メカニックマン
何の自慢にもならないが、こう見えて機械には滅法弱い方だ。
普段私が飯の種にしているピアノという楽器は大雑把に言ってしまえば「蓋を開ける→弾く」という工程しかない為、そういったメカ的な事に煩わされずに済む。ちょっと調子が悪くなったら調律師とかそういう専門の人に見てもらう。二つの人生訓「餅は餅屋」と「金で解決ぶあいやいやい」である。私のようなトーシロがイキがってピアノの内部など触らぬ方が良いのは百も承知だ。とにかくピアノは「蓋を開けて弾きゃあ良い」からものすごくラクなんである。
稀にエレピ(エレクトリックピアノ)を使って演奏をしなくてはならない時には必ずその道に明るい人を捕まえて「ねー音出るようにしてー、あと音色もオレ好みにしてー」などとワガママをタレまくりながら何とかしている。人に迷惑をかける事でしか生きられない人間でお馴染みの私である。仕方がないのだ。
さて、そんな私が只今メカと格闘している。例の映画のアレである。
最近当ブログは極端な手抜き更新が続いている為に定期的に読んで頂いている方の数が減っているのは知っているのだが、久しぶりにこのブログを読んだ方の為に説明すると、何の縁だか今私はとある映画の音楽をせっせと毎日作っている。
で、この映画なのだが、とにかく予算が多く無い。ハリウッドだか何だかのすごい予算の映画ならば「お、おで、曲つくる。ほ、ほんで、あとピアノひく。あとはよろぴく」で良いのだろうが、そんなスティーブン何ルバーグだかわからないような剛毅な金の使い方など出来ないのである。
「金は無い!でも映画録りたい!」
こんな心意気は大好きであるので、その映画の監督から「音楽を作ってくれませんか?」と頼まれた時には「オッケーオッケー!OK牧場!ゼヒ手伝いましょー!」と二つ返事で快諾したのである。
で、その条件で音楽を作るにあたって、「録音」という問題が出て来た。いかんせんメカ音痴の私である。録音はメカを駆使しなくては能わないのだ。
ここまで「曲を書いてそれを演奏する」という所まではそれなりにうまくいっている。監督からも「おうおうオマエなかなかエエ音楽書くやないけ」とちょこちょこお褒めの言葉も頂いている。嬉しい限りだ。
しかし、それをどうやって録音するのか!どうやって映画に乗っけるのか!
大変な問題が浮上してきているのだ。私が扱える範囲内で最も高度かつ難解なメカは、テレビのリモコンぐらいだ。いや、携帯電話ぐらい使えるか、流石に。
私の知り合いに録音のプロフェッショナルはいる。結構いる。しかし彼らは素晴らしい技術を持った「プロフェッショナル」なのだ。彼らに頼んだ時に、そこにはギャラが発生する。少なくとも「ラーギャーはシーナーの方向で頼んますわー、サーセンwww」なんて言えるかそんなもん!!そんなん「ギャラもねえ、アシ(交通費)もねえ、車もそれほど走ってねえ!オラこんな仕事イヤだ〜」なんて吉幾三の曲に乗せて歌われてしまうわ!いや、そういう事ではなくて、私はやっぱり彼らに対する敬意として「ノーギャラなんて有り得ない」のである。そして関わっているのは貧乏映画。これらのパーツを総合して導き出される答えは「オレがメカニックになる」である。
今私はメカと格闘している。
今日初めて端子にステレオとモノラルの二種類がある事を知った。
かなりの前途多難であるが、何とかする。
今までも何とかしてきた。
今回も何とかなる。
大丈夫。
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