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2017年12月

2017年12月30日 (土)

2017年の演奏納めは京都スタクラで市川芳枝Duo

十代の後半と二十代の殆どを過ごした京都という街を歩くと、懐かしさだけではなくて、過去の恥ずかしい記憶なども蘇ってきて、精神衛生上必ずしも良いとは限らないのではあるが、それでも何とはなしに「まあ仕方ねえか」という諦観にも似た気持ちが私の心を軽くする。四十歳も近くなった今でも私は恥を撒き散らしながらそれでも生きている。それはそれで良いではないか。良くはねえのかな。まあ良いや。知らんよそんなもん。

今晩はその京都の街で、今年最後の演奏。先斗町「スターダストクラブ」で、昨日に引き続きボーカルの市川芳枝さんと二人っきりで。

何も飾らずに、正直に、真剣に彼女の歌と向き合って演奏してまいります。

これまでに数えきれないほどに何度も共演させて頂いている市川芳枝さんですが、デュオっていうのはひょっとしたら初めてかも知れない。

是非お越しください。20:00から。ミュージックチャージ1500円です。

当たり前ですが、本気です。

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2017年12月29日 (金)

雪国から

雪国から
雪国から
ハワイのビーチやテーマパークで仲間たちとテンションアゲアゲになるような、そんなメンタリティを具備していれば、私はここまで面倒くさい人間にはなっていなかったのかも知れません。そういう所では、所在なげに只管に気持ちの悪い作り笑顔を浮かべております。生きた心地がまるでしません。

それに対して、寂しい場所に来たときに、大変心が安らぐのを感じます。世界の果てにぽつんと一人で立っているようなそんな状況は、私に実存を感じさせます。私は寂寥や孤独に、強い憧憬の念を抱いているようです。どうやら子供の頃から、ずっと。

雪に包まれた国にやってきたくて、足を伸ばしてみました。青春18きっぷでやってきました。写真は近江塩津という場所ですが、今は敦賀の街におります。存分に、寂寥と孤独を堪能しております。

これから京都に参ります。

本日は出町柳の「むーら」にて、ボーカルの市川芳枝さんと、ベースの鶴賀信高くんと共演いたします。
19:00からです。
いらっしゃる方は、ご予約をされた方が料金が安くなりますので、直前でも結構です、私かお店までご連絡ください。

それではのちほど。

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2017年12月26日 (火)

今年最後のライブは芳枝さんと

今年はこの二本でライブ納め。

京都に行って芳枝さんと演奏してきます。
29日にはベースの鶴賀くんも一緒です。
 
関西方面の方も、そうでない方も、是非観に来てください。
精一杯やります。
2017122930yoshie

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2017年12月19日 (火)

末木利文さんのこと

何年か前に、板橋のとあるお店でボーカルセッションをやったことがある。

そこに、今もよく共演するシンガーのaya Suekiが、自分のボーカル教室の教え子たちを何人も連れてきてくれた。

ほとんどの人が「みんな若いのにうまいなあ」という感じで歌っている中で、一人だけ「どこから歌い始めたらいいかわからん」と言いながらド素人感満載な初老の男性がいた。
私は「イントロ、こんな感じで出しますから!ほんでサンハイ!って言いますから!」などと若干テンパりながら一緒に演奏したと思うのだが、やはりその時はきちんと歌に入れていなかったような記憶がある。
歌ったのは、ジャズスタンダードの「Take the A train」と「Stardust」だった。

その男性が、末木利文さんだった。アヤちゃんの、お父さんだ。家で暇をしていた利文さんを、アヤちゃんが引っ張り出してきただけだった。

比較的そのすぐ後に知ったが、利文さんは演劇界のものすごく有名な演出家だった。イントロから歌に入るのが苦手なジャズボーカリストではなかった。当たり前だけれど。

今思い返すと恥ずかしい話が一つある。
私は大学生の頃に文学を学んでいたのだが、最終的にはアイルランドの劇作家、サミュエル・ベケットという人の勉強をしていた。利文さんが演劇の世界の人だということを知った時に「ぼくも大学の時にベケットのことを勉強してまして…」などと言ったのだが、利文さんはベケット研究の第一人者であった。将棋の羽生善治さんに「いやあ、私も少々将棋を嗜みましてね」とか、野球のイチローさんに「私も独自のバッティング理論を持ってまして」などと言うような暴挙である。頼むからオレ、知ったかぶって余計なことを言うなよ…

会ってすぐに、私は利文さんのことが大好きになった。頭の回転が速くて、とてもユーモラスで、そして何よりアツい大人だった。会うたびに演劇の話や芸術の話をせがんでは、色々と彼の哲学を聞かせてもらった。私の音楽についても度々意見を聞かせてくれることがあった。それはとてもありがたかったし、実際に私はその言葉にとても影響を受けた。

