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2023年5月

2023年5月31日 (水)

若い頃からヘタクソだったなあ

今日のレコード。

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Art Pepper Quintet の【Return of Art Pepper】。たまに聴くとやっぱり良いよね、このウエストコーストサウンドっちゅうのかな。端正でとても良い。

今日はずっとピアノの前で過ごしてた。

やりかけの譜面作成仕事の続き、それから明日のための練習、それと今週末のライブの曲目が送られてきたのでそれの準備。

明日は日野林さんとのライブだけれど、週末の土曜日6月3日はアメリカからやってくる4人の若者とのライブ。その資料が送られてきた。

送られてきた曲が全部ムズイ。そして全部速い。若者たち、さてはおじさんをイジメにきているな。受けて立とう!

若い頃は速くて難しい曲やりたくなるもんだもんなあ。私は鬼のようにヘタクソだったから(今も地獄のようにヘタクソだけど)そういうのをなるべく避けて通って来たのだけれど、そういう横着のツケがおじさんになって回ってきている。仕方ない。


明日のライブ、とても楽しみだ。

日野林さんの演奏、もちろん演奏の中身も好きなのだけれど、特に日野林さんの音色が好きなんだよなあ。

こういう好みって歌の人に対してもある。「声が好き」みたいなこと。

ていうか全ての楽器の人に対してもあるか。ドラムでもベースでも管楽器でも。

ピアノも当然そう。ピアノって不思議な楽器で、同じ楽器でも弾く人によって音色が変わる。見事に変わる。

明日も良い音色でピアノ弾けたら良いな。それで日野林さんのサックスを一番近くで「これこれ、これなんですよ。はー素敵」と楽しませてもらおう。これは演奏者の役得。

ということで是非来てください。

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6月1 日(木)東京小岩 Back in time
03-3659-0351
http://bqrecords.net/backintime.htm
sax:日野林晋 piano:福島剛
20:00~start  music charge: 3000円


今日の演奏動画。

Scott Hamiltonの作曲した『Shake It, But Don't Break It』をソロピアノで弾いてみました。リードシート(譜面)も添えてあります。

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2023年5月30日 (火)

やっぱりトレーニングは良い

朝イチでトレーニングが出来た。

と言っても腕立てと腹筋と背筋とスクワットとプランクだけだけれど。

ここ数日前まで泊まっていた安宿は二段ベッドのドミトリー形式の宿だったのでトレーニングをするスペースが無くて出来なかった。出来なくもなかったのかも知れないけどそういうことにしてサボってたのかも知れないな。

コロナ禍真っ只中の頃は富豪様御用達の普通のビジネスホテルに泊まれた時もあったからその時には朝からトレーニング出来たのだけれど、今はもはやそういう時代ではないので安宿やむなし。

ということで久しぶりのトレーニングだった。やっぱ良いね、トレーニングは。明日は公園の打ち込みも行きたいな。

朝からトレーニングを終わらせてから風呂に入って家で朝めしを食べて早めに仕事場へ。

今日も譜面作成仕事の続きから。

朝からピアノの上にパソコン置いてまんじりともせずにカタカタと譜面書き。眠いよ。まんじりしたかったよ。

キリの良いところまで終わったところで昼からはレッスン。

9月に控えた発表会に向かってみんな猛特訓。レッスンも気合いが入る。

今日は何だか無職の人じゃないみたいな一日だな。

明日は無職の日。

譜面書きの仕事の続きもするけど練習もたっぷりする。

何たって明後日6月1日は超楽しみにしてたこのライブ。

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たくさん練習して体調を整えて、久しぶりの日野林さんとのライブに臨みます。

是非観に来て下さい。

今日の演奏動画。

Michael Franksの作曲した『Antonio's Song』をソロピアノで弾いてみました。リードシート(譜面)も添えてあります。


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2023年5月29日 (月)

東京に帰ってきた。休みは午前中だけ

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立ち呑み屋で一杯やりながら本日のブログ更新。

昨日は京都西院「さうりる」にて登敬三さんとのデュオライブ。

お客さんは決して多くはなかったのだけれど、本当に幸せな時間だった。

一昨日のトリオのライブもそうだったのだけれど、常に頭を使いながら「今はどうしたらいいんだ!おれはどうしたいんだ!」と自分に問いかけながら共演者の音を「最高だ!」と思いながらの時間。何物にも代え難い。

昨日も演奏中にうっかり泣きそうになるぐらい幸せな瞬間がたくさんあって、これまでにも何度も思っているけれど登さんは本当にすごい。宝だ。もっとみんな観に来てほしい。本当に観に来てほしい。

登さんとの次回のライブは9月。

9月6日(水) 千葉本八幡 cooljojo
080-2624-0879
https://www.cooljojo.tokyo/
sax:登敬三 piano:福島剛
19:30~start  music charge: 3000円

本当に観に来てほしい。大事なことなので何回も言う。本当に観に来てほしい。

昨日のライブ後は登さんの自宅に連れて行ってもらって家呑み。色んな話をしてもらってとても勉強になったけど、そんなことより楽しかったな。これも幸せな時間だった。

で、そのあとに京都駅まで移動して夜行バスに乗って東京に帰る段取りだったのだけれど、結構酔っ払っていたので24:30発のバスなのに到着したのが24:29。バスの前で係の人が「ふくしまさーん、いませんかー、ふくしまさーん!バス出ちゃいますよー!」と叫んでいた。本当に申し訳ない。

酔っ払っていたのでバス消灯後に即寝落ち。

起きたら5:30で海老名SAだった。もうほとんど東京なので着いたも同然。

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やっぱり夜行バスは泥酔して乗るべきだな。

朝の8時前にバスが到着したのは新宿。そこから家までの行程は山手線で日暮里に行って京成線に乗り換えてというルート。日暮里乗り換えとなれば朝から立ち食いそばでしょうということで日暮里「一由そば」へ。

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たぬきそば320円。ここのたぬきは単なる天かすじゃなくて本当の意味での「天ぷらのかす」、つまり天ぷらの切れ端なのですさまじい満足感がある。ここはマジで最強の立ち食いそば屋の一つだ。

小腹も満たして家に帰ったらそのまま午前中は丸々寝た。

しっかり寝てから風呂に入ったら随分体力も回復したので雨の中を歩いて仕事場へ。

譜面作成依頼の仕事が複数来ていたので、それを時間一杯で出来るところまで進める。今回はほとんどがクラシック系のピアノ二段譜なのでかなりのボリュームの仕事量だけれど丁寧に一音一音譜面に記していく。集中して四時間ほどやるも一曲の5分の4ぐらいしか終わらず。続きは明日以降。
「あー、まだブログ書いてない」と思ったので、その後に立ち呑み屋に来てブログを書いているというワケ。

ツアーが終わっても色々やることあるなあ。

そういえば今週は楽しみなライブもあって。

まずはコレでしょ。

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サックスの日野林晋さんとのデュオライブ。すっごい楽しみ。一年ぶりぐらいかな。その一年の間にどれだけ成長出来てるかな。

ということで旅から戻ってきたばっかりですが、明日からももりもり仕事と練習します。

トレーニングをサボってるのでトレーニングがしたい!

今日の演奏動画。

Elvin Jonesの作曲した『Lady Luck』をソロピアノで弾いてみました。リードシート(譜面)も添えてあります。

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2023年5月28日 (日)

京都ツアー最終日は登敬三(sax)さんとのデュオ、昼ライブ!

昨日の演奏現場の「レミューズカフェ」は京阪の伏見桃山駅の近くにあって、その伏見桃山駅の近くには昔から好きなラーメン屋がある。

昨日一緒だったメンバーの二人に本番前に一緒にそこに行きましょうよと誘われて「うわーめちゃくちゃ行きたい」と思ったのだけれど結局断ってしまった。

演奏前にラーメン、昔はしょっちゅう行っていたのだけれど最近はほとんど行かない。ちょっと「重い」からだ。これは完全に中年化が原因だ。

昔みたいにそんなにたくさん食べられないし、疲れはなかなか抜けないし、演奏前のラーメンの誘いを断ってしまうし。とほほ。

仕方がないので都そばで月見そば370円。

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こんなんで良いのだ。ていうかこんなんが良いのだ。丁度いい。

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食べ終わってから近くのベローチェに入って当日やる曲の譜読みなんかをしてた。

で、ライブ。演奏はとても楽しかった。緊張感もリラックスもほどよくあって、そして何よりクリエイティブで。

9月にもう一本ライブをやったらしばらくお休みになるのがとても寂しく感じたのと同時に、休み明けの練習やライブがとても楽しみになった。

帰りは少しだけ串カツ屋に寄ってから、

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鴨川のほとりで一人で路上飲み。ほんの少し肌寒くなってきていたけれど、火照った身体が冷えて気持ち良かった。

明けて今日。

三泊した安宿をチェックアウトして歩いて四条まで。

昨日に続いて都そばに行って天ぷらそば400円を。

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良いよねえ、とても良い。

食べ終わったらすぐ近くのマクドナルドへ。仕事関連のメールがいくつか来ていたのでパソコン開いてメールを返そうと思ったので、オフィス代わりにマクドナルドに来た。マクドナルドは良いのよ、電源もWi-Fiも使えるし。

で、それも終わってこのブログ執筆。

さて、これからはツアー最終日のライブ。これ。

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そういえば今月の頭、GWに大阪行った時も最後は登さんとのデュオだったな。

最後に登さんと出来るの、とても嬉しい。最後じゃなくても嬉しいけれど、最後だと「あとは帰るだけだからここで思い切り出し切って抜け殻みたいになって帰りゃいいや」っていう気持ちに拍車がかかる。

登さんと演奏出来るのは本当に嬉しくて、それゆえにいつも気負い過ぎてしまったりして登さんに「そんなに気負わんでえーで」と言われることも度々なのだけれど、そういうことも含めて一生懸命やってこよう。

さて、最後。頑張ってきます。

関西方面にいる方は良かったら見に来てくださいね!


今日の演奏動画。

Harold Arlenの作曲した『A Sleepin' Bee』をソロピアノで弾いてみました。リードシート(譜面)も添えてあります。

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2023年5月27日 (土)

京都ツアー三日目

昨日の先斗町「スターダストクラブ」でのライブ、開始時間のちょっと前の時点ではちょっと客席が寂しいような状況で、「大丈夫かな。ま、一生懸命やるだけだな」と思っていたのだけれど、始まったらどんどんとお客さんが増えてきて最終的には満席に。

入って来てくれたお客さんの何割かは観光に来ている外国人のお客さんで、そういう人たちから愛されているお店の力に感謝すると同時に、コロナウィルスの影響による人の往来の制限はもう終わりつつもあるのかなと思った。もちろんコロナウィルス自体はこれからも我々の生活の中にあり続けるんだけど。

演奏もとても楽しかった。感謝。

終わってからすぐ近くにあるジャズ喫茶「Jazz in ろくでなし」に。明日共演させて頂くサックスの登敬三さんがいた。昨日、登さんは「ろくでなし」でライブをしていてそのことは知っていて見たかったのだけれど私もライブがあって見られなかったのだけれど、終演後にちょっと会うことが出来た。

登さんが所属する「渋さ知らズ」というバンドの方が何人かいらっしゃって、その方々と一緒に少しお酒を飲ませて頂いた。良い時間だった。

帰り道で2日連続でなか卯ではいからうどん290円を食べてしまった。やめられんなあ、深夜のはいからうどん。

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今日は朝起きてから風呂に入って(簡易シャワーだけだけど)、それから宿の共有スペースで読書。

一ヶ月ぐらいかけて読み続けてきた村上春樹氏の新作『街とその不確かな壁』読了。

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色々と感想も書きたいのだけれど、その前にいくつか検証したいことがあるのでそれらの検証が終わったらゆっくり感想を書こう。とりあえず現状では読み応えがあってとても有意義な時間だったとだけ書いておく。

で、昼過ぎに出町柳のジャズ喫茶「Lush Life」へ。

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よく知ったミュージシャンの方とも会えて嬉しかった。店主の哲也氏は足を怪我して入院されていたのだけれど復活したみたいで良かった。極上のレコードをたくさん聴いて至福の時間。

「Lush Life」を後にして京阪電車に乗ってこのブログを書いている。

これからは伏見へ。

今日は自分のリーダー(名前だけね)バンド、「福島剛トリオ」のライブ。

5月27日(土) 京都伏見 レミューズカフェ
075-622-0014
http://lesmuseskafe.com/
【福島剛トリオ】
piano:福島剛 bass:鶴賀信高 drums:市川綾野 
19:00~start music charge:2500円

練習もライブも重ねられてとても楽しくなってきたこのトリオも、今日のライブと9月2日の東京でのライブを区切りに一旦休止。多分半年から一年ぐらいはお暇を頂きます。もちろん「飽きた」とか「ケンカした」とかのネガティブな理由じゃなく、もっとポジティブな理由。プライベートな家庭の話なので詳しくは書かないけれど。

なので今日は残り少ない二人との演奏を存分に楽しませてもらってきます。

しかしまー自分でアタマ張ってリーダートリオやるとかあんまり想像もしてなかったなあ。

精一杯やります。是非観に来て下さい!

