみた。
店員さんにおそるおそる「あの…これ…使えますか…?」と聞く。
「はい!大丈夫ですよ!」と元気いっぱいに女性店員が答えてくれた。
しかし心の奥底では「タダ飯食らいのクソ客様でございますねー」と罵られていたのかもしれない。いや、そんなことはないはずだ、あの明るい笑顔とよく通る元気の良い声にはそのような気配は微塵も感じられなかったはずだ。
席に置かれたタッチパネルからラーメンの並を注文してしばらく待つと、ラーメンがやってきた。
これだ。
いかにも美味そうだ。
「魁力屋」は創業18年。最初は京都の北白川にあった。
その一号店を私は知っている。18年前、25歳だった私は京都に住んでおり、その魁力屋一号店のすぐ近くでアルバイトをしていたので、バイト帰りなどによく立ち寄ったのだ。
「懐かしいな」と思いながら、「さて、ここには一味唐辛子をかけて…」と思って卓上を調べたが、一味唐辛子がなかった。
店員さんを呼ばなくてはならなかった。
金を払わないクソ客なのに。
店員さんにお願いして一味唐辛子を持って来ていただいた。クソ客なのに。
さらにそこには無料で入れ放題のネギをどさっといくのが私のお気に入りだったが、卓上のネギがもはやちょびっとしか残っていなかった。
ネギのお代わりを頼むのか…?クソ客なのに…
頼んだ。
本当に申し訳ない。
本当に生きていてすまない。
ラーメンはとても美味しかった。
しかし私は汚辱にまみれていた。敗北感にまみれていた。
金を払わないクソ客なのにも関わらず、店員さんの手を煩わせて一味唐辛子を持ってこさせ、あまつさえネギのお代わりまで頼んでしまった。
私に生きている価値などないのではないだろうか。
本当に申し訳ない。
今度はきちんと金を払って「魁力屋」に行こう。
今日の演奏動画。
Abdullah Ibrahim(Dollar Brand)の作曲した『Song For Lawrence Brown』をソロピアノで弾いてみました。リードシート(譜面)も添えてあります。
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