薄氷を踏む旅立ち
長時間バス移動の車内からブログ更新。
GWに引き続き今月二回目の関西ツアー。GWは全て大阪だったけど今回は全て京都。今日から四日間。
バスは順調に走っていて、現在名古屋の辺り。もうちょっとだ。
今朝は寝坊をカマした。
8時00分池袋バスターミナル発のバスに乗らなきゃいけなかったから最低でも6時00分に起きて6時30分には家を出たかったのだけれど、起きたら6時25分。焦った焦った。なぜか目覚ましが鳴らなかったのだ。
ほぼ寝巻きのジャージのまま家を出て辛うじて6時45分発の電車に乗れたのだけれど、そこからはかなりギリギリの戦いだった。
バスの集合時間との戦いももちろんあるが、精神力(あるいは肛門力)との戦いも非常にシビアだった。急いで家を出たから家でトイレに行けなかったのだけれど、電車に乗っている間中ずっと邪悪なあんちくしょうが私の肛門をノッキングしていた。
心頭滅却すれば火もまた涼しと自分に言い聞かせて、「大丈夫、日暮里での乗り換えは7分ある、そこでトイレに行ける」と思って、京成線が日暮里駅に着いた時にトイレに向かって猛ダッシュをキメたのだが、トイレは長蛇の列。
ここに並んでいたらバスの集合時間に間に合わないし、スプラッシュマウンテンの危機も想定できた。更に深く精神を研ぎ澄ませつつとりあえずは池袋に向かうことにした。池袋駅は複数箇所にトイレがある、池袋こそが「約束の地」なのだと自らに言い聞かせて。
乗り換えた山手線内では意識を肛門周辺から逸らす為に、頭の中で麻雀の適当なアガリ役を考えてそれの符計算をすることで難を逃れた。少しも油断はならない状況だった。
池袋駅に着いてトイレへダッシュするも、やはりそこには長蛇の列。
なーに、池袋には他の場所にもトイレがあるから大丈夫大丈夫と思って他のトイレに行くもそこも長蛇の列。
「あれ?おれ終わったのかな?」
私は一瞬、死を覚悟した。
knock, knock, knocking on heaven's door
(ノック、ノック、天国の扉をノック)
ボブ・ディランの『Knockin' on heaven's door』が頭の中で流れた。
ボブ、やめてくれ!私をまだ社会的に抹殺しないでくれ!
バスの集合時間も迫っていたので、とりあえずはバスターミナルに向かって歩き始めた。
確かバスターミナルへ向かう途中に公園があってそこに公衆トイレがあったはず…という淡い期待を胸に、生まれたての子鹿のように歩みを進めた。
結論から先に言えば私は勝利した。いや、勝利したというよりも敗北を免れたと言った方が正しい。結局は公園ではなく、たまたま通りすがったコンビニでトイレを借りることに成功したのだ。
本当にギリギリの勝負だった。薄氷を踏むとはこのことかと思いながらも、私はギリギリの所で敗北を免れることに成功した。あと3秒遅かったら敗北していた、これはリアルな時間で。コンビニを出る時にペットボトルのお茶を一本買ったのだが、その時に私が発した「ありがとうございます」の言葉にはこれ以上無いほどの謝意の実感が伴っていたはずだ。
うっすいうっすいカンチャンをツモって100点差でまくりトップ、というような辛勝を経てバスターミナルに着いたのは集合時間の約5分前だった。これも実にギリギリのラインだった。これを逃してしまえば、バス代の5500円をドブに捨てることになるばかりでなく、新たに新幹線チケット14000円を購入して京都に向かわなくてはならない。約20000円の損失だ。そんな大金どこから出てくるっていうんだ。
バスに乗り込んだ時に私の頭の中には「命からがら」という言葉が鎮座していた。マジで命からがらだった。
目覚ましはちゃんとかけよう。ちゃんと鳴るかどうかも確認しよう。本日の学びと気付きである。
朝から何も食べていなかったので腹ペコだった。バスがサービスエリアに立ち寄った際に何か食べたいなと思っていた。
最初の休憩スポットである海老名SAに降り立つと、いそいそとフードコートを目指したが、スイスばりのあまりの物価の高さにびっくりした。
吉野家の牛丼並盛が600円もしていた。ラーメン類は軒並み1000円オーバー。これは無理だと思い
コンビニでおにぎりを一つ買って我慢した。
その後Twitterに
このように投稿したのだが、私と同じようなことを考えている人が他にもいるんじゃないかと思い「海老名SA 物価」でTwitter検索したところ、
約半年前に私がまるっきり同じ内容をツイートしていた。アホなのかな?
ああ、貧乏が憎い。
その後、岡崎SAにも立ち寄ったが、ここも(海老名SAほどではないが)物価が鬼高かったので食事を断念。缶コーヒーを一本飲んで空腹を紛らわせることにした。
こうしてアホなことを書いている間に、バスは最後の休憩スポットの草津SAに到着した。
ま、どーせここもシンガポールぐらい物価が高いんでしょ。はいはいすごいすごい、強い強い。
そう思いながらフードコートをチラ見していたら、私の目に飛び込んできたのは衝撃の「かけそば380円」だった。
本気でちょっと叫びそうになった。「ビバ草津!ビバ滋賀!神よ!」と。
これが草津SAのかけそば380円だ。青ネギが乗っている!蒲鉾まで乗っている!
貪り食った。
最近食べた蕎麦の中でもトップクラスの美味さだった。
私は僥倖に打ち震えていた。神は死んではいなかった。
得も言われぬ多幸感に包まれた私を乗せてバスは最後の数十キロを再び走り始めた。
ここからは1時間もかからない。
これから四日間の京都ツアーが始まる。
上々の滑り出しだということにしておこう。
こうやって移動している時にいつも「お客さん来るかな」とか「うまく演奏出来るかな」なんてことがあれこれと不安になる。
けれど今回も全て本当に素晴らしい音楽家の方々との演奏の機会を頂いている。
その機会に感謝しながら、精一杯やってきます。
演奏スケジュールは以下。
5月25日(木) 京都三条 Sesamo
075-251-0858
http://sesamo.okoshi-yasu.net/
「Sesamo open jam session」
vocal:市川芳枝 bass:矢野克宏 drums:大江秀明 piano:福島剛
20:00~start music charge:1500円
5月26日(金) 京都先斗町 Stardust Club
075-221-2505
http://stardustclub.jimdo.com/
vocal:市川芳枝 bass:村田博志 piano:福島剛
20:00~start music charge:2500円
5月27日(土) 京都伏見 レミューズカフェ
075-622-0014
http://lesmuseskafe.com/
【福島剛トリオ】
piano:福島剛 bass:鶴賀信高 drums:市川綾野
19:00~start music charge:2500円
5月28日(日) 京都西院 さうりる
050-3749-3566
http://sahouril.com/
sax:登敬三 piano:福島剛
14:30~start music charge:2500円
どこかでお会い出来ますように。
頑張ってきます。
今日の演奏動画。
Oscar Pettifordの作曲した『Tricrotism』をソロピアノで弾いてみました。リードシート(譜面)も添えてあります。
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