雨の記憶
いい加減荷造りをしないとと思っていた辺りで、夕方から思い出したように雨が降り始めた。
雨が降ると、本当に全く理由もわからないのだけれど、何故だか頭の中で思い出される記憶がある。
私は幼い頃から大学三年生が終わるまでずっと柔道というスポーツをしていた。自分で言うのも何だがそれなりに強かったし、随分真面目に取り組んでいたと思う。純粋に競技が楽しかったという事に加えて、どこかで「自分が強くなっていく過程が楽しい」という事はあったのかも知れない。
中学生ぐらいの頃には学校の部活動だけでは物足りなくて、二駅離れた本八幡駅にある町道場にも並行して通っていた。
この町道場からの帰り道、道場から本八幡駅への道すがら雨が降っていた事があって、何故かその時の記憶が妙に蘇るのだ。
傘に当たる雨の音や靴が水溜まりを踏む音を思い出すだけではなくて、練習後に飲んだスポーツドリンクだのイチゴ牛乳だのの味までが口の中に蘇る。本当に理由はわからないのだけれど、それらの視覚聴覚味覚嗅覚が一体となった感覚が、雨の度に記憶として蘇る。
今日は今から夜行バスで京都に向かう。小岩駅への道すがら、傘を差しながらとぼとぼ歩く中学生とおぼしき少年とすれ違った。
或いは君も何十年経った後に今日の雨を思い出したりするのだろうか、この何でもない雨を。
そんな事を考えていたら、何だか愉快になってきた。
只今夜の20:00。夜行バスが出るのは23:00過ぎ。
ちょっと早めに出発予定地の上野駅に着いたので、一人で上野駅を散策してみようと思う。
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