今日の演奏動画。

Keith Jarrettの作曲した『Prism』をソロピアノで弾いてみました。リードシート(譜面)も添えてあります。

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2023年5月26日 (金)

新曲『Petrichor』配信開始

本日より私の新曲が配信開始されました。

『Petrichor』というタイトルのソロピアノ曲(オリジナル)です。

コチラのリンクから聴けます。

https://linkco.re/QQ1D5QgD

Petrichorという長い日照りの後に雨が降った時に地面から立つ雨の匂いを指す言葉です。

聴いてくださった方がどういう情景を頭の中に思い描いてくれるのかが楽しみです。

今回もミックスとマスタリングでお世話になりましたBQRecordsの梶川さんには心より感謝申し上げます。

なお、絶対に、絶対に、絶対に、リンク内のジャケ写は凝視しないでください。

薄目もしくは遠目で見るようにしてください。凝視すると呪われますので。そこんとこヨロシク。

↓このジャケ写は凝視しても大丈夫なやつ。

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京都ツアー二日目はずっと安宿で仕事してる

昨夜はちょっと飲み過ぎてしまった。

帰りにおなかが空いてなか卯ではいからうどんを食べたのは覚えている。写真にも残っていた。

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なか卯のはいからうどんって今でも290円なんだなということに少し感激した。あらゆるものが激しく値上げされていく中でこの値段は本当にありがたい。そして美味しいし。今回の京都滞在中に何回か食べることになるかもしれないなと思った。

今宿泊しているのは「五条坂」と呼ばれるところの近く。

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ここを登っていくと清水寺がある。

昨日の時点では「せっかく清水寺の近くにいるしたまには観光でもしようかな。久しぶりに清水寺に行ってみたいし、その近くにある霊山護国寺には坂本龍馬と中岡慎太郎のお墓があるしそこにも行きたいな」なんてことを考えていたのだけれど、結局行ってない。

泊まっている宿の共有スペースで譜面を書いたり

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あとは数日前にリリースされた新曲のプロモーションしたり。仕事ばっかりじゃねえか。

新曲については今日もう一本書くブログに詳細を載せておくけれど、とりあえずはここにも。

『Petrichor』

ここをクリックすると各種の配信サイトで聴けます。

こういう配信を自分ではやっておきながら、私は実はいわゆる「サブスク」の音楽配信サービスには加入していない。未だにCDやレコードを買うのが好きなので、自分の聴きたい曲は極力CDやレコードで買うようにしている。まあそれでもやっぱり音源あたるような時はYouTubeもよくつ合うけど。便利な世の中になったよなあ。

なのでどのサイトで聴いてもお試し視聴の分しか聴けないのだけれど、なぜか「YouTube Music」というサイトでは全編聴ける。なんでなんだろ。めちゃくちゃいっぱい動画投稿してるからかな。よくわからない。

ちなみにこちら、もちろんストリーミングにより無料で聴けるのですが、その配信期間は今からちょうど一年間だけなのでそれを過ぎると聴けなくなります。ダウンロードしておくとずっと聴けます。確か200円ぐらいだったかな。もちろん私はダウンロードしていただけた方が100円ぐらいがちゃりんと入って来るので嬉しいのですが、でもそれよりも何よりもやっぱり聴いてもらえることの方がありがたいな。

ということでとにかく聴いてください。

京都ツアー二日目、今日のライブはコチラです。

5月26日(金) 京都先斗町 Stardust Club
075-221-2505
http://stardustclub.jimdo.com/
vocal:市川芳枝 bass:村田博志 piano:福島剛
20:00~start music charge:2500円

芳枝さんと村田さんと一緒に思い切りジャズとブルースやります。もう何回も一緒にやらせてもらってるのに、毎回ワクワクドキドキします。

肩の力を抜いて、自然体で、気負わずに、脅えずに。

お待ちしております!

今日の演奏動画。

Mike Sternの作曲した『After You』をソロピアノで弾いてみました。リードシート(譜面)も添えてあります。

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2023年5月25日 (木)

薄氷を踏む旅立ち

長時間バス移動の車内からブログ更新。

GWに引き続き今月二回目の関西ツアー。GWは全て大阪だったけど今回は全て京都。今日から四日間。

バスは順調に走っていて、現在名古屋の辺り。もうちょっとだ。

今朝は寝坊をカマした。

8時00分池袋バスターミナル発のバスに乗らなきゃいけなかったから最低でも6時00分に起きて6時30分には家を出たかったのだけれど、起きたら6時25分。焦った焦った。なぜか目覚ましが鳴らなかったのだ。

ほぼ寝巻きのジャージのまま家を出て辛うじて6時45分発の電車に乗れたのだけれど、そこからはかなりギリギリの戦いだった。

バスの集合時間との戦いももちろんあるが、精神力(あるいは肛門力)との戦いも非常にシビアだった。急いで家を出たから家でトイレに行けなかったのだけれど、電車に乗っている間中ずっと邪悪なあんちくしょうが私の肛門をノッキングしていた。

心頭滅却すれば火もまた涼しと自分に言い聞かせて、「大丈夫、日暮里での乗り換えは7分ある、そこでトイレに行ける」と思って、京成線が日暮里駅に着いた時にトイレに向かって猛ダッシュをキメたのだが、トイレは長蛇の列。

ここに並んでいたらバスの集合時間に間に合わないし、スプラッシュマウンテンの危機も想定できた。更に深く精神を研ぎ澄ませつつとりあえずは池袋に向かうことにした。池袋駅は複数箇所にトイレがある、池袋こそが「約束の地」なのだと自らに言い聞かせて。

乗り換えた山手線内では意識を肛門周辺から逸らす為に、頭の中で麻雀の適当なアガリ役を考えてそれの符計算をすることで難を逃れた。少しも油断はならない状況だった。

池袋駅に着いてトイレへダッシュするも、やはりそこには長蛇の列。

なーに、池袋には他の場所にもトイレがあるから大丈夫大丈夫と思って他のトイレに行くもそこも長蛇の列。

「あれ?おれ終わったのかな?」

私は一瞬、死を覚悟した。

knock, knock, knocking on heaven's door
(ノック、ノック、天国の扉をノック)

ボブ・ディランの『Knockin' on heaven's door』が頭の中で流れた。

ボブ、やめてくれ!私をまだ社会的に抹殺しないでくれ!

バスの集合時間も迫っていたので、とりあえずはバスターミナルに向かって歩き始めた。

確かバスターミナルへ向かう途中に公園があってそこに公衆トイレがあったはず…という淡い期待を胸に、生まれたての子鹿のように歩みを進めた。

結論から先に言えば私は勝利した。いや、勝利したというよりも敗北を免れたと言った方が正しい。結局は公園ではなく、たまたま通りすがったコンビニでトイレを借りることに成功したのだ。

本当にギリギリの勝負だった。薄氷を踏むとはこのことかと思いながらも、私はギリギリの所で敗北を免れることに成功した。あと3秒遅かったら敗北していた、これはリアルな時間で。コンビニを出る時にペットボトルのお茶を一本買ったのだが、その時に私が発した「ありがとうございます」の言葉にはこれ以上無いほどの謝意の実感が伴っていたはずだ。


うっすいうっすいカンチャンをツモって100点差でまくりトップ、というような辛勝を経てバスターミナルに着いたのは集合時間の約5分前だった。これも実にギリギリのラインだった。これを逃してしまえば、バス代の5500円をドブに捨てることになるばかりでなく、新たに新幹線チケット14000円を購入して京都に向かわなくてはならない。約20000円の損失だ。そんな大金どこから出てくるっていうんだ。


バスに乗り込んだ時に私の頭の中には「命からがら」という言葉が鎮座していた。マジで命からがらだった。

目覚ましはちゃんとかけよう。ちゃんと鳴るかどうかも確認しよう。本日の学びと気付きである。

朝から何も食べていなかったので腹ペコだった。バスがサービスエリアに立ち寄った際に何か食べたいなと思っていた。

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最初の休憩スポットである海老名SAに降り立つと、いそいそとフードコートを目指したが、スイスばりのあまりの物価の高さにびっくりした。

吉野家の牛丼並盛が600円もしていた。ラーメン類は軒並み1000円オーバー。これは無理だと思い

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コンビニでおにぎりを一つ買って我慢した。

その後Twitterに

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このように投稿したのだが、私と同じようなことを考えている人が他にもいるんじゃないかと思い「海老名SA 物価」でTwitter検索したところ、

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約半年前に私がまるっきり同じ内容をツイートしていた。アホなのかな?

ああ、貧乏が憎い。

その後、岡崎SAにも立ち寄ったが、ここも(海老名SAほどではないが)物価が鬼高かったので食事を断念。缶コーヒーを一本飲んで空腹を紛らわせることにした。

こうしてアホなことを書いている間に、バスは最後の休憩スポットの草津SAに到着した。

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ま、どーせここもシンガポールぐらい物価が高いんでしょ。はいはいすごいすごい、強い強い。

そう思いながらフードコートをチラ見していたら、私の目に飛び込んできたのは衝撃の「かけそば380円」だった。

本気でちょっと叫びそうになった。「ビバ草津!ビバ滋賀!神よ!」と。

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これが草津SAのかけそば380円だ。青ネギが乗っている!蒲鉾まで乗っている!

貪り食った。

最近食べた蕎麦の中でもトップクラスの美味さだった。

私は僥倖に打ち震えていた。神は死んではいなかった。

得も言われぬ多幸感に包まれた私を乗せてバスは最後の数十キロを再び走り始めた。

ここからは1時間もかからない。

これから四日間の京都ツアーが始まる。

上々の滑り出しだということにしておこう。

こうやって移動している時にいつも「お客さん来るかな」とか「うまく演奏出来るかな」なんてことがあれこれと不安になる。

けれど今回も全て本当に素晴らしい音楽家の方々との演奏の機会を頂いている。

その機会に感謝しながら、精一杯やってきます。

演奏スケジュールは以下。

5月25日(木) 京都三条 Sesamo
075-251-0858
http://sesamo.okoshi-yasu.net/
「Sesamo open jam session」
vocal:市川芳枝 bass:矢野克宏 drums:大江秀明 piano:福島剛
20:00~start music charge:1500円

5月26日(金) 京都先斗町 Stardust Club
075-221-2505
http://stardustclub.jimdo.com/
vocal:市川芳枝 bass:村田博志 piano:福島剛
20:00~start music charge:2500円

5月27日(土) 京都伏見 レミューズカフェ
075-622-0014
http://lesmuseskafe.com/
【福島剛トリオ】
piano:福島剛 bass:鶴賀信高 drums:市川綾野 
19:00~start music charge:2500円

5月28日(日) 京都西院 さうりる
050-3749-3566
http://sahouril.com/
sax:登敬三 piano:福島剛 
14:30~start music charge:2500円

どこかでお会い出来ますように。

頑張ってきます。

今日の演奏動画。

Oscar Pettifordの作曲した『Tricrotism』をソロピアノで弾いてみました。リードシート(譜面)も添えてあります。


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2023年5月24日 (水)

市川修先生の作曲した『Ayano』と『Akiho』を弾く

現在一緒にバンドをやっているドラムの市川綾野さんは、ご存知の方も多いかも知れないが、2006年に亡くなった私のピアノの師、市川修先生の娘だ。

なので彼女が小学生だった時から付き合いがあるし、なんなら彼女が中学生だった時には私が家庭教師をしていたこともある。なので私の感覚としては血こそ繋がっていないけれど「親戚の子」に近い。

その彼女と今は一緒にバンドをやっているというのも不思議な縁を感じるのだが、彼女がある時私たちのバンドの練習に「この曲をやってみたい」と曲を持ってきてくれたことがある。

市川修先生が書いた『Ayano』という曲だった。

もちろん、娘の為に書いた曲だ。

その曲をやってみたいと言われた時に「それってどういうことなんだろう」と私の頭の中で感情が少し渋滞した。

彼女からしたら、音楽家としてとても尊敬しつつも深い愛情の対象であった父。今は亡きその父が自分のことを愛おしく思いながら書いた曲を実際に自分で演奏してみたいというのは一体どういうことなんだろう、と。

あまり例の多いケースではないと思う。もちろん私にも経験のないケースだ。

数奇な物語を思いながら私は「いいよ、やろう」と答えた。

ただし私は一つだけ条件を出した。

市川先生が書いたたくさんの曲の中で『Ayano』という曲ともう一つ、『Akiho』という曲がある。これを必ず一緒にやろうというのが私が提案した条件だった。

これは綾野さんの妹、市川先生のもう一人の娘明穂さんに向けて書いた曲だ。

なんなんだろう。自分の師匠に対して大変失礼な言葉とは承知しつつも…親バカなのかな…

片方だけやるのは不公平な感じがするという私の思いから提案したその条件をバンドメンバーが快諾してくれたので、市川先生の書いた『Ayano』と『Akiho』はそれ以来私たちのバンドのレパートリー曲となっている。というか、我々がやらんで誰がやるんだ、という曲だと思っている。

