OYT指数について
私のあらゆる行動の原動力の大半は、大変ネガティブないわゆる「負の感情」である。
そのことについて書くので、ポジティブな感情や愛に満ちている人はこれから先を読んではいけない。文末のライブの宣伝まで画面を一気にスクロールさせるか、戻るボタンを連打するように。
例えば生活の中で最も重要なピアノの練習一つをとってもそうだ。練習をしないと気持ち悪いという感覚だったり、練習をサボり過ぎると自己嫌悪で死にたくなるからその予防策だったり、他のピアニストたちは日々努力を欠かさないのだから、サボればサボるだけ今開いている距離が更に開いてしまうという恐怖だったり。
もちろん、少しでも上達したい、もっとジャズのことやピアノのことが知りたいというポジティブな感情もある。それは確かにある。けれどそれと同等ほどには負の感情が動機となっている。
万事がその調子なのである。何をするにも必ずポジティブな動機の中にネガティブな動機が混入する。こういう性格はもう直らないと自覚しているしもはや直す気すらない。なのでポジティブなエネルギーに満ちている人は私を「正しい方向」に導いてくれなくて良い。私は私なりにそういう部分と折り合いをつけながら生きている。
演奏をする、ということに関しても例外ではない。
私は原則として演奏をすることがとても好きだ。しかし、一人でやっている時には思い通りにいかないもどかしさが常にある。楽しいと同時にとても苦しい。これもまあ「そんなものかな」と思っている。
観客に対しても「私の音で少しでも幸せになってもらいたい」という感情と「私の音を聴いてつまらないと思われたらどうしよう」という恐怖とが入り交じっている。これもやはり仕方がない。
人と演奏する時。共演者がいる時。
「おれと演奏してもつまんねえだろ」という感情は常にある。誰とやっていても、多かれ少なかれある。
ただしそれはゼロになることはないのだが、時によりゼロに近くなる時もある。
「おれと(O)やっても(Y)つまんねえだろ(T)」ということでこれを「OYT指数」と呼んでいるのだが、共演する人によってこの指数は乱高下する。
私が「つまんねえな」というか「おれ、何やってんだろな」と思うこともごくごくまれにあって、私の中でのOYT指数が高くなおかつ私自身が「おれ何やってんだろ」状態になる場合には、必然的に相手は私を遠ざけていくし私もその相手を遠ざけていくので、自ずとそのような場所は消滅していく。基本的には演奏していること自体が私にとってはかなり楽しいので、そう頻繁にそういうことはないのだが、たまにはある。
昨日と一昨日演奏を共にさせてもらった市川芳枝さんは、私の中でのOYT指数がめちゃくちゃ低い。芳枝さんがどう思っているかは知らないが、少なくとも私に「おれとやってもつまんねえだろうなあ」とあまり思わせない懐の深さみたいなものが彼女の中にはあって、それにものすごく感謝している。一緒にやった同世代のベーシストの村田氏もOYT指数が低い。村田氏とは今日も一緒だけど。
常に私の中にある「私はここにいてはいけない人間だ」という感情。
おっと、「いてはいけない人間なんてそもそもいませんよ」などという正論をぶつけないでほしい。そんな正論は聞こえない。あーあーあー聞こえない。
そのような自己否定の感情が、時折そういう素晴らしい共演者によって薄れることもある。
それは私の中ではとても幸せなことなのだ。
京都滞在三日目。本日もライブ。後半はセッションだけど。
ポジティブな感情とネガティブな感情に折り合いをつけながら、何とかどうにかこうにか今日もやっていきたい。
今日のボーカルののりちゃんもOYT指数低いんだよなあ。
つーことで、良かったら来てください。
2セットやります。1セット目はライブで、2セット目はセッションです。
11月28日(土) 京都伏見 レミューズカフェ
075-622-0014
http://lesmuseskafe.com/
vocal:西池のり子 bass:村田博志 piano:福島剛
19 :00~start music charge:1500円
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