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2019年6月

2019年6月24日 (月)

鬱屈

今日は仕事がない。

正確に言うと、即座に金になる仕事がない。もしくは、アポイントメントをした仕事がない。

レッスンがあるわけではない。本番があるわけでもない。リハーサルもレコーディングも打ち合わせもない。

そういう日には、書きかけている曲の続きを書いたり、毎日の練習をしたり、今度のライブの支度をしたり、ということをするのであれば、それは確かに「仕事」であるし、そういうことをしても良いのだけれど、とりあえず今日はまだ布団の中にいる。現在午前10:39だ。

布団にくるまりながら窓を開けて、外の雨の匂いを嗅ぎながら、携帯をいじりながらこうして文章を書いている。

頭の中にはどす黒い感情がうずまいている。

世界なんて滅びれば良い、今このおれの頭上にテポドンが落ちてくれば良い、みんな消えてなくなれ、世界よ滅びろ。みんな死ね。

そんな汚ない感情を、まあまあ落ち着いてとたしなめながら、まだ布団の中にいる。

私は汚れた人間だ。邪悪な感情をすぐに抱く。

釣りにでも行こうかな。

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2019年6月18日 (火)

ただ、一さいは過ぎて行きます

明日6月19日(水)は桜桃忌ですので、三鷹の禅林寺に行って太宰治の墓の前で「おれの悩みをわかってくれるのは太宰だけだ」などと独りごちる、2000%危険な遊びをカマして頂いても結構です。事実私もいわゆるティーンエイジャーの時分にそのような遊びを何度かしたことがございます。思い返すに、あまりのそのイタさに自らを鈍器殴打したい衝動に駆られますが、40歳も目前となりますと一周あるいは二周いったところで「ま、視野の狭さがかわいいじゃない」と自己肯定できます。

そのような遊びをして頂いても結構なのですが、明日は小岩「Back in time」で歌声酒場ですよ!19:30から、ベース野々口毅さんと共にお待ちしております。こちらに来て、みんなで音楽などをやりながら「イタくて何が悪い」と開き直りましょう。

自分には幸福も不幸もありません。
ただ、一さいは過ぎて行きます。

お待ちしとりやす!

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2019年6月11日 (火)

6月14日(金)「HABUBAN」in 荻窪ルースター

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今週の金曜日、6月14日はこちらのライブです。

荻窪「ルースター」にて、素晴らしいギタリスト天野丘さんをゲストに迎えた「HABUBAN」のライブです。

「バンドをサウンドさせる」ということの難しさ、そして面白さをひしひしと感じながら、全力投球でまいります。

ご予約もまだまだ承っております。ご都合宜しければ是非足をお運びくださいませ。

(2019 vol.39)

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2019年6月10日 (月)

練習会→真子煮付け→歌声酒場

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今日はベースのノノさん(野々口毅さん)と自宅練習場で月イチでやっている二人練習会。基礎練を中心に二時間半ほどみっちりと。ほんとにありがたいです。私みたいな怠け者はすぐにサボるから。

脳にも身体にもみっちり汗をかいて、今日はこれでおしまい。今日は積極的に休む、と決めていたので。ここのところハードだったのでそろそろ身体が「もう無理休ませろ」と言っていたから。

夕方に家に帰って料理して風呂に入って軽く一杯。今はサバとアジの真子の煮付けでビールを。写真のやつです。ハイパー美味いに決まってんだろ。

いつも練習に付き合ってもらってるノノさんとは、来週のセッションを一緒にやらせてもらいます。

5月19日(水)小岩「Back in time」にて19:30から。ボーカル中心のセッション「歌声酒場」です。もちろん楽器の参加も超歓迎です。

来てね。

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2019年6月 5日 (水)

雑司ケ谷「ターキー」

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今日の午前中のピアノのレッスンの時に、生徒との雑談の中でのことである。

たまたま私は最近アルゼンチンタンゴに興味が出てきて、アルゼンチンタンゴの巨匠、バンドネオン奏者であり作曲家でもあるアストル・ピアソラの音楽を自分の趣味で勉強してるんだ、という話を生徒にした。

ラテン音楽というと、ブラジルのサンバなどに代表されるように「明るい踊れる音楽」のようなイメージが強いのだが、ピアソラのタンゴはどちらかと言えば静謐な世界で妙に私の性格に合う、勉強していて楽しい、と私は言った。どちらかと言えば「うえーい!ノリノリー!」という感じの性格ではないその生徒も「ええ、そういうのって何となくわかります」と多少なりとも共感を示してくれた。