父を思い、父が自分に向けた曲を演奏する一人の演奏家としての娘の物語。

もちろん、一緒に演奏してくれるベースの鶴賀くんにも彼の歩んできたここまでの物語があるし、そして私にも私の物語(そこには当然市川先生の姿もある)がある。

私たち三人の物語と、市川修先生の物語が交錯する。

それはとても素敵なことのように私は感じる。


多分今週のトリオのライブでもこの曲をやろうと思っているので、練習がてらこの曲を録音したかった。出来ればピアノを調律した直後に、真っ直ぐな気持ちで弾いてみたかった。

なので先日ピアノを調律した直後にこの2曲を弾いてみた。

これは私が「一人(二人)で」紡いだ物語。

今週末には「三人(四人)で」新しい物語を紡ぐ。

是非観に来て頂きたい。

5月27日(土) 京都伏見 レミューズカフェ
075-622-0014
http://lesmuseskafe.com/
【福島剛トリオ】
piano:福島剛 bass:鶴賀信高 drums:市川綾野 
19:00~start music charge:2500円

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今日の演奏動画。

私の師、市川修氏が二人の愛娘の為に書いた『Ayano』と『Akiho』を二曲続けてソロピアノで弾いてみました。

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2023年5月23日 (火)

気付いたら明後日からまた旅だ

今日のレコード。

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Roy Eldridge 【The Greatest "Little Jazz"】。ラッパの音がでけえええええ、とウットリする。ラッパの音がでかいのは良いことだ。

一昨日ピアノの調律をしたのでまだまだピアノは絶好調。今のうちにと思って今日も録音をたくさん。特に「調律したてのピアノじゃないと弾きたくない曲」を中心に。

弱音(じゃくおん)のロングトーンを表現としてたくさん使いたくなる曲はこの状態の時じゃないと弾けない(弾きたくない)のでそういうやつを。多分一週間後ぐらいに公開するのでお楽しみに。楽しみにしている人がいるかどうかなんて知らんけど。

5月に入った時に「そうかー、今月は二回も関西に行くんだな」と思っていたのだけれど、今月二回目の関西行きは明後日からだった。もっと先のような気もしていたし、なんならこないだ関西から帰ってきたところじゃないかと思っていたのに。ま、二回も行けるのは嬉しい。

今回は行きも帰りもバスの旅。宿は調べられる範囲内では最安値だった3泊で6900円のドミトリー。貧乏旅行バッチこいだぜ、かかってきやがれ。こちとら貧乏旅行のベテランなのだよ。今月は調律も入れちゃったしね、切り詰められるところは切り詰めていかないと。

ということでこちらにも関西ツアーの詳細を。今回は全部京都です。セッションが一つとライブが三つ。どれもめちゃくちゃ素晴らしい方々との超絶楽しみなギグです。


5月25日(木) 京都三条 Sesamo
075-251-0858
http://sesamo.okoshi-yasu.net/
「Sesamo open jam session」
vocal:市川芳枝 bass:矢野克宏 drums:大江秀明 piano:福島剛
20:00~start music charge:1500円


5月26日(金) 京都先斗町 Stardust Club
075-221-2505
http://stardustclub.jimdo.com/
vocal:市川芳枝 bass:村田博志 piano:福島剛
20:00~start music charge:2500円


5月27日(土) 京都伏見 レミューズカフェ
075-622-0014
http://lesmuseskafe.com/
【福島剛トリオ】
piano:福島剛 bass:鶴賀信高 drums:市川綾野 
19:00~start music charge:2500円

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5月28日(日) 京都西院 さうりる
050-3749-3566
http://sahouril.com/
sax:登敬三 piano:福島剛 
14:30~start music charge:2500円

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是非お越しくださいませ!

あ、旅支度をなんにもしていない!


今日の演奏動画。

Sammy Fainの作曲した『That Old Feeling』をソロピアノで弾いてみました。

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2023年5月22日 (月)

ガチめレッスンは肉体疲労多め

今日のレコード。

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Art Blakey Quintet 【A Night at Birdland vol.1】

いいねえ、ハードバップ。これこそハードバップっていう名盤。みんな端正なのに熱くて本当に素晴らしい。

そういえば「今日のレコード」アップするのも久しぶりだなと思った。ここの所仕事場からの更新がなかなか出来なかったから。

「今日のレコード」がアップされている時は仕事場で諸々の仕事を終えて最後にレコードを聴きながらブログをアップしている時です。


今日は朝から千駄ヶ谷でレッスン。割と「ガチめ」のレッスンが多かった。そういうレッスンって生徒もすごくやる気があって向上心もあるから精神的にはストレスもないし全く疲れないんだけど、肉体的には結構疲れる。こっちもものすごく集中してやるから。

幸せな疲れなので一切問題はない。

で、そこから小岩に戻って昨日に引き続き怒涛の録音ラッシュ。ピアノの調子が良いうちに録れるだけ録っておかないと。


明日もひたすら録ります。


今日の演奏動画。

Irving Berlinの作曲した『The Best Thing For You Is Me』をソロピアノで弾いてみました。

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2023年5月21日 (日)

朝から調律

朝から調律師の青木さんに来ていただいてピアノの調律をしてもらっている。

これから梅雨入りするし梅雨の時期はどうしても湿気でピッチが狂うから梅雨を明けてからの調律にしようかなとも思っていたのだけれど、もう限界が来ていたし、色々な録音をしなくてはならない状況だったからこのタイミングで。大丈夫大丈夫、ピアノの部屋は除湿器ガンガンかけておけば何とかなる。まあそれでもね、やっぱり毎日何時間も弾くからどうしても狂ってきちゃうんだけど。こればっかりは仕方ない。

調律の時間はいつも二時間強。

この時間に別室にパソコンを持ち出してやらなくてはならないあれこれの作業を終わらせる。

日課の譜面書きもやるのだけれど、ピアノは調律中で使えないのでギターを持って来て音を取るのだけれど、やはりギターではなかなか細かいところまではわからない。ギタリストならギターの方が都合が良いんだろうけれど私はピアニストなのでね、これも仕方ない。大雑把に譜面を作っておけばあとはピアノで最終確認すれば良いだけだからこれはこれで良いのだ。

この毎日のブログ更新も調律をしていただいている間に。

もうすぐ調律が終わる。

ここからは怒涛の録音ラッシュに入ります。

調律したばっかりのピアノを弾くの、本当に気分が良いんだ。

自分の演奏が自分じゃないみたいに素敵に聴こえる。

これはピアニストならではの喜びなんだろうなあ。

もうすぐ調律が終わる。嬉しいな。

お金は飛んで行ってしまうけれど、それでも嬉しい。

今日の演奏動画。

Steve Swallowの作曲した『Eiderdown』をソロピアノで弾いてみました。

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2023年5月20日 (土)

深く潜って断片を拾う

結局昨日は作曲があまり進まずにタイムアップとなって家に帰った。

気を取り直して今日、朝から眠い目をこすって仕事場に行って作曲の続きをやったらそこそこ進んだ。

で、その時にいくつか考えたことがあって。

こういう「物づくり」に類する行為って、実は明確なゴールはない。やればやるほどにもっと良くなるんじゃないかという気持ちが出てくるのでどこが明確な「終わり」なのかはわからない。だからこそ「妥協せずにやる」というところと「まあこの辺で勘弁しといたるわ」という部分とのせめぎ合いが面白い。時間ギリギリいっぱいまで「もっと良くなるんじゃないか」を考えることこそが物づくりの本質なのかも知れないなと思った。

もう一つ思ったこと。

昨日あまり進まなかった作曲が今朝には割とスムーズにいったことの理由を自分なりに推測したのだけれど、これは昨日のうまくいかなかった時間が効いているんじゃないかと思った。

他の人はどうだかは知らないけれど私の場合、作曲って「一度深く潜る」作業なのだ。

自分の心の奥に一度深く潜る。そこに転がっている風景やメロディといったイメージの断片をとにかく片っ端から拾ってくる。

拾ってきたそれらはその時点では相互の整合性はない。まるで無関係な言葉たちのようなのだけれど、それらをきちんと繋ぎ合わせて一つの物語にする。私が作曲をする時にはそんな行程を辿ることが少なくない。

昨日一日しっかり潜って拾ってきた言葉や景色の断片があったから今日の朝は割と進んだのかな、そう思った。

今は池袋でのレッスンを終えて小岩に戻る電車の中。

今日は夜は柔道の稽古があるから、家に戻って稽古に行く支度をしたらもう一度仕事場へ行って作曲の続きをやってから稽古に行こうかな。あと一息なんだ。

すごく不安だったけど、何とか明日の調律終了までには間に合うかも知れない。


今日の演奏動画。

Quincy Jonesの作曲した『The Midnight Sun Will Never Set』をソロピアノで弾いてみました。

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2023年5月19日 (金)

曲が書けない

発狂しそうである。

曲が書けない。

そもそもなんでそんなことになっているかというと、話は数日前にさかのぼる。

楽曲の配信でいつも使っているTuneCoreという楽曲配信サイトからお知らせがきた。

5月25日までに配信の手続きをすれば一曲だけ一年間無料で配信しますよ、というお知らせだった。

こういうことはこれまでにも何回かあった。

普段ならば配信の手数料がかかるのだが、それがたまたま無料になるというキャンペーンだ。

これまでにこのキャンペーンを使って二曲ほどシングル曲を配信している。金額的にものすごくオトクかと言えばそうでもないのだけれど、私は激しく怠け者なのでこういうことでもないと曲を書いてレコーディングして配信してということをしない。

なのでこのキャンペーンが来た時にはなるべく配信をするようにしている。

とは言え時間的に厳しいものもあった。

家のピアノが録音に耐えられる状態ではなくなってきているので、まずは調律師の青木さんにメールをした。調律をしないとレコーディングが出来ない。もしも青木さんが忙しくて22日ぐらいまでに調律が可能でなかった場合にはこの計画は破綻する。青木さんは凄腕の調律師なのでいつも忙しいからその可能性は十分にあった。どこかで「青木さん忙しいといいな。そしたらそもそも無理だし」なんて思っていたのだが、今回に限ってたまたま「21日にいけるよ!」とのことだった。

ぎゃー、じゃあやるの確定じゃんか。

ということで一曲書いてそれをレコーディングしなくてはならないのだが、この曲が書けない。

本当に書けない。

これまでにこういうことは何度もあった。最初のソロピアノアルバムの時も、二枚目の時も。

でも何とかしてきたんだ。

ということで今日はまだまだ作曲頑張ります。

うまくいけば今月末には新曲を一曲配信できますので聴いてください。

あー、発狂しそうー。

今日の演奏動画。

Hermeto Pascoalの作曲した『Fátima』をソロピアノで弾いてみました。

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2023年5月18日 (木)

『ゴドーを待ちながら』的な日常

だいぶ昔、大学の英文科の学生だった私が卒業論文を書くにあたって題材に選んだのはアイルランドの劇作家サミュエル・ベケットの『ゴドーを待ちながら』だった。

不条理演劇の代表作とも言われるこの作品を選んだのは、その当時「不条理こそがカッコいい!」と思っていた私の幼くて激イタいメンタルからなのだが、まさかそれから20年近くが経って「あ、確かに”ゴドー的なこと”が日常生活にはあるかもしれない」と思うようになるとは、ということを今日はふと思った。

このブログも長いこと書いているので過去に何度かこの作品に言及したこともあるが、ここでもう一度。

そんなに長い話ではない。

劇は二幕に分かれているが基本的には第一幕も第二幕も同じ話で、エストラゴンとヴラジーミルという二人の男が”ゴドー”という何者かを待っているのだが、結局ゴドーは来ない、というだけの話である。

ゴドーがやってきたらどうなっていたのか、そもそもゴドーとは何者なのか。

そういったことは劇中では一切明らかにされない。

それゆえに不条理演劇の代表作として今でも度々話題に上る20世紀の大問題作である。

この作品の重要なポイントはいくつかあるのだが、その一つとして
・第一幕と第二幕、同じような内容が繰り返される
・しかし、第一幕と第二幕では微妙に状況が変わっている
ということがある。

状況の変化は例えば
・第一幕でエストラゴンとヴラジーミルのもとにやってきたポッツォとその従者のラッキーは第二幕でもやってくるが、第一幕では謎の長広舌をカマすのに第二幕ではポッツォは盲目になっておりラッキーは何も喋らなくなっている
・唯一の舞台装置と言っていい舞台中央に生えている一本の木、第一幕では枯れ木なのだが第二幕では葉をまとっている
などなど。

これらのことから読み取れることの一つは「日常はいつも繰り返しの中にあるが、同じようなことを繰り返しているようで実は同じことは二度と起こっていない」ということである。


さて、私の話だ。

毎日柔道のためのトレーニングをして、それからピアノを弾いて暮らしている。夜になれば酒を飲んで寝る。

ほとんどこの繰り返しだ。それ以外のことが無くは無いが、9割がたこれらのことの繰り返しで私の日常は成り立っている。

なのだが、実に面白いことに、やはり同じことを二度と繰り返してはいない、ということをよく考える。

公園の木に柔道の帯を巻き付けての日々の打ち込みトレーニングでも「今日は足の角度をこうしてみよう」とか「肩の入れ方を変えてみよう」とか色々と変化がある。

ピアノに関してもそうだ。毎日同じようなことを繰り返しているようでいて、実は同じことを繰り返していない。少しずつ変化がある。

毎日繰り返してやっていることの中にYouTubeに演奏動画を投稿するというのもあるが、これも今日から新しい試みを始めてみた。大したことではないのだけれど、演奏動画の横に私の作った譜面を添えてみる、というだけのことだ。

見ている人からしたら大した違いではないのかもしれないけれど、もしも何かしらの反応があったら面白いなと思って。

ちなみにこの記事の文末にある「今日の演奏動画」は、一週間以上前に録ったものであるので、新しい試みが施されている譜面付きの動画がアップされるのは多分一週間ぐらい後だ。そこから後の動画はしばらく譜面付きでやってみようかなと思っている。

ということで明日からも私は同じ「ような」ことを毎日繰り返す。

しかしそれは厳密には「同じ」ではない。

じゃあ同じでないならば一体繰り返しってなんなんだ?

