私の『Blue Giant』
ちょっと前に『Blue Giant』というジャズの漫画が映画化されて話題になっていて、見た人も少なくないのではないかと思う。
私は見ていない。
見ていないのだが話は知っている。原作の漫画のファンでコミックスを買っていたのでそこでしっかり読んでいた。
そもそも映画を見ていないのも「音の出ない漫画という媒体で音楽の話をしているのが面白いから、そこから実際に音が聴こえてきてしまったら何だかなあ」という理由からだった。吹き替えで出演しているミュージシャンたちは今日本の最高峰の若手ミュージシャンたちなことも知っていたから見たら見たで「はー、やっぱすげーなー」となるのは想像に難くなかったのだけれど。
で、この漫画。読んでいる時に何度も「あれ?これおれの話かな?」と思うことが多々あった。
主人公の大くんが「ヘタクソ!帰れ!」と言われて演奏していたライブハウスを追い出される話とか、私にも身に覚えがある。
映画化されたのは主人公大くんが日本にいた時の話までだったらしいのだが、この日本編では大くんを含めて三人の主人公がいる。
サックスの大くんとピアノのユキノリくんとドラムの玉田くんだ。
この三人が三人とも若い頃の私にちょっとずつ似ている。
私の若い頃は
・大くんぐらい無謀で
・ユキノリくんぐらい横柄で
・玉田くんぐらいヘタクソ
だった。
三人の短所を一つに集めたのが若い頃の私だ。最悪じゃないか。
でも本当にそんな感じだった。二十歳過ぎからピアノを始めた上にセンスもなかったのでものすごくヘタクソだったのに、自分はプロのピアニストになると信じて疑っていなかったし、それなのにとても横柄で偉そうだったし、そして超絶にヘタクソだった。
なので漫画を読みながら「あー、わかるー」となったことは一度や二度ではない。
漫画の中で印象的なシーンがあって、ヘタクソな玉田くんが「くっそーヘタクソヘタクソってバカにしやがって、今に見てろよ」となって特訓を開始する前に牛丼やらハンバーガーやらラーメンやらを食いまくって「バッテリーチャージ完了」と言って特訓に向かうシーンだ。
悔しい時には食べまくる。そしてそのパワーで前へ進む。
そういうことって私にもたくさんあったし、今日もそうだった。
昼過ぎに接骨院に行って指の治療をして、まだ良くならないから焦って、仕方がないからラーメン屋に行ってラーメンを食べた。ライスもつけてやった。
食べ終わって「やったるわアホが」となった私は、その玉田くんの心境に近いものがあった。
しばらくこんな感じが続きそうだ。
「やったるわアホが」の精神は忘れないようにしようと思う。
今日の演奏動画。
Hermeto Pascoalの作曲した『Montreux』をソロピアノで弾いてみました。リードシート(譜面)も添えてあります。
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