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2017年1月24日 (火)

ポール・チェンバース『Bass on top』

ポール・チェンバース『Bass on top』
ポール・チェンバース『Bass on top』
昨日のレッスンの時、二十歳そこそこの青年の生徒がこんな事を言った。

「こないだ先生に教えてもらったCD、TSU○AYAで探したんですけど、無くて。ていうかTSUT○YAって全然ジャズのCD置いてないですね、どこに行ったらあるんですか?」と。

そう聞いて、「君はあれだな、若いのに珍しいな。音楽にちゃんとお金を払うんだね。今時YouT○beでも何でも無料で音楽聴けるのに。」と答えたあとに私のお気に入りのレコードショップをいくつか教えた。

その青年がそのあとに「ぼく、スマホとかYou○ubeとかで音楽聴くのって何かイヤなんですよね。やっぱりちゃんと聴きたいっていうか」と続けた。

こうなると俄然私は嬉しくなってしまう。「だよな!だよな!いや、おれもYo○Tubeとか観るしさ、それを利用する人のことを全然非難できる立場ではないんだけど、だよな!レコード、CD、最高だよな!」と。

そのレッスンの帰り道で、昔のことを、ちょうど私が彼ぐらいの年齢だった時のことを思い出した。

その頃にはもうすっかりジャズに夢中になっていた。朝から晩までジャズを聴いていたかったし、ピアノを弾いていたかった。実際、ずーっとジャズを聴いていた。

とは言え、学生なので金はない。よくやっていたのは、大学の友人TとのCDのシェアだ。バイト代が入ると、友人Tと共にジャズのCDを五枚ずつぐらい買う。買ったらすぐにその場で交換して、お互いに全てダビングし終わったら元の持ち主に戻す。Tはずっと私と一緒にバンドをやっていて、ベースを弾いていた。なので、Tの買うCDはベーシストとして聴きたいCDが多く、私はピアノを弾いていたのでピアノが目立ったCDを買うことが多かった。お互いにそれぞれ10枚ほどのCDを聴きまくって、「あれはすげーやべーぐらいカッコ良かった」とか「あれは意味がわからんかった」とか、比較的知性に欠ける感想をそれぞれに言い合ったりしていた。

そうして聴いていたCDたちは、今でもよーく覚えている。いかんせんジャズ初心者の私たちであったので、いわゆる「名盤」と言われるようなものを多く聴いていたのだが。マイルス・デイビスとキャノンボール・アダレイの『Somethin' Else』とか、ソニー・ロリンズの『Saxophone Colossus』とか、セロニアス・モンクの『Thelonious Himself』とか。それは今でも内容をよく覚えている。アドリブのフレーズまで一緒に口ずさめる。「これがジャズなんだ!ジャズってかっけー!!!!」と興奮しながらずーっと聴いていた。金はないけれど、夢のような時間だった。

段々と便利になってきて、YouTu○eなどの登場で無料でジャズも聴けるようになってきた。私もたまにY○uTubeでジャズを聴く。けれど、そこにはその二十代前半の頃に安いCDコンポの前で覚えたような熱狂はない。

なけなしの金を払って買ったCDやレコードを、何回も何回も繰り返し聴いた。聴く度にワクワクする魅力的な世界にトリップできた。今でもそういう経験はたまにする。レコード屋で買ってきたレコードをターンテーブルに乗せて、さあじっくり聴くか、とする時のワクワク感。

昨日はそんな会話の後だったから、レッスンとレッスンの合間の移動時間に、御茶ノ水のレコード屋に寄ってしまった。

結局四枚のレコードと二枚のCDを買ってしまった。レコードは一枚大体500円ぐらい。CDは一枚300円均一のコーナーで買った。学生の頃からの癖で、私はいつも安いレコードやCDを買う。別にCDジャケットのプラスチックが割れていたって気にしないし、レコードに多少傷がついていたって良い。私はあくまでジャズファンであり、オーディオマニアではないのだ。

レコードは添付写真にもあるが、ダラー・ブランドの『Ancient Africa』、レッド・ガーランドの『Manteca』、ローランド・カークの持ってないやつ(タイトル忘れた)、ルイ・アームストロングのライブ盤の四枚。CDは、オーネット・コールマンの『at the Golden Circle』と、ポール・チェンバースの『Bass on top』の二枚。

昨日、さっそくローランド・カークとダラー・ブランドの二枚を聴いて、今日は空きの時間にポール・チェンバースのCDを聴いた。

このポール・チェンバースのCDは、先に言った友人TとのCD交換で昔ダビングして持っていたので、若い頃によく聴いた。当時はそこまで大好きな一枚ではなかったのだけれど、改めて聴いたらすごい。リーダーであるベースのポール・チェンバースはいわずもがなとして、共演のケニー・バレルのギター、それからハンク・ジョーンズのピアノが死ぬほどかっこいい。非の打ち所がない。まさにジャズ。素晴らしい。「え?このアルバムってこんなにカッコ良かったんだ!」と再発見。特に「You'd be so nice to come home to」が私は好き。マイナーの曲なのに陰鬱にならずに溌剌としていてカッコいい。最高。

レコードやCDを買って聴くのって、良いなあ。この楽しみは、やっぱり何物にも代えがたい。

そして、やっぱりジャズってカッコいいなあ。大好きだ。一番好きだ。

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