そんなことを考えた日でした。

もちろん私のところにもゴドーはやってこない。

エストラゴン「今度は何をするかな?」
ヴラジーミル「わからない」
エストラゴン「もう行こう」
ヴラジーミル「だめだよ」
エストラゴン「なぜさ?」
ヴラジーミル「ゴドーを待つんだ」
エストラゴン「ああ、そうか」

今日の演奏動画。

Wayne Shorterの作曲した『Fee-Fi-Fo-Fum』をソロピアノで弾いてみました。

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2023年5月17日 (水)

たくさん寝た

朝は毎日「朝ドラが始まる8時の5分前には起きる」ということにしている。

それよりも早く起きられれば言う事はないのだけれど、今日はまさに目覚ましをかけている7時55分に起きた。

ものすごく眠くて、ぼーっとしながら朝ドラを見たのだけれど、それでもまだ眠かった。

朝ドラが終わったら二度寝をしてしまった。

なので今日は毎日のトレーニングをサボってしまった。罪悪感。

それでも再び起きた時にはだいぶすっきりとしていたのでこれはこれで良しとしよう。

昼過ぎに仕事場に行って今度のライブのチラシを一枚作った。

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これ。詳細は以下。

6月1 日(木)東京小岩 Back in time
03-3659-0351
http://www.bqrecords.net/backintime.htm
sax:日野林晋 piano:福島剛
20:00~start  music charge: 3000円

で、これとは別のライブでやろうかなと思っている曲の譜面をメンバーに送付したりして、それから毎日の練習に取り掛かっていたらもう夕方過ぎ。

今日はセッションだからもう行かなきゃ。

ていうことでブログの更新もテキトーですみません。

今日の演奏動画。

Cleo Henryの作曲した『Boplicity』をソロピアノで弾いてみました。

2022年4月18日にもやっているのでリテイクです。

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2023年5月16日 (火)

【My Back Pages】 の翻訳に挑戦

今月末のトリオのライブのセットリストをそろそろ何となく組んでメンバーに送らないとなと思っていたので、メンバーに「ぼちぼちセットリスト組もうと思っているのでもしやりたい曲があれば教えてください」というメールを送った。

そうしたら意外な曲が候補に上がってきた。

Bob Dylanの【My Back Pages】という曲だ。

一瞬「え?」と思った。

この曲は高校生の時にめちゃくちゃたくさん聴いた私の「青春の曲」の一曲だからだ。

もちろん返す刀で「OK、やろう!」と送った。なので今月末のライブ

5月27日(土) 京都伏見 レミューズカフェ
075-622-0014
http://lesmuseskafe.com/
【福島剛トリオ】
piano:福島剛 bass:鶴賀信高 drums:市川綾野 
19:00~start music charge:2500円

多分この曲をやる。どういう風になるかな、ものすごく楽しみだ。

この曲のことを考えていたら、30年近く前の色んな景色が思い出された。それは大半は恥ずかしい思い出なのだけれど。

受験勉強の英語のことを思い出した。

私は非常に横着者だったので、あんまりきちんと英語の受験勉強をしなかった。代わりに英語の本をよく読んだ。サリンジャーの【ライ麦畑でつかまえて】とかスタインベックの【怒りの葡萄】とかフィッツジェラルドの【グレートギャツビー】とか。辞書と日本語訳された文庫本を見ながらひたすら読むというやり方。ほとんどこれで受験の英語は乗り切った。やり方として正しいか正しくないかはわからないが、私にはこれが向いていた。

その時に英語で読んでいたのが海外の小説だけでなく詩だった。その中でも特にBob Dylanの詩は好きだった。彼の歌が好きだったのもあるし、その彼の書く詩がとても好きだった。彼の詩をよく日本語に訳していた。

ということで今日は久しぶりにBob Dylanの詩の翻訳にチャレンジしてみる。できるかな。

【My Back Pages】

Crimson flames tied through my ears
Rollin' high and mighty traps
Pounced with fire on flaming roads
Using ideas as my maps
"We'll meet on edges , soon," said I
Proud 'neath heated brow.
Ah , but I was so much older then ,
I'm younger than that now.

ぼくの耳に縛りつけられた真っ赤な炎
高く転がっていく大きな罠
炎の道で共に飛びかかる
思いをぼくの地図にするんだな
「じきに世界の果てで会うよ」
額の熱が誇らしかった
ああ、あのときぼくは随分 老けていた
今はあのときよりもずっと若い

Half-wracked prejudice leaped forth
"Rip down all hate," I screamed
Lies that life is black and white
Spoke from my skull. I dreamd
Romantic facts of musketeers
Foundationed deep , somehow.
Ah , but I was so much older then ,
I'm younger than that now.

難波しかけた偏見が跳び出して
「どんな憎しみをも引き裂け」と叫んだ
人生は勝つか負けるかなんだなんて
そんなの嘘っぱちだとぼくは夢見た
銃士の語る理想論は深い事実に裏打ちされてるんだってさ、知らないけど
ああ、あのときぼくは随分 老けていた
今はあのときよりもずっと若い

Girls' faces formed the forward path
From phony jealousy
To memorizing politics
Of ancient history
Flung down by corpse evangelists
Unthought of , though , somehow.
Ah , but I was so much older then ,
I'm younger than that now.

少女たちにかかれば見透かされてるよ
あんたがたが大層に昔からの歴史の記憶だなんて言っていることが
単なる嘘くさい嫉妬から来ているってことをさ
福音を信じた昔の人たちは彼女たちを打ちのめすのかな、どうだろう
ああ、あのときぼくは随分 老けていた
今はあのときよりもずっと若い

A self-ordained professor's tongue
Too serious to fool
Spouted out that liberty
Is just equality in school
"Equality," I spoke the word
As if a wedding vow.
Ah , but I was so much older then ,
I'm younger than that now.

自分が正しいと信じて疑わない教授たちの言葉
馬鹿にしたいのにそれが憚られるぐらい深刻ぶる大人
自由って所詮学校の中での平等のことなのかな
「平等」ってもう一回言ってみた
結婚の誓いみたいにさ
ああ、あのときぼくは随分 老けていた
今はあのときよりもずっと若い

In a Soldire's stance , I aimed my hand
At the mongrel dogs who teach
Fearing not that I'd become my enemy
In the instant that I preach
My pathway led by confusion boats
Mutiny from stern to bow.
Ah , but I was so much older then ,
I'm younger than that now.

まるで兵士にでもなった気分でぼくが銃口を向けた雑種犬
恐れもなしに彼は教えてくれた
ぼくが彼の敵に変わる臨界点
それはぼくが思い上がった時のことだった
ぼくが歩く道を導いてくれるのは混乱した小舟だ
トモからミヨシまですっかり乱れている
ああ、あのときぼくは随分 老けていた
今はあのときよりもずっと若い

Yes , my guard stood hard when abstract threats
Too noble to neglect
Deceived me into thinking
I had something to protect
Good and bad , I define these terms
Quite clear , no doubt , somehow.
Ah , but I was so much older then ,
I'm younger than that now.

そうだ、自分の殻を硬く強くするんだ
そうでもしなけりゃぼんやりとした不安はあまりに高潔でもはや無視できないぜ
自分を騙そうぜ
世の中は正義と悪だ
ハッキリと定義してやろうぜ
何の疑いもなく悪を滅ぼすんだ
知らんけど
ああ、あのときぼくは随分 老けていた
今はあのときよりもずっと若い

今日の演奏動画。

Bob Dylanの作曲した『My Back Pages』をソロピアノで弾いてみました。

2020年5月25日にもやっているのでリテイクです。

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2023年5月15日 (月)

電車が遅れたぐらいでぎゃーぎゃー言うな

朝からレッスンに向かうために千駄ヶ谷へ。

浅草橋での乗り換えの時に立ち食いそば「ひさご」に立ち寄ってたぬきそば380円を。

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やっぱり美味い。醤油の味がキリッと効いたここの少々個性的なそばはすごく好みだ。つゆを完飲したかったけれど、完飲してしまうとそのあと結構喉が渇くので我慢。しかし美味しかった。

浅草橋でJR総武線に乗り換えて千駄ヶ谷を目指そうとするも、総武線が御茶ノ水駅で停まってしまった。どうやら新宿駅で人身事故があったらしい。

これは参ったな、遅刻確定だなと思って教室のスケジューラーを見たら、私のレッスン以降も教室は空いていた。

なのですぐに生徒に連絡して30分ディレイでレッスンとしても良いですかと聞いてみたところ「大丈夫です」とのことだったので、そこから何とかして神宮前の教室に向かう方法を考えた。

御茶ノ水からだったら、歩いて神保町まで行って半蔵門線に乗れば表参道まで行けるな、そこから歩けば何とかなるかなと考えた。

なので一旦御茶ノ水の改札をくぐって外に出て神保町方面へ向かって歩いた。

神保町の古本屋街を歩くと何となく懐かしい気持ちになった。

若い頃は本を読むのが好きだったから、お金があるといつも神保町に安い古本を買いに来た。ついでにレコード屋でCD買ったりね。若い頃の私のおもちゃは本とCDだったなあ。

神保町から半蔵門線に乗って表参道について、予定通り30分押しでレッスンをすることが出来た。

なので私に関しては何も問題はなかった。

人身事故で人が死ぬと、決まって「死ぬなら勝手に死ねよ、人に迷惑かけるなよ」なんて言うやつがいるが、電車が遅れたくらいでぎゃーぎゃー言うなと私は言いたい。そんなこと大したことではないのだ。たとえそれにより金銭の損失が発生したとしても大したことではない。

電車に飛び込んでしまった人のことを考えると胸が痛む。

生きるのがつらかったんだろうな。

大変だったんだろうな。

電車が遅れたぐらい大したことじゃないよ。

今日の演奏動画。

Matt Dennisの作曲した『Will You Still Be Mine ?』をソロピアノで弾いてみました。

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2023年5月14日 (日)

再現力と対応力

昨日は昼にライブをして夜に柔道をしてという一日だった。

夜に柔道があるからといって昼のライブで体力温存するなどというのは本末転倒であり言語道断なので、昼のライブは全力かつ全集中で臨んだ。

そのおかげという訳ではないが、すごく幸せな時間だった。

もう自分でもハッキリとわかっていることがあって、「決められたことをきちんとやる」という音楽の現場は私には無理だ。無理だというよりも、私よりも適任な人間が山ほどいる。わざわざそのような現場に私を呼ぶことはないだろうし、実際に呼ばれない。

そういうことを想定して普段から練習していないせいもあって、私は音楽的に「予め決まったことをきちんとやる能力」が異常に低い。具体的に言えば、譜面に記載されたことや参考になった音源を忠実に再現していく能力のことだ。

もちろん毎日の練習の中で譜面は書くし、それを“一旦は”再現する為の作業はするので、そういうことの積み重ねの中でイヤでも読譜力や再現力は上がっていくので「人並み」には出来るのだけれど、そういうことに関するものすごくプロフェッショナルな人たちをこれまでに何度か見たことがあって、そういう人たちに比べれば私の読譜力や再現力など足元にも及ばない。

