音色
ピアノというのは不思議な楽器だ。
鍵盤を押せばそれに内部のハンマーが呼応して、中にある弦を叩く。要するに「押せば音の鳴る楽器」なのだ。そういう意味では「音が出るまでにまずは一苦労」という管楽器などに比べるとたやすい。
しかし、その音色は、弾き手によって驚く程に、そして残酷な程に変わる。ただ「鍵盤を押す」というだけの行為なのに、そこから実際に現れて来る音は、それが同一の楽器を使用していたとしても、まるで違うのだ。
「タッチの違い」という言葉でそれが表される事もあるが、実際にはタッチだけではない。タイミングやその前後の音の配列によっても、その音色の聴こえ方は変わって来る。詳細は省くが、ピアノという楽器からは実に様々な音が鳴るのだ。
綺麗な音、汚い音、という事について言えば、その判断には多分に主観が混じる。好き嫌いの問題というのも大きいのだが、やはり私には理想とする「好きな音」がある。
例えばAbdullah Ibrahimの奏でる極上のピアニッシモ。或いはRandy Westonの鳴らす地鳴りのような低音。
そんな音に近付きたいと思いながら毎日練習をしている。たまに出るが、コンスタントには出ない。それでもやはりいつも思っている。「綺麗な音が出したい」と。
最近のレッスンで、とある生徒の音色が以前とまるで違う、という事があった。これまではがちゃがちゃとした「汚い音」が多かったのだが、その時には丸みを帯びたふくよかで美しい音を度々奏でていた。
私は教えている立場にも関わらず、素直に「素晴らしい」と感じた。そして、音が変われば全体の印象もこれまでと随分異なるのだなと感じた。
私も負けてはいられない。もっともっと美しい音を出したい。
練習あるのみだ。
さて、明日18日は市川「O'd DINER」でライブ。21:00過ぎからのスタートです。お近くの方は仕事帰りにでもお立ち寄り下さい。メンバーは、ボーカル森口淳子、サックス古田一行、ベース日下部史貴、ピアノが広島鯉太郎(仮名)です。
チャージはカンパ制ですのでお気軽にどうぞ。
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