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2011年8月21日 (日)

しつこくしつこく

かみさんと近所のラーメン屋などに行くと、当たり前に我々夫婦は性格が違う、という事を実感する事がある。そもそも性格の違う者同士だから夫婦になったのかも知れないが。

注文の仕方なのであるが、かみさんは比較的「新しい一品」に果敢に挑む方だ。「あ、これは食べた事ないし食べてみたい」という好奇心で、初めてのメニューにチャレンジする。結果として、「あんまり美味しくなかった、別のにすれば良かった」という事もあるが、確かに様々なものを食べられるのは良いと思う。

対して私は、いつも同じものを頼む派である。ラーメン屋ならば、ほぼ九割の確率で醤油ラーメンを頼む。「アンタいっつもおんなじもの食べて飽きないの?」というかみさんの視線を余所に、私はいつも醤油ラーメンで決め打ちである。

この自分の傾向。「ミスはしたくない、手堅くいきたい」という気持ちよりも「一つのものがずっと好き」という気持ちが勝っているように思う。つまり私の性格は「しつこい」のだ。一つの事に固執するのが、私には割合に苦にならない。好きなカレーだったら、三食カレーでも構わない。そういえば私は将棋でも、余程の緊急事態を除けば殆どが「居飛車矢倉」である。矢倉が好きなのだ。余程の必要に迫られなければ、飛車は振りたくない。

こういった私とかみさんとの性格の相違は、お互いの仕事に良い影響を与えている。恐らく。

かみさんは本の編集と執筆を、私は音楽を生業にしている。

本や雑誌の編集という事に関して言えば、私は門外漢なので詳しくは知らないが、様々な事にアンテナを張っている事は良いことなのだろう。流行や世間の動向にも敏感でいなくてはいけないだろうし、そういう意味ではラーメン屋で醤油ラーメンばかり頼むような人間は、そういった仕事に向かないのかも知れない。

音楽。音楽の修行には、「しつこさ」が必須だ。

ある一人の作曲家に挑む時もそうだ。例えばセロニアス・モンク。私は音楽を始めた頃からずっと彼の音楽と向き合っているが、モンクの音楽が「わかった」とは微塵も思わない。むしろその逆だ。掘り下げていけばいくほど、わからなくなる。そして面白くなる。モンクと並んで私がこれまでに向き合って来た作曲家はアブドゥーラ・イブラヒムであるが、彼も研究すればするほど面白い。そしてどんどん混迷してゆく。

また作曲家の研究ばかりでなく、普段の練習でもそうだ。一つの技術の修得には、繰り返しの練習が必要となる。それを考えた時に、私の「しつこい性格」は、音楽の修行には向いているのだ。しつこくて良かった。

さて、そんなしつこい私であるが、これまでに海外旅行に二度行った事がある。一回目は十代の時にインド、そしてやはりここにもしつこさが発揮されているが、二回目は二十代の時に、やはりインドである。同じ場所に二度行っても、面白いものはやはり面白いのである。

そして三十代になった今、三回目の海外旅行を企てているのだが、ここまでの話の流れからわかる通り、今回も目的地はインドである。

十代や二十代の頃とは違い、今は仕事もしているので当時ほどの時間は無い。行けて一週間が限界である。だが、それでも行きたい。インドに行きたい。

実は昨年にも一度か二度、「インドに行こうか」という話が盛り上がった事がある。結局話は流れてしまった。

なのでそこからの反省。なるべく宣言していく。来年インドに行くぞ。十年ぶりだ。

十代の私と二十代の私に、インドという国は様々なものを見せてくれた。

三十代の私にはインドは何を見せてくれるのだろう。私は何を思うのだろう。

一週間だけ行くならどこだろう。

多分バラナシ。

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コメント

ん?
石田ゆうすけさんとはパキスタンで会ったのでは?

投稿: TAK | 2011年8月22日 (月) 09時24分

TAKさんへ
そうです。パキスタンです。何かあの辺(ネパールとかも)全部含めて「インド」と呼んでしまっています。

投稿: ふくしまたけし | 2011年8月24日 (水) 19時34分

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