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2011年6月 4日 (土)

進化する日本のエース

twitterという呟きサイトに登録していて、様々な人の呟きを見ている。下らなくて笑ってしまうようなものから、興味深く為になるもの、そして時には不愉快なものと、そこには大変に多種多様な呟きがある。

何人か、その呟きを楽しみにしている人がいるのだが、その内の一人はプロ野球選手のダルビッシュ有投手だ。

彼のトレーニング理論や野球理論は、大変に興味深い。つい最近では「ジャイロボール(浮き上がる魔球と言われるもの)」の有無(或いは真偽)について、一般的な立場の我々にもわかりやすいように自論を展開していた。これもとても面白かった。

またトレーニングや食事などの話も興味深い。彼が本当に様々な事を考えて、またあらゆる角度から工夫を凝らしつつ野球に取り組んでいるのがわかる。

それら幾多の工夫の中には、一見して野球とはあまり関係ないのではないか、というものまで含まれる。無論、関係はある。

しかし、それは「最終的に関連付く」類いのものである。驚くのは、それら瑣末な部分に至るまで、彼が創意工夫を重ねて、外堀を埋めていくかのように努力を重ねている事である。

最早彼が日本球界No.1の投手であり、球界の宝である事に異論を唱える者は少ないだろう。今現在確固としてある彼の評価、それは彼の類い稀なる才能による所も大きいのではあろうが、やはり何よりも彼の努力の賜物なのである。感嘆せざるを得ない。彼だけが努力をしている訳ではない。殆どのプロ野球選手が日々血の滲むような努力をしているのだろうが、彼はそうした努力の面でも一流のスポーツ選手であるのだ。

ダルビッシュ選手について、聞いた話だが面白い話がある。彼は現在12種類の球を投げ分けるそうだ。これは尋常な数ではない。だが、単純な数だけで言えば、彼は高校生の時の方が多くの変化球を操っていた、というのだ。

それら数多くの変化球を、彼は一度プロに入った時に「封印」したという。まずはプロで通用するストレートとカーブだけを磨き、それが満足のいくレベルになった時に、再び一つずつ変化球を増やしていったと言うのだ。

先の話にも共通する事だが、目先のわかりやすい結果だけに囚われずに、常に先を見通しながら地道な努力を続ける。彼のそうした姿勢に私は強い感動を覚える。

音楽も恐らくそうなのだ。簡単に上達するなどという事は、滅多な事では有り得ない。レッスンなどの売り文句によくある「誰でも簡単にすぐ上達!」というのは基本的には嘘だと私は思っている。

簡単に上達しないからこそ、上達した時の喜びは大きいのだ。工夫のし甲斐があるのだ。地道な練習や研究が、より楽しくなるのだ。

まだまだ若い、私よりも年下のダルビッシュ有投手というスポーツ選手を見て、そうした事をいつも学ばされる。

一体彼はどこまで進化を続けるのだろう。

プロ野球ファンとしても、市井の一音楽家としても、非常に楽しみである。

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