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2011年7月11日 (月)

パスカル

我が街小岩は、「オシャレタウン」である。ナウなヤングにバカウケなトレンディシティである。

などといつものように出鱈目だらけの嘘をつきまくりながらブログを書きたいものであるが、流石にそれは嘘である。

キムタクが「や、オレ、モテた事なくて…」などと言ったり、伊集院光先生が「昔からずっと痩せております」などと言ったりするのと同様で、余りにもわかりやす過ぎる嘘はすぐにばれる。「ハイハイわかったわかった」と流されてしまう。

ちなみに槇原敬之氏や平井堅氏が「実は私の恋の歌は全て男性に捧げた歌です」と言ったとした場合には、「ハイハイまたそんなわかりやすい嘘ついて」とはならない。詳細並びに理由はここでは割愛する。世の中には色々な事があるのだ。「包帯のような嘘を見破る事で学者は世間を見たような気になる」。中島みゆき先生がおっしゃっていた。

さて、冒頭で述べた「小岩はオシャレな街である」というのは無論、嘘だ。嘘エイトハンドレッドだ。

正直に言えば、オシャレ、業界用語で言う所の「シャレオツ」と小岩は、ほぼ正反対にある。私は昨日、深々とした剃り込みを入れてセカンドバックを小脇に抱えたヤンキーを小岩で見た。オシャレに疎い私でもわかるが、セカンドバックは流石にダサい。

また、女性に関して言えば、その、何と言えばいいのだろうか、つまり、要するに、アバがズレた感じの女性、というか、何というか、ビッチビッチジャップジャップアンアンアンというか…まあぶっちゃけて言えばヤリマンが多く、彼女らの多くは磯野ワカメ氏を信奉するが余りに自らの下着、業界用語で言うところの「ツンパ」を爆見せするミニスカートを着用すること風の如しであるし、或いはB’zのボーカルである稲葉浩志氏をファッションリーダーとして崇めるが余り、一昔前の小学生男子が着用していた半ズボンのようなジーパンを着用、ぷりぷりとした太ももを爆見せすること林の如しである。

このようなヤンキー、ヤリマン、ヤクザの「3Y」を筆頭に、不法滞在外国人、ポン引き、酔っ払い、キチガイ、ヤク中、馬鹿、フーテン、インキン、童貞、禁治産者、水虫、指名手配犯、イボ痔、引きこもりetc.と、こういった人間達で街が形成されている。犯罪の発生率に関しては日本屈指、トップクラスである。なので、全くもって実に「オシャレでない街」、それが小岩であるのだ。

そういえば、「スタンハンセンのウエスタンラリアットをバチバチくらうコーヒー屋」略して「スタバ」も小岩には無い。

さて、そんな非オシャレな小岩に、一手に街のオシャレを引き受けていた店があった。「オシャレんごたあワシんとこが引き受けるけえ、後は好きにやりんさいや」と、親分肌にオシャレを引き受けていた店が。

小岩の「パスカル」と言えば、恐らくは地元の人間で知らない人はいない。ケーキ屋兼洋食屋兼喫茶店である。誰かの家に出掛ける時や挨拶に行く時、「おうカアチャン!今日は何か手土産の一つも持ってった方が良いんじゃねえのか!?」と問えば「じゃあ駅前のパスカルでケーキでも買って行ったら良いんじゃないかい!?」「おう!パスカルのケーキかい!そいつぁ上等だ!皇室にだって持っていけらぁ!」といった塩梅に、「手土産にはパスカル」、これは小岩で暮らす人間の不文律であった。

我が妻奈美子が、私の実家に初めて挨拶に来た時にも、奈美子はこの「パスカル」で菓子を買って行った。嘗て私の母が私の粗相の詫びに他人様の家に頭を下げに行った時にも、片手には「パスカル」の菓子が抱えられていた。

菓子の数だけドラマがある。「パスカル」の菓子は、小岩の様々なドラマを支えて来た。

その小岩唯一のオシャレスポットであった「パスカル」が、この度閉店と相成った。閉店の話は少し前から聞いていた。そのテナントに次に入る店舗というのが、実は友人の働く某チェーン店の料理屋なのだ。

閉店の報せを聞いた時に、私は「一つの時代が静かに幕を降ろした」との感慨を抱いた。

これまでに、その「パスカル」のレストランでは、幾多の別れ話が繰り広げられ、或いは結婚のプロポーズの場になっていたかも知れない。

小岩という不毛の地で、これまで私達住人の生活を彩って来た「パスカル」。

ありがとう。

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コメント

パスカル新小岩南口にありますよ。ikeuchi

投稿: | 2011年7月12日 (火) 15時31分

ikeuchiさんへ
今度探してみます。ただその前に新小岩の噂のタイ料理屋にも行ってみたいんですよねえ。

投稿: ふくしまたけし | 2011年8月24日 (水) 19時15分

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