俺リアルブック
ジャズの演奏を仕事や趣味でやっている人ならばご存知の方も多いかも知れないが、「リアルブック」だとか「フェイクブック」というものがこの世には存在する。
何かと言えば、要は譜面集である。
ジャズ演奏の時によく演奏されるスタンダードナンバーなどが、何百曲と収録されている。クラシック音楽などと比べて、ジャズの譜面は大変に簡略化されている為(即興の要素が強いので)、一曲あたりの譜面量は通常ならば1ページ、多くとも2ページほどで済んでしまう事が殆どだ。なので、一冊の譜面集の中に数百曲を収録出来る。それらを集めたのが、この「フェイクブック」或いは「リアルブック」なのだ。何故「フェイク(偽物)」と「リアル(本物)」の正反対の名前が冠されているのかは知らない。
この譜面集、よく考えてみればおかしな話なのだが、「今時は誰でも持っている」。
察しが早い人は気付いたかも知れないが、インターネットが原因である。
以下の話は法的には完全に違法なのだが、どこぞの誰かがそれらの本をスキャンしてデータ化し、インターネットを通じて何処かにアップロードをした。それを誰かがダウンロードし、更にそれをアップロードし…そんな事の繰り返しの中で、元々は高級品だったそれらの譜面集(確か一冊5000円ぐらいする)が、無料で様々な人の手元に渡ってしまった。こんな風に書いている私も、これらの書籍を電子データとして所有している。入手方法は「人からもらった」。詳しくは書かない。察してほしい。
そうやって譜面が手軽に入手出来る事は、私は手放しに良い事だとは思わない。譜面は基本的には「自分で書くべきだ」と私は思っている。
参考にするのは良いが、それをそのまま自らの演奏時に使う事にはものすごく抵抗がある。ぶっちゃけて言えば、「やってはいけない」と思っている。
なので私は数年前から「俺リアル(フェイク)ブック」を作っている。
自分で手書きで譜面を書いて、それをきちんとタイトルでABC順に並び替えて、という事で、「俺の俺による俺の為の譜面集」を作っているのである。
譜面を書く時には、余程の事がない限りはCDやレコードの音源などを聴いて、それを一音ずつ譜面にするのが基本路線だ。そう、実はこの作業が既に練習の一端を担っているのである。
「これをサボり始めるとおそらく俺は終わる」という意識もある。なので面倒なのだが、これは定期的に欠かさずにやる事にしている。
今日も休みだったのでこの作業をやった。今日はセロニアス・モンクの「Bye-Ya」。ちょっと変わった曲だが、良い曲だ。
「俺リアルブック」が少しずつ充実するのも、大変嬉しいのである。
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