これに関しては今後も少しずつ改善していきたいのだけれど。

では何を想定して毎日練習しているかと言うと、「何が起こるかわからない中でどのように対応し変化し創っていくか」という部分だ。

ジャズという音楽に即興的な部分がいくらかあるために、そういうこともそういうことで大事なのだと思っている。

なので練習の大半は
・想定されうる様々なケースや楽曲を一度自分に体験させること
・その時に行われた「対応」を分析して、なぜその「対応」になったかを考えること
・対応しうるに必要な基礎体力をつけておくこと

という点に集約されるのだけれど、こうやって考えると実に柔道の稽古に似ているなあと感じる。

柔道に限らないかも知れない、相手がいるコンタクトスポーツは大体そうなのかも知れない。

相手がいるおかげで常に状況はめまぐるしく変化し、それに対応する能力が求められる。

そういう鍛錬は、私がやっている音楽の鍛錬と共通することなのかもしれない。

なんだかとりとめもなく堅苦しく書いちゃった。

昨日は音楽も柔道もそんな感じでとても楽しくて幸せな日だったよということです。


今日の演奏動画。

Bob Mintzerの作曲した『Re-Re』をソロピアノで弾いてみました。

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2023年5月13日 (土)

初めからバラードの良さはわからなかった

立川「Jesse James」での昼ライブ終了。

ありがたいことにここ数ヶ月間、月に一回定期的にやらせてもらっているボーカルの高原かなさんとのデュオ。

お客さんこそそんなに多くはなかったけれど、集中して充実の演奏が出来た。とても楽しかった。

ステージをやっているさなか、高原さんがMCで「昔はとにかく速い曲がやりたかった。ひたすらスイングしたかった。ゆったりしたバラードなんてやりたくなかった。それが色んな経験を積んでいく内にバラードの楽しさや美しさがわかってきて、今はバラードをやるのはとても好きだ」ということを言っていた。

わかるなあと思うと同時にそれは私にとってはすごく「正しいこと」のように思えた。


もちろん私もバラードを弾くのは好きだ。静謐な中で青白く光る炎のような情熱や、透き通った水の中に光が差すような美しさを少しでも表現出来たらなと思ってやっている。


それは私が猥雑で俗物的な部分が多いにあるからこそそう願うのではないだろうかと思うのだ。私は決して心の綺麗な人間ではない。


そんなことを考えながら若い頃の恥ずかしい自己顕示欲みたいなものを思い出していた。

自分は優れている、自分は社会や他人にとって必要な人間であると思いたいせいで、不必要に自分をアピールしてしまう。とにかく自分のことを喋りたい、人の話なんて聞いてる暇はないとでも言わんばかりに。

どこからどう見てもイタイし恥ずかしい。

けれど、そういう経験があるからこそ人の話に耳を傾ける価値を少しずつわかってきたのではないかなと思うのだ。

再び音楽の話に戻るが、若いドラマーなどが「たくさん叩き過ぎだ、それに音が大き過ぎる」と叱られているシーンをたまに見るが、その時には私は「良いじゃん叩きたいんだから。たくさん叩きなよ。ドカスカとデカい音も出しまくろうよ」と思ってしまう。

なぜならば、そういう道を辿らないで「小さな音とスペースこそが美しい」という結論に達されても、私の中では“なんか嘘くさい”からだ。


若い頃のやり場のない情熱や自己顕示欲、漠然とした不安や焦燥感。

そういうものをきちんと通過してこないのはヤバい、と私はどこかで思っている。


バラードの美しさに最初から気付ける人は確かにすごい。けれど昔はわからなかったその良さに後から気付けることもそれと同じかそれ以上にすごい。

何がきっかけでそうなれるかと考えると、多分全てをありのままに認め受け入れて、そして肯定していくということなんじゃないだろうか。

これからもなるべくそういう風に音楽をやりたい。

“今起こっていること”をとにかく肯定して受け入れていく、というスタンスで。

そして変化を決して恐れずに。

今日はそんなことを考えたライブだった。とても楽しかった。高原さんとお店とお客さんに感謝。


今日の演奏動画。

Tommy Flanaganの作曲した『Beyond The Bluebird』をソロピアノで弾いてみました。

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2023年5月12日 (金)

ネットの悪評の信憑性

昨日も書いたけど、昨日と今日は二日連続の無職デーだった。

なので昨日の内にしっかり練習を終わらせておいて、今日は遊びに行っていた。

一人で魚釣りに。

今年初めての魚釣りだった。

朝の4時に起きてそこから電車に乗って逗子駅まで。

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そこでバスを待って

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葉山まで行ってきた。

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久しぶりの魚釣りなのでどういう形態の何釣りに行こうかなと悩んだのだけれど、結局手漕ぎボートによるキス釣りを選択した。

お世話になった貸しボート屋は「葉山釣具センター」というお店。

ずっと気になっていたのだけれど初めて行った。

ちょっと気がかりなことが一つあって、事前にこの「葉山釣具センター」をネット検索すると「最悪だった」とか「二度と行かない」みたいな書き込みがあったことだ。

怖い所だったらイヤだな。怒られないように頑張ろう。

そんなことをうっすら考えていたのだが。

結論から言うと、めちゃくちゃ良い店だった。フレンドリーだし親切だし。私には悪いところなど何一つ見つからなかったどころか「めちゃくちゃ良かったし絶対また行こう。リピート確定」と思うぐらいの超優良店だった。

悪い口コミを書いている人間たちの神経を本気で疑うレベルで良い店だった。心配して完全に損した。


で、なぜそんなことが起こるのかと考えてみたのだが。

釣り界隈の人たち(釣り船の船長さんとか)は言葉が少々荒っぽいこともある。来店したからと言って「お客様いらっしゃいませ」とは言わずに「おはようさん!よろしくね!」ぐらいの感じはザラにある。

もちろんだからといってその人たちの人間性までもが荒っぽいかというとそんなことはほとんどない(ごく稀にはある)。

それは一種のその業界の言葉遣い(あるいは方言)みたいなもので、我々音楽業界の人間が夜中の現場に入る時にも「おはようございます」と言うようなものだ。それはそういうものなのだ。

そこを真に受けて「サービス業のくせに礼儀がなっとらん!」と怒るような人はお門違いも良いところだ。それはそういうものなのだ。

もう一つ。こっちの方が深刻な問題かなとも思うのだが、ひょっとして客側に問題があったからなのでは?というところだ。

これは釣り船屋や貸しボート屋などに限らず、様々なお店にはそのお店を円滑で平和に営業するためのローカルルールのようなものが多数存在する。それは様々なお客さんが心地良く過ごすためのルールなのだ。

初めて行くところならばその店のルールがわからない時もあるだろう。わからなければ訊けば良いだけだ。そしてそのルールに従うことで初めて我々は「客」となれる。

もしもそのルールを守れない人がいたらどうだろう。

例えば我々の演奏会場。そこで泥酔して音楽も聞かずに大声を出し続ける客がいたとしたら。

当然店側はそういう客を排除する。それはそのお店に来ることを楽しみにしていた他のお客さんの平和の為だ。

そうやって排除された“客ですらない無法者”が後日ネットなどに「先日行った店は最悪だった。もう二度と行かない」などと書き込んでいたとしたらどうだろう。

その情報だけを見た人間は「あ、そういう怖い店なんだ」と思うかも知れない。だって事情がわからないんだもの。ある意味では“言ったもの勝ち”だ。

なんなんだそれは。

私が昨日見た「葉山釣具センター」に関するネガティブな書き込みは、あるいはそういった類のものなのではないかと思っている。だってスタッフの方々はみんなものすごく親切で社交的だったもの。それに文句言うってどうなんだ。

釣りの結果の方は、大きくはないものの美味そうなシロギスを中心に50匹ほど釣れた。

帰り際にスタッフの方に「釣果の写真を撮ってインスタに上げても良いですか?」と聞かれたので「良いですよ」と快く応えた。

ということで「葉山釣具センター」の今日のインスタグラムには私のアホづらがアップされている。

https://www.instagram.com/p/CsIcsv1PCEZ/?igshid=MzRlODBiNWFlZA==

とても良い休日だった。

そしてとても良い店だった。絶対また行く。

今日の演奏動画。

Cedar Waltonの作曲した『Martha's Prize』をソロピアノで弾いてみました。

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2023年5月11日 (木)

柔道世界選手権atドーハ4日目の感想

今日のレコード。

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Mal Waldronの【Run about Mal】。スタンダード中心で聴きやすいんだけど、その中にもしっかりMal Waldronぽさもあってとても好き。ベースはGeorge Mraz。相変わらずめちゃくちゃピッチ(音程)が良い。ジャズのコントラバス奏者の中ではトップクラスにピッチ良いんじゃないかな、この人。

今日と明日は久しぶりの二日続けての無職デー。仕事がない日。

明日はめちゃくちゃ久しぶりに一人でちょっと遊びに行こうかなと思っていて、その準備も少ししてた。ピアノの練習をがっつりやるのも準備の一環。明日は練習をサボるから今日出来るうちにしっかりやっておかないと。

何とか明日は遊びに行けそう。ま、朝早く起きられたらの話なんだけど。

昨日の柔道世界選手権は何とかリアルタイムで見れた。その時間まで起きていられることが出来たから。

昨日は男子81㎏級と女子63㎏級。

個人的にずっと応援している永瀬貴規選手が男子81㎏級に出場していたので注目していたのだけれど、永瀬選手は優勝こそ逃したもののしっかり「永瀬」だった。特に敗者復活戦と3位決定戦は「永瀬」だった。ここから更に強くなれる、そう期待させてくれる「永瀬」っぷりだった。

昨日特に素晴らしかったなあと感じたのはのは男子女子各階級で優勝した二人の選手。

男子81㎏級を制したジョージアのグリガラシビリ選手は前回大会の王者でもあるのだけれど、昨日の柔道は本当に素晴らしかった。パワーとスピードと技術のバランスが良くて、圧巻の優勝劇だった。こりゃあ次回もこの階級はグリガラシビリ選手を中心に回っていくかなあという印象。もちろん永瀬選手にも大いに期待。

女子63㎏級を制したフランスのアグベニュー選手は元々はこの階級の絶対的な女王。出産によってしばらく戦列を離れていたのだがどういう戦いを見せてくれるかなと思ってみていたのだが、やはり素晴らしい柔道だった。

若い頃の印象とは少し違ったのだけれど、あるいはこれが「柔道が成熟する」ということなのかもしれないと思った。母としての強さを得たアグベニュー選手には今後も注目していきたい。

今日以降も熱戦に期待。今日と明日は見られるかがかなり微妙なんだけれど。


今日の演奏動画。

Lawrence Williamsの作曲した『Number 6』をソロピアノで弾いてみました。

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2023年5月10日 (水)

今日は月に一回の基礎練習会

今日のレコード。

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Thomas 'Fats' Waller の【Young Fats Waller】。めちゃくちゃピアノが上手いのにどこまでも「自然」。この人は本当にすごい。大好き。偉大。


二日間続けて柔道世界選手権atドーハの感想を書いていたけれど昨日は寝落ちしてしまって見れなかった。我が家のテレビには録画機能がついていないので録画して見ることもできず。仕方なくネットで結果だけ見る。

カナダ代表の出口クリスタ選手が女子57kg級を制したとのこと。

この間演奏に行ったお店の店員さんでハーフの若い綺麗な女性店員さんがいたので、挨拶をする時に「出口クリスタ選手に似ていてお綺麗ですね」と言ったのだが完全に「誰それ?」という顔をされてしまったことを思い出した。

出口選手おめでとうございます。決勝戦の決まり手が「山嵐」となっていたのに驚愕した。姿三四郎!


