本当は座りたかった
先日一人で行った近所の立ち飲み屋の写真である。
レモンハイ250円も美味しいしもやしナムル100円も美味しい。やはり立ち飲みは最高だ。
なのだが、写真をよく見てほしい。
奥のテーブルの下に赤い椅子が鎮座しているのが見えるだろうか。
そう、椅子があったのである。
立ち飲み屋とは文字通り立って飲む飲み屋のことだ。この店も例外ではなく立って飲むスタイルの店だったのだが、なんと座れるようになっていた。
座れる立ち飲み屋。
こんなことがあって良いのだろうか。
立ち飲みの看板に偽りあり、ということになる。
だが客はみんな座っている。
立ち飲み屋で座るなんてそんなバカな話があるかい。立ってこその立ち飲み屋でしょうが。子供が食べてる途中でしょうが。
そう思っていたのだが、郷に入っては郷に従えという言葉もある。
どれ、と思って私も座ってみた。
快適だった。
悔しいけれど快適だった。
立ち飲み屋で座るような大人にだけはなるまい、そう思って生きてきたのだが、悔しいけれどめちゃんこ快適だった。
私は自分に問いかけた。
本当は座りたかったんじゃないの?と。
そして私はその問いに対する心の奥底からやってくる正直な答えに抗えなかった。
ああ、私は座りたかった。
本当のことを言えば私は座りたかった。
矜持を失っただらしない大人だと思われても構わない。もう一度言おう。
私は本当は座りたかった。
人に優しくありたいなと日々思っていてもなかなか優しく出来ないのは、自分の弱さを認めきれていないからではないだろうか。
私は自分の弱さを認めていくことにする。
立ち飲み屋であっても座りたい。
私は自分の弱さを認めることで一つ優しくなれたのかも知れない。
ちなみにこの時の料金は、レモンハイ二杯ともやしナムルと厚揚げで合計800円だった。
座れる店の料金で800円である。
その安さに感謝して今日も頭(こうべ)を垂れて生きていこう。
今日の演奏動画。
Egberto Gismontiの作曲した『Loro』をソロピアノで弾いてみました。
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