高級感のある立ち食いそば屋
レッスンやリハーサルなどの仕事で都心に出た時の楽しみの一つが「メシをどこで食べるか」である。
普段はずっと小岩から出ないので昼飯のほとんどが立ち食いそばの「ゆで太郎」か、たまに牛丼の「吉野家」である。
たまにはそれ以外のものを、というのが楽しみなのだ。
今日もレッスンで朝から千駄ヶ谷に行っていた。朝から千駄ヶ谷に行く時には浅草橋で電車を乗り換える時に立ち食いそばの「ひさご」に立ち寄って朝食をとるのがお気に入りのコースなのだが、最近「ひさご」には行き過ぎていたので今日は他の店にしようかなと思っていた。
昼過ぎにレッスンが終わって、小岩に戻る電車に乗る。今日は朝からトレーニング後のプロテインしか飲んでいなかったので随分と腹が減っていた。
今日は秋葉原の立ち食いそば「新田毎」に行こうと思っていた。「新田毎」は千葉方面に向かう総武線のホーム内にある。行きは階段を上り下りしてわざわざ違うホームに行かなくてはならないのだけれど、帰りならばちょうどそのホームを通過するので都合が良かった。
電車が秋葉原に着いて一旦途中下車する。空腹もピークだったのでるんるん気分で「新田毎」に向かった。
今日は(今日も)たぬきそば。「新田毎」の天かすは私の好きなタイプの天かすなのでとてもイイのだ。
こちらがたぬきそば390円。安くて非常に美味い。
「はあ…おいちい…」とうっとりしながら食べた。とても美味しかった。
「新田毎」で一つ楽しいことがあった。
割とスペースが広めの立ち食いそば屋なので店員さんはそれなりの数がいるのだが、立ち食いそば屋しては珍しくホール係の女性がいた。大体干支の組み合わせが一回りしたぐらいの年齢だったのではないだろうかと思う。
この女性の働き方が私にはすごく好印象であった。
基本的には入り口のところに立って客が買った食券を厨房の中の調理係の店員さんに渡すというそれだけの仕事をしていた。あとは「お待たせいたしました」とか「ありがとうございました」とかを丁寧に言う、というそれだけの仕事であった。少なくとも私が見ていた限りでは。
一瞬だけ「あのお姉さん、必要か?」と思ってしまったのだが、すぐに「いや、あのお姉さんは必要だ」と思い直した。
考えてもみてほしい。立ち食いそば屋のような店にはそもそも高級感はないのだ。皆無だ。しかしその女性が給仕としていることで、そして丁寧に声がけをしてくれていることで、一瞬高級レストランで食事をしているかのような錯覚に陥った。ものすごくリッチな気分になれるのである。
どの職種、どの職場でもそうだが、一人で三人分も働いてくれるような人ばかりではない。一人で0.5人分の働きしかできない人もいるだろう。もちろん、私が今日見た給仕のお姉さんが0.5人分の働きしかできないとは限らない。混雑のピーク時には八面六臂の活躍を見せて店を切り盛りするキーパーソンの可能性も十分にある。あくまでも私が来店したほんの数分間の印象でしかない。
けれど色んな人にそれぞれの仕事があって、色んな人々が助け合いながら働いているというのが良いじゃないかと思った。
例えば地方の土産物屋などで「座っているだけのおばあさん」などがよくいるが、ああいう人たちの存在を私はとても嬉しく思う。十分に仕事をしている、とさえ思う。
「新田毎」を後にして再度千葉方面に向かう総武線に乗り込んだ時の私の表情が穏やかになっていたのは多分たぬきそばが美味かったことだけが理由ではない。
今日の演奏動画。
Tommy Wolfの作曲した『Spring Can Really Hang You Up The Most』をソロピアノで弾いてみました。そういう気分で録ったからかな、穏やかな演奏になっていて最近録った中では割とお気に入りのテイクです。
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