今日はしっかり起きて朝から柔道のトレーニング。終わったら千駄ヶ谷へ行ってレッスン。

レッスンを終えて小岩に戻ってきてからは月に一度のお楽しみ、ベースの野々口毅さんとの基礎練習会。今日もみっちりといっておいた。単純な基礎練習なんだけれど、野々口さんと一緒にやることでぐっと難易度も上がって楽しさも増す。本当に感謝。

その基礎練習会が終わってこのブログを書いている。

この後はもう一つレッスンをして今日はおしまい。

昨日は寝落ちしてしまった柔道世界選手権だけれど今日は何とか起きて見たい。男子81㎏級にはずっと応援している永瀬貴規選手が出場するからだ。

全柔道選手の中で最も「永瀬」である永瀬選手。永瀬選手は今日も「永瀬」であるのか。非常に楽しみ。

今日の演奏動画。

Antonio Carlos Jobimの作曲した『Once I Loved (Amor En Paz)』をベースの野々口毅さんとデュオで弾いてみました。

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2023年5月 9日 (火)

柔道世界選手権atドーハ二日目の感想

今日は少々簡潔に。

柔道世界選手権の二日目。まずは女子−52kg級での阿部詩選手のパーフェクトな柔道に驚いた。担いで良し、跳ねて良し、寝て良し。緻密な組手も実に見事だった。

完全勝利の優勝と言って良いし、年齢的にもまだまだ若い、これからもこの階級ではしばらく彼女が「絶対女王」として君臨しそうだ。とても嬉しい。


男子−66kg級では日本代表の二人に注目していた。永遠のライバルである阿部一二三選手と丸山城志郎選手の二人である。

これまでにも幾度にも渡る死闘を繰り広げてきたこの階級の二大エース。この大会でも圧倒的な強さを見せつけながら決勝戦で相まみえた。

手の内を知り尽くした者同士のものすごくハイレベルな攻防に手に汗を握った。
私個人としては若干丸山選手を応援していたのだが、結果としては阿部選手に凱歌が揚がった。本当に微差だった。組手での攻防で阿部選手に少々のアドバンテージがあったようにも見えたが、あそこまでハイレベルな戦いにおいては何も言うことはない。素晴らしい死闘だった。両選手の健闘を心より称えたい。

今日は簡潔に書く、と冒頭に書いたのは、この試合のテレビ中継に対して私が激しく憤っているからだ。

ネットニュースなどでも話題になったので何が起きたのかは知っている人は知っているだろうしここでは書かない。

阿部選手と丸山選手がここまで紡いできた珠玉の物語、そして彼らが青畳の上で費やしてきた膨大な時間と汗と涙、彼らを支える仲間たちの存在。そういうもの全てを馬鹿にされたような気にすらなった。

ハッキリ言って怒っている。選手に対する敬意の感じられないテレビ中継ならばもう二度と関わらないでほしい。

こうした怒りの言葉が多くなってしまいそうなので今日はここまで。

本日以降も各国の素晴らしい選手たちの活躍に期待したい。

今日の演奏動画。

Jerome Kernの作曲した『Nobody Else But Me』をソロピアノで弾いてみました。

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2023年5月 8日 (月)

柔道世界選手権atドーハ1日目の感想

今日のレコード。

Fvml9l4amac0czh

Dick Morgan Trio の【Settliin' in】。Ahmad Jamalみたいなスペースの使い方と独特のファンキーさがすごく心地いい。

レコード聴きながらブログ書くの久しぶりだな。

昨日からカタールのドーハで柔道の世界選手権が開幕した。

日本とドーハは6時間ぐらいの時差があるので、向こうで夕方の18時ぐらいに試合をやっていたらこっちは深夜の24時。今回はテレビ中継もあるのだけれどテレビで見られるのがそれぐらいの時間だ。昨日はさすがに寝てしまうかなあとも思っていたのだけれど何とか起きて見ることができた。かなり酔っ払っていたけど。仕方ないんだよ、それぐらいの時間は大体酔っ払っているか寝ているんだから。

昨日はちょっと物議を醸したシーンがあって、それが日本の髙遠直寿選手が準決勝で敗れたシーン。相手のスペインのガルリゴス選手の繰り出した技が立って肘関節を極めながらの投げ技ではなかったかというのがあまり良い意味ではなく話題になった。

そのシーンは見ていたのだが、私の見解としては「反則に見えなくもないしルール上問題ないようにも見える」というどっちつかずなもの。

少なくとも昨日の時点では反則扱いはされなかった。なのでガルリゴス選手の勝利は現時点では揺るがない。

髙遠選手は以前からずっと応援しているし、彼が負けたのは少々残念なのだけれど(次また頑張れば良いじゃん、とも思っている)、こういう技が出てきた時の柔道界のの対応については以前から思うことがいくつかある。

怪我に直結する可能性の極めて高い危険な技を禁じ手として反則にする理屈には大いに賛同する。柔道は格闘技としての側面もあるので選手の安全性が十分に担保されるべきだというのは私も確かに同意見だ。

しかしあまりに反則技が増え、禁じ手が増えていくことにより、柔道が格闘技として弱くなっていきやしないかという懸念も常にある。

これまでのルール改定で私が一番疑問視しているのは、かつてなされた「足取りの禁止」だ。かつては足を手で取ることは問題なかったのだが、現在ではそれは禁止されている。理由は「組み合わないでタックルに行くなどのケースが増えるため」というようなものだったと記憶している。

このルール改定により、技のバリエーションは遥かに減ってしまったし、何より小さな人間が大きな人間に勝てる可能性がぐっと減った。このルール改定は未だにどうだったのだろうと思っている。もちろん、今現在柔道をやる私たちはそのルールに則って競技するのだけれど。

昨日の髙遠選手とガルリゴス選手との試合で繰り出された変形の釣込腰については今後どのような展開になるのかをじっと見守りたい。


そして昨日の女子の方。-48kg級。

角田夏実選手の見事な金メダル。

寝技を主体とする彼女の柔道は見ていて惚れ惚れする。現代の寝技師には若干不利なルール(寝技膠着状態での「待て」が早くなっている等)の中での活躍は、非常に痛快だ。グラップラー夏実!と見ていてついつい興奮してしまった。


今日は男子-66kg級と女子-52kg級。

女子-52kg級では現在「絶対女王」として君臨する阿部詩選手がどこまで圧倒的な勝ち方をするかが見ものだ。

そして男子-66kg級。永遠のライバルである阿部一二三選手と丸山城志郎選手。この二人が決勝で相まみえることが出来るのか、そしてどちらが勝利を手にするのか。

今からワクワクが止まらない。

今夜も寝不足が確定している。


今日の演奏動画。

Gerry Mulliganの作曲した『Line For Lyons』をソロピアノで弾いてみました。

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2023年5月 7日 (日)

魅惑のGBP

昨日は柔道の稽古があった。昨日もとても楽しかった。

稽古が終わるとほぼ必ず近所にある「やまざき」という居酒屋に行く。
道場の先輩の弟さんがやってらっしゃるお店ということで道場生たちの馴染みの店になっている。

ここで日々の稽古の振り返りをしたりしながら親睦を深めていくというのがいつものパターンだ。

集まるメンバーは職種も見事にバラバラなので、仕事の話になったとしても深刻にならないのがとても良い。ここでの時間は私にとっては貴重な癒しの時間であることは間違いない。

この「やまざき」で必ず頼む定番の料理があって、それが【GBP】というメニューだ。

初めて店を訪れた時は「なんだそれは?」と思ったのだが、現物を見てすぐに何の略かわかった。

Garlic
Butter
Potato

の略だった。

油で揚げたザク切りのフライドポテトを熱々の鉄板に乗せた後に、上からバターとすりおろしニンニクをモリモリかけちゃうという完全にパワー系のメニューである。

店ではいつも焼酎の緑茶割りをみんなでゴブゴブと飲み倒すのだが、このGBPのお陰で更に酒が進む。すさまじい勢いで焼酎と緑茶のボトルが空いていく。昨日もみな水のように酒を飲みまくっていた。

このGBPであるが、ある時から仲間の木村先生が「マスター、G多めでお願いします!」という頭が巨悪いお願いをし始めた。G多めということはガーリックすなわちニンニクが多めな訳である。「キン肉マンかよ!」とツッコもうかと思ったが、キン肉マンの最初期の設定で「キン肉マンはニンニクを食べると巨大化する」という設定があったことはもはや誰も覚えていなさそうのでやめた。

G多めは間違いなく美味い。コクにコクをプラスするのである。GとBとPの組み合わせで十分に美味いのにそこに更にGである。限界突破のGGBP、いや、GGGGBPの爆誕である。悪魔の食べ物だ。

だが、限界突破にはリスクが伴うのは当然である。

我々のメンバーの中から「柔道に行った翌日はニンニク臭いと家族から罵られる」という声がちらほらと聞かれるようになってきた。原因はもちろんGGGGBPである。

それを一緒に食べているメンバーは皆が皆ニンニク臭くなっているのでお互いには気付かない。

かつてツービートが「赤信号みんなで渡ればこわくない」という世間を皮肉った標語を詠んだが、我々は「GBPみんなで食べれば臭くない」ということになっていたのだ。みんなで食べれば臭くない。

だが、食べていない人からすれば「異臭騒ぎです!警報です!至急避難してください!」と言われてしまうレベルで臭い。災害レベルに臭い。そのことを家族から罵られるのは当然のことなのかも知れない。

かくいう私も今朝、嫁氏から痛烈に罵られた。

昨晩は酔っ払って風呂に入らずに寝てしまった為、稽古後の汗の臭い、そして日々積み重ねている加齢臭、そこにプラスされる強烈なGのスメルである。いや、もはや足し算ではなく掛け算で臭かったはずだ。

嫁氏は「北斗の拳」に出てくるヒャッハーな人よろしく「汚物は消毒だー!」と私を火炎放射器で燃やそうとしていたのだが、当然それを岩山両斬波出来る訳もなく、逃げるように風呂に入り湯船に浸かりながら念入りに歯磨きをすることで事なきを得た。

だがこれに凝りてGBPを諦めるような私ではない。

今後も力強くGBPを食べていこうと思う。

もちろんG多めで。


今日の演奏動画。

Thelonious Monkの作曲した『Friday The 13th』をソロピアノで弾いてみました。

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2023年5月 6日 (土)

譜面のリライトを料理に例えると

大阪ツアーを終えて東京に戻ってきて今日からまた通常の日々が始まった。

昼からレッスンがあったのでそれに間に合うように午前中には仕事部屋へ向かって少し譜面を書いた。

今月からちょっとした新しい試みが始まるのでその為の譜面を。

別に隠すことでもないので言ってしまうと、新しいバンドが一つ始動する。

と言ってもまだライブをしようとかそういう段階では全然なくて、とりあえず練習スタジオに入ってみて一緒に練習してみようというそういう段階。

闇雲に練習スタジオに入ってもそれはそれで面白いのかも知れないけれど、何かしらテーマがあった方がやりやすいかなと思ってメンバーの方々に「何か2曲ずつぐらいやりたい曲を持ち合って、それを予め各自練習しといてから合わせません?」と提案してみたら譜面を送ってきてくれたので、それのリライトをした。

リライトっていうのはもちろん自分で譜面を書き直すこと。送られてきた譜面を見ながらその曲の参考になる音源を何回も聴いて、もう一度全て音を取り直してみたり加筆してみたりという作業。これはここ最近はどんな時でも必ずやる作業だ。この作業をやることによって楽曲への理解がぐっと深まる。

こういうことって料理に例えてみたら、何か料理を一品出してもらった時に、それを食べた後にもう一度レシピを見ながら自分で作り直してみるという作業に似ているかも知れない。

そういうことをしていく中で「あ、ここで隠し味の味噌が良い味出してんのね」とか、「あ、ここは強火じゃダメなんだ、中火じゃなきゃこの味にならない」とかそういうことがわかっていく。

それらがある程度理解できた上で今度はどうやって「自分たちの味」にもっていくか、という段階に入るのだけれど。今はまだ「仕組みを理解する」段階。こういう下準備の作業は結構楽しい。

最近増えてきたケースなのだけれど、新しいバンドでは多分私が一番歳上。

ちょっと前まではバンドの中では一番歳下っていうことがほとんどだったのだけれど、最近は私が一番年長者というケースも度々ある。

歳を取ってきているんだなあという実感と共に、若い方と一緒に演奏させてもらえることをとても嬉しく思う。自分より先輩の方々とやるのも本当に楽しいけれど、自分よりも若い人と演奏出来るのも実に楽しい。


今日の演奏動画。

Miguel Pradoの作曲した『Time Was』をソロピアノで弾いてみました。

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2023年5月 5日 (金)

大阪ツアー終了

旅の帰り道のバスの中から。

帰り道の今日5月5日、GWの真っ最中なので各交通機関の値上がりがすさまじいことはわかっていたので最終的にバスを選択するのにはそれなりに慎重になった。

結局大阪〜東京間を約7000円で移動する高速バスの昼行便にしたのだが、決断した理由としては
・普段のバス料金に比べれば約倍額ほどだが、往路で使った鈍行列車旅よりも2000円近く安い
・激しい渋滞が予想されるが、その日(今日)は仕事の予定は無いのでいくら遅れようがその日じゅうに東京に着ければ問題無し
・渋滞による長期戦が予想されるので、少々値段を奮発して三列シートタイプを選択することで快適な旅を確保

ということにより
・7000円
・昼行便
・三列シート(トイレ付き)

というバスが選択されることとなった。

結論から言えば、大正解、大勝利である。

これを書いている現在はまだ全体の4分の1を過ぎたぐらいの前半戦であるが、その時点ですでに勝利を確信している。

まず三列シートの快適さが本当にすごい。

隣に人がいないという快適さに加え、座席自体も少々広めで座り心地もバッチリだ。

ここまでにも何度も車窓の景色を眺めながらウトウトと寝てしまった。それぐらい快適なのでここから先何時間かかろうとどれだけ渋滞に巻き込まれようと何一つ問題は無い。

もう一つ特筆すべきところを挙げたい。

乗務員やスタッフの方々が穏やかで親切だったという点だ。

何をそんな当たり前のことを、と思う方がいるかも知れないが、これは実は当たり前ではない。「なるほど確かにそれはラッキーだね」と思われる方はそれなりに高速バス旅に精通した方だろう。