幼いころから「みんなと一緒に何かを楽しむこと」の苦手な子供だった。斜に構えていた部分も多分にあった(今もある)ことは自覚している。みんなが一つになって同じ楽しさを共有して、という場にいるだけで逃げ出したくなった。世間で言うところの「パリピ(パーティーピープル)」とは真逆の人生を歩んできたし、今もおそらく歩み続けている。そういう人たちが存在していることは構わないが、私はそういうのは苦手なのだ。アゲアゲなバイブスが、私は今でも苦手である。

職業に、そして人生を捧げる対象に「ジャズ」という音楽を選択したのは、そういう所と無関係だったとは思わない。極めて個人的な音楽であるジャズは、私のような偏狭な人間の救いになりえているのだ。それは今も。



話は昨日にさかのぼる。

2001年というと今からもう18年前になるが、パキスタンを旅行中に知り合った石田ゆうすけ氏という友人がいる。それ以来何だかんだと付き合いが続いている。彼の現在の職業は文筆家である。様々な媒体に文章を書いたり、自身の本を出版してそれが結構売れたりもしている。

よくメールのやり取りをする私たちであるが、物書きとピアノ弾きのメールのやり取りはどれだけ高尚な話をしているかと言えば、98%が野球と食べ物の話である。完全に俗なおっさん同士の会話である。当たり前だろ、おっさんなんだから。

彼が先日自身のブログにこんな話を書いていたので、「わかるー!めっちゃわかるー!意識高い系ラーメン屋苦手ー!」と、知性に溢れまくったメールをした。ちなみにその前後では「阪神のジョンソン~ドリスっていうあの後ろのピッチャー二人はやべえな」とか「原口復帰感動した!おめでとう!」といった東大を30回ぐらい卒業しなければ溢れ出ないような知性にまみれた会話をしていた。彼は阪神ファンなのだ。私は広島ファンだが。
その会話の中で私が「ぼくのオススメは平井にある『まる政』って店です。一回行ってみて!」と言ったのだが、それに対して石田氏が「タケシはとにかく雑司ケ谷にある『ターキー』に行ってみてくれ、死ぬほど美味いから」と教えてくれた。どうやら彼が連載中の「dancyu」のwebサイトでこの店を取材したらしく、その時にいたく気に入った、とのことだった。その彼の記事はコチラだ。

どう考えても美味そうなので近々行こうと思っていたのだが、今日、たまたま千駄ヶ谷~池袋間の移動があったので、その道すがら寄ってみた。聞いた翌日である。デキる男は行動が早いのだよ。単に食い意地が張ってるだけではないのだよ。いや、単に食い意地が張ってるだけだけだけどな!

ラーメンの写真や店の外観は先ほどの「dancyu」のコラムを見てくれ。私も撮ったのだがあまり綺麗に撮れなかったので。一枚だけ冒頭に載せておいた写真がそれだけど。何ならどんな味だったかというのもそちらの記事を参考にしてくれ。書いてあることに一切の異論はないから。

今日、私も「ターキー」に行ってラーメンを食べた。

完全に美味かった。

店を出た後にもずっと口の中が後味で美味かったので、食後のタバコを吸うこともはばかられた。タバコを吸ってしまってはその後味がなくなってしまいそうな気がして。しばらくしてから吸ったけど(吸ったんかい)。

それは私の好きなラーメンだった。

その時に私はピアソラの静謐な音楽を想った。

そして、ジャズに心を奪われ、「おれも生きていても良いのかもしれない」とジャズに赦されたことを想った。

「ターキー」のラーメンは決して派手なラーメンではない。アゲアゲなバイブスで「うえーい!仲間ってサイコー!」と言っている風情ではない。静かに、けれど確かに、そこに一人で佇んでいる。そういった風情のラーメンである。しかしそれはしみじみと美しく、私のようにどこにいても常に居心地の悪さを感じるような人間をも赦す懐の深さがある。
飾ることなく、自然体で。しかし、全てのことに手を抜かずに丁寧に。
そうして作られたラーメンに私は赦されるのである。

帰り際に店主が常連客と「最近取材が多くてさ、全部断ってるんだけど、こないだdancyuって雑誌のインターネットのやつに書いてもらってさ」なんて話をしていたので、「あ、その記事書いたの、ぼくの友人です。ぼくも今日その友人に勧められてここに来ました」と口を挟んだ。店主は「そうかいそうかい、嬉しいねえ、また来てくれよ」と私に笑顔を見せた。「ごちそうさまでした、とっても美味しかったです。また来ます」と言って私は店を出た。


世界が一つになりませんように。私はそう思って雑司ケ谷の坂道を再び歩き始めた。

やって来た時よりも、ほんの少し世界は美しかった。

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