席を譲られる
ここ数日、足の怪我の為に松葉杖をつきながらの生活を余儀なくされている。
最初は慣れなかった松葉杖の扱いだが、徐々にコツがわかってきて足を痛めることなく歩行することが出来る。
段差の昇り降りのコツもわかった。私は今右足を痛めているのだが、
・昇る時は左足から
・降りる時は右足から
である。
この順序を誤ると「痛いっっっ!!!!」となるので注意が必要だ。
随分痛みもマシになってきたし早く松葉杖無しで歩けるようになると良いのだけれど。
そういう生活をしていて気付いたことがある。
電車やバスで座席を譲られるのだ。
これまでになかった経験なので最初はちょっと面喰ってしまった。
別に立っててもいいや、怪我してない方の左足だけで揺れる車内でバランスを取りながら柔道に必要なバランス感覚のトレーニングをすればいいやと思って立っているのだが、小脇に松葉杖を抱えた私は「身体の不自由な人」というカテゴリーに入るようで、心優しい方が「どうぞ座ってください」と私に声をかけてくれる。想像以上に「優しい人」はたくさんいるんだなあと思った。世界はそれほど悲観する状況じゃないのかも知れない。
で、今の所そうやって声をかけてくださる方の多くが若い女性だ。たまたまなのかも知れないけれど。
声を掛けられるとつい反射的に「あ、大丈夫っす!」と言ってしまうのだが、「いやお前大丈夫じゃねえだろ」という感じに窘められて席を代わっていただく。
なんなんだろう、この「あ、大丈夫っす!」は。
無意識の内に若い女性の前ではカッコつけたいとか思っているんだろうか。本当によく考えずに反射的に「あ、大丈夫っす!」と言ってしまうのだが、よく考えればあまり大丈夫じゃない。
あともう一つ、このことからわかったこと。
私がいつも電車やバスで誰かに座席を譲る時に、声を掛ける前に一瞬躊躇してしまう。
「いい人って思われたいからそうやってるんじゃないかと思われやしないか」とか「好意の押し売りってどうなんだろう」とか色々考えてしまう。
自分が一時的に「譲られる側」になった今言えることは、そんなことはないということだ。
私に席を譲ってくれた方に対して「あなたはいい人と思われたいだけなんだろ」なんて思わない。当たり前だろ(笑)
なので松葉杖が取れて怪我が治ったら、もっと気楽にフランクに座席を必要とする人に譲っていこうと思う。
怪我をすることで、一つ新しい景色を見ることができた。
今日の演奏動画。
Thomas "Fats" Wallerの作曲した『The Jitterbug Waltz』をソロピアノで弾いてみました。
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