これに関しては思うところがあったので少し書いてみたい。

高速バスの乗務員の中には「何でそんなに初手からイライラしてるの?」と思うような人もたまにいる。「ほら荷物!そっちじゃねーから!そんなとこいたらジャマだよ!」みたいに常に怒ってる人がたまにいるのだ。

そういう乗務員やスタッフに対して私はそれほど幻滅したり苛立ったりはしない。なぜかと言えば二つの理由があって、
・私はたまに釣り船に乗るので、そういう時の船長や中乗りの荒っぽい言葉遣い(言葉が少々荒いだけで皆親切だ)に慣れているから。
・そのように荒っぽい言葉遣いにならざるを得ないような無法者の客がこれまでにたくさんいたからなのだろうなと想像されるから
という理由である。

という理由でさほど気にならないのだが、とはいえ穏やかに接客された方が気分が良いのは事実。今日のバスの乗務員・スタッフは非常に穏やかで丁寧で安心できた。

ひょっとすると、彼らを穏やかで親切にいさせられるのは我々乗客のせいもあるのかなと思ったのだ。

我々乗客が横柄で理不尽なことを言い続けていたら、乗務員も荒々しくなっていく。我々乗客がルールとマナーを守りつつ乗車しているからこそ乗務員・スタッフは穏やかでいられる。そのようなことがあるのかもしれないなと。

映画【風の谷のナウシカ】の中でナウシカがキツネリスのテトを手懐けるシーンを思い出した。

羽蟲に襲われているところをユパに助けられたテトはその恐怖から殺気立っていたが、そこにナウシカが手を差し伸べる。テトはナウシカの指を噛みナウシカの指から血が流れるが、ナウシカは「怖くない」とテトの目を見つめる。テトから殺気が消え、テトはナウシカに懐く。ナウシカは「怯えていただけなんだよね」と言う。

【風の谷のナウシカ】の中でも有名なシーンの一つである。

荒ぶるバスの乗務員はテトなのかもしれない。バスの乗務員だけではない、様々な荒ぶる店員はテトなのかもしれない。我々はそれに対して「怖くない」と答えていくべきなのかもしれない。

今日のバスの乗務員・スタッフはテトではなかったので私もナウシカにならずに済んだ。


バスの乗り場は大阪駅のバスターミナルだったのだが、私は大阪駅の地理がめちゃくちゃ苦手だ。地下を移動している時間が長いからかもしれないが、いつも軽く迷う。今回もバスターミナルを探すのに随分迷った。

大阪駅でいつものように立ち食いそばを見つけてそこで朝食をキメてからバスに乗り込もうと思っていたのだけれど、立ち食いそば屋は見つからず、バスの出発時間も迫ってきていたので仕方なくぱっと見えたマクドナルドでの朝食とした。

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消去法的に選ばれたマクドナルドであるので何となく負けたような気分になっていたのだが、かなり久しぶりに食べるマクドナルドはなかなかに美味しく「これはこれでアリだな」という気分になったのでやっぱり負けではなくて勝ちということにした。うん、たまにはマックもありだ。


今回の大阪ツアーは非常に実りのあるものになった。演奏においては「もっとこういう風に出来たんじゃないかな」ということも多数あるが、それはそれ。まずは現実に起きたことをあるがままに受け入れて肯定していくところからしか物事はスタートしない。

本当に多くの人に支えられた。

一緒に演奏をしてくれた人、ライブを聴きに来てくれた人、ライブを支えてくれたお店の人、CDを買ってくれた人、泊まる所を提供してくれた人、話をしてくれた人。

人と関わるのが苦手でついつい一人でいることを選択してしまうことも多いけれど、やはり自分の無能ゆえにどうしても人に助けられてしまう。

そういう方々の助けがあって、好き勝手に生きていられるのだなと再認識した。

次回は今月末の京都ツアー。

東京に戻ってまた日々練習を重ねて月末に帰ってこよう。


今日の演奏動画。

Baden Powellの作曲した『Deixa』をソロピアノで弾いてみました。

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2023年5月 4日 (木)

高槻ジャズストリート二日目

色々と人の好意に助けられるところがあって、東大阪にいる。

駅としては俊徳道という駅のそば。

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もちろん東大阪という街自体が初めて訪れる街だ。

なので昨日の夜は小一時間一人でこの辺りの街を散歩しながら飲酒した。

ほどよく酔っ払っていたので、その景色を今日でもはっきり覚えているかというとはっきりとは覚えていない。

けれどその時にどういう感情だったのかなということは覚えている。

人の情に触れて暖かい気持ちになったことだとか、自分の無力さに対する不安と軽い絶望とか、それから明日から起こることに対する希望とか。

目で見る景色と、鼻で嗅ぐ空気の匂いと、耳に聞こえてくる雑踏と、肌に触れる風の感触と、それから自分の心に渦巻く感情と。

色んなものが折り重なって「旅の記憶」っていうのが作られていく。

今日は高槻ジャズストリート二日目。

今日の演奏は以下。

【高槻ジャズストリート】
https://www.0726.info/

5月4日(木)
17:00~
こなもんBar IMPACT
《西池のりこ 福島剛 Duo》
vocal:西池のりこ piano:福島剛

19:00~
Piano Lounge ALLURE
《登敬三 福島剛 Duo》
sax:登敬三 piano:福島剛

※全て投げ銭

今日も頑張ってきます。


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高槻に行く途中で新大阪駅のホームにある「麺家」でかけそば290円に無料の天かすトッピング。安くて美味い。

今日の演奏動画。

Jule Styneの作曲した『It's You Or No One』をソロピアノで弾いてみました。

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2023年5月 3日 (水)

高槻ジャズストリート一日目

大阪から。

今回は大阪オンリー。

しょっちゅう関西に来るけれど、いつも京都を中心に動くので今回のように大阪オンリーなのは初めてかも知れない。

昨日は十三でライブをしてから、堺市に行った。ベースの鶴賀が泊めてくれると言ってくれたので。

今日は朝から出発して高槻へ。13年ぶりの高槻ジャズストリートへの参加。

高槻には良い立ち食いそば屋があるかなーと思って調べてみたら、「いつもの」都そばしかなかった。

なので朝食は都そばで。

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美味いに決まっている。関西に来たら関西のそば。良いよねえ。

ということで今日は14時からのステージ一回のみ。

5月3日(水)
14:00~
高槻城芸術劇場スタジオ中
《高原かな with 福島剛トリオ》
vocal:高原かな piano:福島剛 bass:光岡尚紀 drums:市川綾野

頑張ってきます!

今日の演奏動画。

Lew Spenceの作曲した『Nice'n Easy』をソロピアノで弾いてみました。

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2023年5月 2日 (火)

再び柔道を始めるきっかけとなった物語

東京〜大阪間を鈍行電車で移動をしていて時間がたっぷりあるので、今日は少し長い文章を書いてみようと思う。

一年と少し前から柔道をやっているのだが、それについて人から「何で?」と聞かれることがよくある。

実はここに関しては話すと少々長くなる事情があるのだが、それをうまく説明出来ないので「まあ、若い頃にやってたんで」と答えるに留めている。それは決して嘘ではないからだ。

ただ、今日はたくさん時間があるので、その「話すと少々長くなる事情」について書いてみる。これは私にとってはとても大切な話だ。

最初に柔道を始めたのは小学校の三年生か四年生だったと思う。地元にある小岩警察の少年柔道で始めた。多分、強くなりたかったんだと思うけれどその詳細な動機についてはあまり覚えていない。両親に「柔道を習いたい」と頼み込んで通わせてもらった。

同時期に始めた子供たちの中でも割と強い方に入ったと思う。すぐにその楽しさの虜になった。

そのまま地元の公立中学に上がった時にも迷わずに柔道部に入った。警察柔道で一緒に練習していた一つ年上の先輩だった長沼くんは私よりも一年先にそこの柔道部に所属していて、私が入学してすぐに「福島お前も柔道部入るよな?」と聞いてくれて「当たり前でしょ!」と力強く答えたのを覚えている。

そこからは一気に柔道漬けの日々になった。

学校の部活動と、それと並行して長沼くんと共に近所の町道場に通った。本八幡にあった「加藤道場」という名前のその道場には週に3日は通っていた。

厳しくも暖かい指導者や先輩に恵まれたこともあって、私はどんどん強くなっていった。


なのだが、中学生の時に、どうしても一人だけ勝てない選手が同学年にいた。

足立三中柔道部の高橋くんという選手だった。

私のいた江戸川区と区は違ったが、東京都予選などのブロックは一緒だったので上まで勝ち進むと必ず高橋くんと当たって、そしていつも負けた。

最軽量級の60kg級では、いつも彼が優勝していた。私が一番勝ち進んだ三年生の時の東京都大会でも、準決勝で彼に負けたことを覚えている。

大会の空き時間にはいつも彼の試合を食い入るように見た。負けるのが悔しくて、彼にどこか弱点はないか、付け入る隙はないかと思って必死に研究した。けれど私は一度も彼に勝つ事が出来なかった。

多分中学時代だけで五回か六回は対戦していると思うが、その全てが敗戦だった。

彼に勝ちたかったが、勝てなかった。それが私の中学時代の柔道の思い出だ。


彼に勝つことは出来なかったが、それぞれの大会ではそれなりに良い成績を収めることが出来たので、高校に上がる時には10校以上の学校からスポーツ推薦のスカウトが来た。とても嬉しかったのだけれど、結局私は受験して普通の公立高校に行くことにした。


高校に上がってからももちろん柔道部に入った。私立の強豪校ではなくて公立高校の普通の柔道部だったのでそこまで練習が厳しくはなかったが、その中で何とか工夫して練習して少しでも強くなろうと努力した。

私が中学時代に一度も勝てなかった高橋くんは、柔道の強豪校である足立学園に進んだ。当時東京で柔道が強かったのは、世田谷学園と国士舘高校、そしてこの足立学園だった。他にも強い学校はたくさんあったが、この三校がずば抜けて強かった。もちろん全国レベルだ。

かたや名門の足立学園、かたや公立の弱小柔道部。こりゃあ高橋くんとの間に元からあった差が更に開いちゃうなーとも感じていたのだが、出来る範囲で頑張るしかなかったので私は公立柔道部で頑張った。一年からレギュラーになれたのはそれはそれで嬉しかったし。


だが、高校の柔道の大会で高橋くんを見なくなった。たまたま病気や怪我で欠場していたのかなとも思いつつ、しかしそれが二度三度と続いたのでおかしく思った。

あれだけ強かったのにどうしちゃったんだろう、ひょっとして柔道辞めちゃったのかな。

そう思って、私はある大会の時に足立学園の選手に声をかけて高橋くんのことを聞いた。

私が高橋くんのことを訊ねたその時の足立学園の選手の気まずそうな顔を今でも覚えている。

彼らが教えてくれたのは、高橋くんが試合中の怪我で頚椎を損傷したこと、それにより下半身に麻痺が残っていること、そしてもう一生柔道は出来ないこと、だった。

それを聞いた私もその場で言葉を失った。何と答えていいのかわからなかった。悲しさや苛立ちや憤りが混然となったような感情に襲われた。

そんなことがあって良いのかと思ったけれど、突き付けられた「現実」という名の暴力を前に、私は無力に立ち尽くした。

もちろんそういったことが無かったとしても私は彼に勝つことは出来なかっただろう。実力がどんどん離れていってしまっていたから。

それだったら諦めもつくのだが。

そういう理由とは別に、一度も勝つことが出来なかった彼に私はもう永久に勝つことが出来ない。その事実がそこで確定した。

それはおそらく喪失感のようなものだったのだと思う。乾いた絶望を伴った喪失感だった。


結局高校時代には柔道ではこれという成績は残せなかった。楽しくやることは出来たのでそれはそれで満足しているけれど、大学に進学する時にスポーツ推薦の話などが来るはずもなく、普通に受験をして大学に進学した。


大学でももちろん柔道部に所属した。高校と同じく決して強い柔道部ではなかったけれど、楽しかった。大学三年生の時に選手権大会の予選で敗退したことで、学生として出場出来る試合はそれが最後になった。少々大袈裟な言い方になるが、それが十数年続いた私の柔道選手としての生活の一旦のピリオドだった。


そこからは何故かピアノを弾き始めて、いつの間にやら音楽家としての生活をスタートした。テレビで中継していれば柔道を見ることはあったが、自分でやることはもうなかった。出来るような気もしなかった。私の生活の中から柔道は無くなっていった。

