GW?はー何それ食べれんのー?美味いのー?こちとら毎日仕事だわ!
なんて言って売れっ子を気取ってみたいところではあるが、GWはぽつぽつ仕事があったりなかったりして、通常営業に比べりゃ若干ヒマかなぐらいの日々を過ごしていた。ええ、そんなもんですよ。
で、たまたまこの数日間夜に観たかったライブがあって、そこの時間を空けることに成功したのでいそいそとライブ観賞。その話を少々。
5月5日(日)には、六本木の「キーストンクラブ」という所に行ってきた。ピアニスト新澤健一郎さんのトリオ「Perspective」のライブ。
六本木という街は何回行っても「おい、オシャレ度皆無の田舎者はとっとと帰れよ」と街全体から言われているような被害妄想に襲われるが、そこはぐっとこらえて。
こちらのトリオ、ピアノは新澤健一郎さん、ベースに飯田雅春さん、ドラムに石川智さんというメンバー。私がベースの飯田さんとたまに一緒に演奏させていただくご縁もあって、昨年新澤さんが出版されたCDアルバム「Standards and me」(ピアノ:新澤さん、ベース:飯田さん、ドラム:ジーン・ジャクソンさん)を購入したのだが、これが大変に素晴らしく、「是非一度新澤さんのピアノを生で観てみたい!」と思っていたのだった。
生で観てどうだったかって、もうむちゃくちゃ素晴らしかった。
前述のCDアルバムではジャズスタンダードを中心に演奏していたのに対して、この日の演奏は新澤さんのオリジナルの曲が中心。ということなので「知らない曲」ばかりなのだが、それが全くマイナス要素にならない。つまり、私が楽曲を知らないということが演奏を楽しむことを一切阻害しない。未知の美しい楽曲が目の前で繰り広げられていくのを聴くのは、まだ読んだことのない小説を1ページずつめくりながら読んでいくようで、とても楽しかった。
トリオのアンサンブルも素晴らしかった。これはちょっと私のイメージ的な話になるのでわかりづらいかも知れないが、音の波動の小さな欠片みたいなものが無数に何層にも積み上がってその結果として大きなうねりが出来ている、というイメージ。そんな感じのアンサンブル。グルーヴのうねり自体はとても緩やかで大きいのだけれど、その細部をよく見ると、細かな欠片がいくつもある、という感じ。三人が大きなうねりを作る為に細かく細かく仕事をしているというか。私はそんな風に感じた。
あと、個人的に「おおっ!」と思ったのは、新澤さんのピアノの音の切り方の見事さ。ピアノっていう楽器は鍵盤を押したらポーンと音が鳴って、鍵盤から指を離したら音が切れる仕組みになっているのだけれど、この「音の切り方」がめちゃくちゃ絶妙で、演奏を見ながら何回も唸った。くぅぅぅー、すげー、って。難しいんだよ。なかなかコントロール出来ないの、音の切り方。いやー、すげかったなあ。
全編通じて夢中になって観てしまった。いやー、本当に良かった。
いつまで経っても慣れない街六本木をあとにした瞬間にきちんと此岸に戻って来られるようにソッコーでレモンハイ飲んだけどな。
で、一日空いて5月7日(火)は、日暮里の「Bar ポルト」へ。ボーカル&ギターのさがゆきさんとサックスの登敬三さんのデュオライブを観に。
サックスの登敬三さんはこのブログでも度々紹介している。私が日本で一番好きなサックス奏者だ。何回か共演させて頂いたこともある。音色もリズムもストロングだが、何より「登敬三」という音楽家の在り方がストロングだ。彼の演奏を聴くと、何と言うか、勇気をもらう。音楽というものの底力を再確認するのだ、私は。
ボーカルのさがゆきさんも是非一度生で聴きたかった音楽家だ。ジャズ界のみならずフリーインプロ界隈でもよく名の知れた彼女の歌と即興に大いに期待しながら日暮里へ向かった。この日は高田渡や早川義夫、ユーミンや井上陽水からピアソラまで、様々な楽曲を「完全なるさがゆきさんの世界観」で歌っていた。良い意味で「やりたい放題」である。きゃー素敵ー、もっとやってー、と思いながら観た。
当たり前だが、基本的な歌はべらぼうに上手い。そこへ上乗せて変幻自在のインプロビゼーション。面白くないわけがないでしょ。
休憩時間にさがさんと少し話していたら、「登さんと一緒にやっているとついついやり過ぎてしまう。自分がどんどん自由になる」とのこと。これは私も何べんか登さんと演奏させてもらっているから、少しはわかる。いや、むちゃくちゃわかる。そうなのだ、登さんと演奏しているとどんどん心が自由になっていく。あれは何なのだろう。
思うに、私なんぞは人から良く見られたいなどというカスのようなスケベ心がたくさんある。それが様々な場面で私の心にストッパーのように制限をかけている。登さんと演奏していると、「そういうことは一旦脇に置いといて、思うままにやれよ」と背中を押してもらえるような感じがあるのだ。
久しぶりに客席から聴く登さんのサックスは、激しくて、優しくて、美しくて、「なんだよ最高かよ」と何度も思った。超かっこ良かった。やっぱり彼のサックスが好き過ぎる。
さがさんは後半からどんどんノッてきた。やりたい放題に拍車がかかり、最終的にはお客さんから「もう11時(23時)まわるよ!」と言われて、ほんじゃ次の曲で最後にしようか、という具合だった。時間なんて忘れて没頭して。これもまた最高だ。
日暮里はそれほど背伸びしなきゃいけない街ではないけれど、「今日は良い日だったので勝利の美酒を」ということでお店を出たらソッコーでコンビニに寄ってレモンハイをぐびり。
という訳で、最近は二つほどライブを観に行って、ものすごく楽しかった。ライブを観に行くのは良いなあ、やっぱり。
あ、私もやるんだった!がんばらないと!
5月13日(月)、小岩の「Back in time」にて!トランペット&ボーカルのMitchさんと、ベースの工藤精さんと!ピアノがワタクシ!これ以上ないぐらいに最高の共演者です。
私がライブを観に行って「いやー最高だったわー」と思いながらレモンハイをぐびりしたような気持ちを味わって頂けるように。
5月13日(月)20時からです。めっちゃ良いから。是非観に来てください。
最近のコメント