去年のいつだったか、ちょっとした録音作業があってアヤちゃんの家を尋ねたことがあった。
アヤちゃんからは「ギャラは出せないけど、ウチでたらふくご飯食べて酒呑んでって良いから。ま、ごはん作るの私じゃなくておっ母なんだけど。あと、おっ父と一緒に酒呑んで良いから」と言われていた。
普段ならば「は?ノーギャラ?絶対イヤだ!」と力強く言い放つがめつい金の亡者こと私であるが、他ならぬアヤちゃんの頼みであるし、何より利文さんと呑めるのが嬉しくて「良いよー!行く行く!」と二つ返事で答えた。
録音を30分もかけずに終わらせて、それからは末木家のリビングで利文さんとの二人宴会が始まった。最初はアヤちゃんやお母さんも同席していたのだが、私と利文さんの話が白熱してきたのがウザくなってきたらしく、早々にアヤちゃんとお母さんは自分の部屋に戻った。
演劇とは。文学とは。芸術とは。そして音楽とは。
色々な話を聞かせてもらった。
とても印象に残った言葉がある。
「芝居は、役者のものなんだよ」という言葉である。
それは利文さんが心の底から人間というものの可能性を信じていた、ということに他ならない。前向きに、そして誠実に、利文さんは人間を信じていた。細い目の奥にギラギラと光るようなものがあった。私は、それを本当に美しいと思った。

「あんたたちいつまで呑んでるの!フクちゃんはもう帰りなさい!おっ父は早く寝なさい!」というアヤちゃんの言葉に遮られて、「いーじゃねーか、オレはフクちゃんと呑んでるのが楽しいんだから」と抗う利文さん、「そーだそーだ!いーじゃねーか!」とそこに便乗する私であったが、あまりにも長時間呑み続けていたので、その日は強制的にお開きにさせられた。
私は帰りの電車を酔っ払って寝過ごした。
利文さんは酔っ払ってなぜか自宅の庭で寝ていたようだった。
二人して何やってんだか。

利文さんが亡くなったと、一昨日の日曜日の朝に聞いた。土曜日の深夜に亡くなったそうだ。
もう随分悪いことは知っていた。
今年の10月と、それから11月に、利文さんが演出してくれたアヤちゃんのステージでご一緒させて頂いたのが、利文さんの最後の仕事になってしまった。最後の仕事をご一緒出来たのは、とんでもなく嬉しく思っている。11月の仕事は、入院中の病院から抜け出してきての仕事となった。楽屋でみんなでずっとチンコと包茎の話をしていたのはここだけの話だ。
それが、利文さんに会った最後になってしまった。

享年78歳。
利文さん本人からしたら、「オレはもう十分やったよ、もうこの辺で良いだろう」てなことなのかも知れないが、私はまだまだ、彼からたくさんの言葉を聞きたかった。真摯に、そして信じられないぐらいの情熱をもって一生を芸能に捧げてきた人の言葉を。

一昨日と昨日、私はずっとレッスンの仕事が詰まっていたので、頭を切り替えて明るく元気にレッスンをやってきた。それで良かった。気を抜くと、利文さんのことを思い出して、涙が溢れる。

私のソロピアノのCDを気に入ってくれて、家でいつも聴いているって言ってもらえたの、嬉しかったなあ。

不遜を承知で言えば、私と彼との間には、友情があった。芸能の世界では大先輩とぺーぺーの関係であるが、彼は私を愛してくれたし、私も彼を心から尊敬し、愛していた。
そこには、確かに、友情があった。

おれはまだ利文さんの不在を受け止められないでいる。

さよならも、ありがとうも、まだ、言えない。

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2017年12月11日 (月)

死にたくなったら大佐倉

死にたくなったら大佐倉
死にたくなったら大佐倉
死にたくなったら大佐倉
死にたくなったら大佐倉。

その言葉を胸に置いておくだけで、少し、タフに生きられる。

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2017年12月 8日 (金)

釣り雑誌と缶チューハイ

寝る前に、布団の中に入って缶チューハイ(キリン「本搾り」)をちびちびと舐めながら、釣り雑誌もしくは釣り新聞を隅から隅まで熟読するのが日々の楽しみである。

しかし、もしも一日中布団から出ずに缶チューハイを呑みながら釣り雑誌もしくは釣り新聞を熟読、となればそれは完全なるカスの所業となってしまうので、やはり毎日働かなくてはならんなあと思うわけである。

ということで、明日12月9日は、市川「O'd diner」でサックスの鎌田一夫さんとライブ。スタンダードジャズを中心に。20:30から。

明後日12月10日は、小岩「Back in time」でレコーディングジャム。ジャムセッション形式ではあるけれど、ほぼレコーディング。良いよなあ、レコーディングの緊張感。19:30から。

しっかり頑張れたら、おふとんで缶チューハイ。それと釣り雑誌。

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