様々な失敗や挫折を繰り返しながらも、私は音楽家として生きている。これは今現在も、である。


2016年のある日のことである。

家で何となくテレビのスポーツニュースを見ていたら、ボッチャという競技のニュースをやっていた。

カーリングに似たルールの障害者向けの競技で、その当時のボッチャの日本代表選手たちは「火の玉ジャパン」と呼ばれ、リオデジャネイロでのパラリンピックに出場していた。


ふーん、そういう競技があるんだー、へー。

ぐらいの軽い感じで見ていたのだが、途中で「あれっ?」となってテレビにかじり付いた。背筋に電流のようなものが走った。


高橋くんがいた。


私が一度も勝てなかった高橋くんが、ボッチャの日本代表選手としてそこにいた。


車椅子の上からボールを投げる彼は私と同じく36の歳だったので昔と風貌は変わっているけれど、何度も食い入るように試合を見た選手だ。ぱっと見てすぐにわかった。

その後にテロップで高橋和樹選手と出た。間違いなかった。それは高橋くんだった。

テレビの前で「おっ……おおっ……!」と私の嗚咽のような声が漏れた。


勝手に目標にしていて、そして勝手にいなくなった彼が、かつてとは違う舞台で輝いていた。

衝撃のあまり、少し涙がこぼれたその時のことをよく覚えている。


それからは注意してボッチャのニュースをチェックするようにした。高橋くんがどのような活躍をしているのかを見るのが楽しみだった。


それから5年後。2021年。

東京で行われたパラリンピックに、やはり高橋くんは日本代表として出場していた。

ペアBC3というクラスで決勝戦に残ったというニュースを聞いた。

その時に私は嬉しさからTwitterにこのように投稿した。

彼はかつて柔道の素晴らしい選手であり私が目標にしていた選手だ。その後怪我により柔道を諦めざるを得なくなったが、今はボッチャという舞台で輝いている。彼の決勝戦を私は特別な思いをもって応援している。

大体の要約になるがこのように投稿した。

決勝戦は惜しくも敗れ銀メダルとなったが、残念などという気持ちは私には微塵もなかった。すさまじい努力の賜物、歓喜の銀メダルだと私は喜んだ。

後日、私のTwitterの投稿を高橋くんの姪の方が発見してくださり、高橋くん本人に私の投稿のことを知らせてくださった。

それにより高橋くんと直接Twitter上で話す機会に恵まれた。


高橋くんは私のことを覚えていなかった。これは当然だと思う。私からすれば彼は「いつも負けていた相手」なので覚えているのだが、彼からすれば私は「優勝する過程で降した選手の一人」でしかないのだから。


それでも過去の試合のことを話したりしている内に「ああ、その時そんなことありましたねえ」と互いに過去を懐かしむことが出来た。

私はかつて目標にした彼がパラリンピックで銀メダルという栄誉に輝いたこと、そしてそこから多くの勇気をもらったことに感謝の言葉を書いた。彼もそれに対して「ありがとう」と言ってくれた。


話は一旦そこで終わったのだが。


それから数ヶ月後に私はTwitterにこんなことを書いた。

〜〜〜〜〜〜〜〜

夜な夜な酒を飲みながら柔道動画ばっかり見てるけれども。
柔道やりたいなあ。
講道館の二段持ってるんだけど、もう離れてから20年ぐらい経つし。
でも近所の道場で受け身と打ち込みだけでも…
でもやってたら試合出たくなっちゃうだろうしなあ…
やりたいなあ。

〜〜〜〜〜〜〜〜

完全に独り言である。それに対して高橋くんから以下のようにリプライがついた。

〜〜〜〜〜〜〜〜

きっとその気持ち、今から10年後20年後も変わらないと思うよ。変わるのは10年後や20年後だと柔道できる動ける体では無いかもしれなくてその時じゃ遅いこと。
自分だったらやりたいなら先ずやるかな。運動程度で満足するか、試合に出たいと思うか、先のことはそう思った時にまた考えればで。。

〜〜〜〜〜〜〜〜

動いてみたらわかること、やってみたらわかることがあると思います。
動いてみて「やっぱり柔道はもう見てるだけがいいわ」と思えばそれはそれで良いのでは。
おそらく20年以上ぶりに柔道をやればこんなに自分の体が衰えているんだと筋肉痛を懐かしく感じるでしょうがそれも動いてみた結果(笑)

〜〜〜〜〜〜〜〜

以上が高橋くんからのリプライである。

柔道をやろう、とその時に決断した。

高橋くんへのリプライを書く前に、私は現在通う忍田道場へ見学願いのメールをした。

それから高橋くんに感謝を述べた。

もはや高橋くんは柔道は出来ない。やりたいという気持ちもどこかにあるのかもしれない。けれどそれは決して叶わない。

にも関わらず、私に対して「柔道やってみれば良いじゃん」と言ってくれるその人間の大きさに心を打たれた。

自分が逆の立場だったらそういうことが言えるだろうかと考えた。例えば今怪我や病気でピアノが弾けなくなったとして、目の前で「ピアノやってみようかなどうしようかな」と悩んでいる人に「やってみなよ」と言えるかどうか、と。

なかなか難しいような気もするが、高橋くんは私に「柔道やってみれば」と言ってくれた。深く深く感謝している。


その後、忍田道場からメールが返ってきて「見学だけでも良いんですがせっかくなのでちょっとやっていきませんか。動きやすい格好でお越しください。」とあった。私は柔道着を持っていないことを事前に伝えていた。


メールを送った翌日か二日後ぐらいが見学の日だった。仕事で都心まで出ていた私は「もういいや、どうせやるし柔道着買っちゃえ」と思って、水道橋にある柔道着を扱う店で柔道着を購入した。


道場に見学に行って、20年ぶりに柔道着を着た時に、気恥ずかしいけれどとても懐かしい気持ちになった。そうだ、この感じだ、と。

皆さんと一緒に少し稽古をさせてもらったけれど、笑えるぐらいに身体が動かなかった。

歩いて行っていたのだが、帰り道は疲労で身体に力が入らなくて牛歩のような歩みで帰った。


結局そこから20年ぶりの柔道生活が再開した。

道場の方も素晴らしい方ばかりで、そういった仲間に出会えた事にも深く感謝しているし、何より「やはり私は柔道が好きなんだな」ということをつくづく実感させられている。


高橋くんがリプライをくれていなければこうして再び柔道生活をすることもなかったかもしれない。人生は本当に何が起こるかわからない。


ということで長くなったけれど柔道再開までのちょっとしたドラマでした。

私の中ではとても大切な物語です。

今日の演奏動画。

Cole Porterの作曲した『I Concentrate On You』をソロピアノで弾いてみました。

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2023年5月 1日 (月)

演奏スケジュール(2023年5月1日更新)

2023年5月1日更新

【演奏スケジュール】


5月2日(火) 大阪十三 レインコート
https://bar-raincoat.com/
【高原かな with 福島剛トリオ】
vocal:高原かな piano:福島剛 bass:鶴賀信高 drums:市川綾野
20:00~start music charge:2500円


【高槻ジャズストリート】
https://www.0726.info/

5月3日(水)
14:00~
高槻城芸術劇場スタジオ中
《高原かな with 福島剛トリオ》
vocal:高原かな piano:福島剛 bass:光岡尚紀 drums:市川綾野
※ベーシスト変更になっています

5月4日(木)
17:00~
こなもんBar IMPACT
《西池のりこ 福島剛 Duo》
vocal:西池のりこ piano:福島剛

19:00~
Piano Lounge ALLURE
《登敬三 福島剛 Duo》
sax:登敬三 piano:福島剛

※全て投げ銭

5月13日(土) 東京立川 Jesse James
042-525-7188
http://jessejames-tachikawa.music.coocan.jp/
vocal:高原かな piano:福島剛
14:00~start music charge:2600円


5月17 日(水)東京小岩 Back in time
03-3659-0351
http://www.bqrecords.net/backintime.htm
「歌声酒場 (Jam Session)」
piano:福島剛 bass:木田浩卓
19:30~start  music charge: 2000円


5月25日(木) 京都三条 Sesamo
075-251-0858
http://sesamo.okoshi-yasu.net/
「Sesamo open jam session」
vocal:市川芳枝 bass:矢野克宏 drums:大江秀明 piano:福島剛
20:00~start music charge:1500円


5月26日(金) 京都先斗町 Stardust Club
075-221-2505
http://stardustclub.jimdo.com/
vocal:市川芳枝 bass:村田博志 piano:福島剛
20:00~start music charge:2500円

5月27日(土) 京都伏見 レミューズカフェ
075-622-0014
http://lesmuseskafe.com/
【福島剛トリオ】
piano:福島剛 bass:鶴賀信高 drums:市川綾野 
19:00~start music charge:2500円

5月28日(日) 京都西院 さうりる
050-3749-3566
http://sahouril.com/
sax:登敬三 piano:福島剛 
14:30~start music charge:2500円

6月1 日(木)東京小岩 Back in time
03-3659-0351
http://www.bqrecords.net/backintime.htm
sax:日野林晋 piano:福島剛
20:00~start  music charge: 2500円

6月3 日(土)東京小岩 Back in time
03-3659-0351
http://www.bqrecords.net/backintime.htm
sax:Micah Silverstein piano:福島剛
13:30~start  music charge: 2000円

6月18日(日) 東京立川 Jesse James
042-525-7188
http://jessejames-tachikawa.music.coocan.jp/
vocal:高原かな piano:福島剛
14:00~start music charge:2600円

6月21 日(水)東京小岩 Back in time
03-3659-0351
http://www.bqrecords.net/backintime.htm
「歌声酒場 (Jam Session)」
piano:福島剛 bass:上條貴史
19:30~start  music charge: 2000円

7月19 日(水)東京小岩 Back in time
03-3659-0351
http://www.bqrecords.net/backintime.htm
「歌声酒場 (Jam Session)」
piano:福島剛 bass:未定
19:30~start  music charge: 2000円

7月26日(水) 京都西院 さうりる
050-3749-3566
http://sahouril.com/
vocal:西池のり子 bass:矢野克宏 piano:福島剛
19:30~start music charge:2000円

7月27日(木) 京都三条 Sesamo
075-251-0858
http://sesamo.okoshi-yasu.net/
「Sesamo open jam session」
vocal:市川芳枝 bass:矢野克宏 drums:大江秀明 piano:福島剛
20:00~start music charge:1500円

7月28日(金) 京都先斗町 Stardust Club
075-221-2505
http://stardustclub.jimdo.com/
vocal:市川芳枝 bass:村田博志 piano:福島剛
20:00~start music charge:2500円

9月2 日(土)東京小岩 Back in time
03-3659-0351
http://www.bqrecords.net/backintime.htm
【福島剛トリオ】
piano:福島剛 bass:鶴賀信高 drums:市川綾野 
20:00~start music charge:3000円

9月6日(水) 千葉本八幡 cooljojo
080-2624-0879
https://www.cooljojo.tokyo/
sax:登敬三 piano:福島剛
19:30~start  music charge: 3000円

9月24日(日) 千葉本八幡 cooljojo
080-2624-0879
https://www.cooljojo.tokyo/
vocal:鈴木麻美 piano:福島剛
14:00~start  music charge: 3000円

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毎月1日はブログを二本書くことにする

今日のレコード。

Fvcgprzaaaem3sz

Monty Alexander Trio 【Live at the Montreux Festival】

容赦なくスイングする。えげつない。素晴らしい。

このブログ、随分昔から書いているのだけれど、割と一生懸命書いている時期と全く書いていなかった時期とがあって。

で、書かなくなってしまった原因はもちろん私の怠惰によるものがほとんどなのだけれど、やっぱり本業の音楽が忙しかったりという時期も原因の一つではある。

その時は演奏スケジュールを一か月か二か月に一回載せるだけになってしまって、本当に「書く習慣」が失われてしまっていた。

なので今年の初めに「ちょっと書く習慣を戻したいからもう一回ブログ書こう。毎日書こう」と思った時に、なるべく「演奏スケジュールを載せてこれで本日は更新しました」ということにするのはやめようと思った。

なのだけれど「ブログにも演奏スケジュール載せといてよ」と人から言われることがここ最近多かった。その時に気付いたのだが、これでは本末転倒だ。私は全ての活動をライブに人が来てくれる為にやっている。このブログに演奏スケジュールを書いていないのは本末転倒なのだ。

ということで、これから毎月1日にはその時点で決まっている演奏スケジュールもアップする。普通のブログも書く。つまり毎月1日だけは二本書くことにする。

大した労力じゃない。こういうことで一人でも多くライブに人が来てくれたらそれに勝る喜びはない。

さて、明日からは大阪へ。

明日はこのライブ。

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高原さんとは昨日一昨日に続いての共演ですが、バンド編成で演奏するのは実は初めて。バンドメンバーは我が愛するトリオのお二人です。
是非お越しくださいませ!

このライブが終わったら翌日からは高槻ジャズストリート。実に13年ぶりの出演。

それについても演奏スケジュールでチェックしていただきたい!

ちなみに明日は電車で10時間かけて大阪に行くのでその電車内が暇なので結構大作のブログを書こうと思ってますのでそれもお楽しみに。書きたいことが一つあるんだ。


今日の演奏動画。

Antonio Carlos Jobimの作曲した『Eu Te Amo』をソロピアノで弾いてみました。

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