坂
坂の上を目指して登っている時には、「今自分は登っている」という事を自覚することが出来る。それはそこに相応の苦しさと、それに伴う充実感があるからかに違いない。
坂を降りる時、いや落ちる時か、登ったそこから落ちる時というのは案外自覚が出来ない。随分下まで落ちきった所で、「あれ?こんなに落ちてしまったか」と愕然とする。
仕事をしていて、そんな事を痛烈に思う。我々自営業のような人間は必要とされれば仕事が来るし、必要とされなければ仕事が来ない。勿論、運や巡り合わせの「流れ」みたいなものも随分影響を及ぼすものであるし、自らを売り込んで仕事をぶんどって来るもしくは自分で勝手に仕事を作ってしまったりなんて事も大事な事であるのだが、仕事がたくさんあれば「今自分は必要とされている」という自尊を抱くことぐらいは出来る。
数年前、私も十年近く住んだ京都を離れて生まれ故郷の東京に戻り、殆ど何もない所から、つまりは坂の一番低い所から自営業を始めた訳であるが、「これ以上落ちようがない」という低い所から出発したが為に、最初は完全に一方通行的に「登る」事が出来た。仕事が少しずつ入ってくれば、それが何歩か上へ登る事と同義であった。勿論失敗も数限りなくしたが、それでも「三歩進んで二歩下がる」といった具合に、トータルで見れば少しずつの前進があった。
ここ最近は、その感覚は無い。
ひたすらに坂を転がり落ち続けている実感ばかりがある。
「まだまだ若いし大丈夫」という勢いだけで誤魔化せるようにはならなくなってきた。
これが「落ち目」というやつなのか?と思うことすらある。そもそもさほど登れもしなかった癖に。
落ちないように必死にしがみついているけれど、掴んでいる地面は脆くて掌の中からぽろぽろ砂がこぼれ落ちて、少しずつ、ずりずりと下へ落ちていく。
どうすれば良いのかは、今のところわからない。
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コメント
そんなに正直に自分のことを書いていいのか…少々心配になりました。◆仕事のことは分かりません。でも、人生的なことは何か言えるかも。今年か来年、東京のどこかのライブ♪に行きたいと思ってます。勿論、福島くんの。それまでしがみついていてください。
投稿: のりバー | 2013年8月 5日 (月) 15時45分
のりバーさんへ
ありがとうございます。何とかしがみついておきます。いやもうギリギリでやってますよ、ホント(笑)
投稿: ふくしまたけし | 2013年9月 8日 (日) 12時16分