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2011年5月22日 (日)

言葉

何かわからない事、というか、「お、これはぜんたいどうしたもんだろ」という事に向き合わざるを得ない時というのは、誰にだってある。いや、誰にでもは無いかも知れないが、よくはある。

そんな時に、「あの人ならばどう考えるんだろうか」と、参考にしたくなる人というのが私には何人かいて、その内の一人は吉本隆明さんという人だ。

昭和から平成にかけて、「知の巨人」だとか「戦後最大の思想家」などと形容される事もある人なので、勿論エライ人なのではあるが、私の認識としては「稀有なほどに、徹底して嘘の無いおじいちゃん」である。そう、彼の言葉には驚くほど嘘が無いのだ。

難しい本もたくさん書いていて、「共同幻想論」だとか「言語にとって美とは何か」だとか「心的現象論」だとか、タイトルだけでお腹いっぱいになりそうな著作がいくつもある。若い頃に背伸びをして読んでみたが、書いてある事の一割もわからなかった。その後、「サルでもわかる共同幻想論」みたいな本を幾つか読んで、少しはわかったような気になったが、やはり基本的には「わかっていない」。

けれど吉本さんが年老いてからは、糸井重里さん辺りの「吉本さんの事が大好きな人達」が、彼の言葉を聴きに行って、私のような堪え性と理解力に乏しい人間達にもわかりやすいように、彼の考えを伝える役割をしてくれている。これは実にありがたい。

我が家に吉本さんの特集をした雑誌があって(やはり糸井重里さんが中心になって企画してくれたそうなのだが)、それを電車の中でパラパラと読んでいた。

やはり彼の言葉は、とても真っ直ぐに私の心に響く。

今日は彼の素敵な言葉を少しだけ紹介して、本日のブログ記事に代えたい。

「自分だけが決めたことでも何でもいいから、ちょっとでも長所があると思ったら、それを毎日、10年続けて、それで一丁前にならなかったら、この素っ首、差し上げるよって言えるような気がしますね」

「子供が何をやろうと、たとえ犯罪者になろうと、オウムに入って出家したいって言おうと『やってみな』というだけでね。『挫折したりイヤになったりしたら、まあ、戻ってくればいいよ』って。そういうことなら、やや、僕はできる」

やはり彼の言葉には勇気付けられるのである。

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