さよならの代わりに酒
人生には色んな転機があるようで。
何年か昔の事だが学生時代の友人二人、一人は一学年上の男、もう一人は一学年下の女、この二人が結婚して夫婦になった。どちらも私の知り合いの中でも指折りの変わり者である。
男の方は「てっちゃん」と言い、女の方は「たっかん」と言う。どちらも学生時代の呼び名だ。
彼らが結婚してから数年経った時に「そういえばお前らって今何の仕事してんの?」と聞いたら、てっちゃんは「探偵」と答え、たっかんは「鹿を追う仕事」と答えた。余りに予想の斜め上をいく返答に眩暈がした。
その後二人がどういう仕事を転々としたのかは知らないが、今でも二人は夫婦仲良く暮らしているそうだ。
この夫婦に転機が訪れた。どうやら日本を脱出するそうだ。
近い内にオーストラリアだかどこかに居を移して、しばらく(或いはずっと)は日本には帰って来ないのだとか。
なかなかに思い切った事をする。私など日本、というか地元の小岩が大好き過ぎて、小岩から余所に移り住むなどまるで考えられない。あ、でもインドなら良いかなあ…ま、それはさておき。
この夫婦と暫く会えなくなるのは随分寂しいなと思っていた所、何週間か前に「東京行くから呑もうや」という連絡が来た。
最初は品川辺りで軽く、という話だったのだが、私が「せっかくならウチに泊まっていきんさい」と薦めた所、向こうもそれを快諾。今日、はるばる関西から件の夫婦が小岩にやって来る事となった。
たっかんは「多摩動物園に用事がある」などと言っていた。何の用事があるかは相変わらず謎だ。
まあとにかくそんな訳で、本日はしばしのお別れとなる変態夫婦と酒を呑む。
とても楽しみだ。
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