邪悪漫画「ファウル(仮)」
昨晩はソロピアノコンサート。
2〜3ヶ月に一度の企画、と自分では決めているが、改めてそのペースがギリギリ限界な事を思い知る。準備から演奏に至るまで、本当にしんどい。勿論、それに見合った、或いはそれ以上の充実感や達成感はある。ただ、ペースを間違えると、本当に死んでしまう。次回は春先ぐらいにしよう。
奇遇な事なのだが、昨日の客席には「元漫画家志望」が三人もいた。
内訳は以下。最近はよく上野アリエスでゲストボーカルとして出演してくれている大塚美香女史、そして私といつも援助交際をしている女、奈美子。更にそこに加え、現在日本転覆を企んでいる悪の作家(理由は最近の当ブログの記事を参照)、石田ゆうすけ氏の三人が「元漫画家志望」である事を白状した。
石田氏が女性陣二人に質問した。「出版社に投稿とか持ち込みした事ある?」と。
「いやー、それは流石に無いですねー」と二人が答えると、返す刀で石田氏は「オレはある」。
私が口を挟んだ。「どこに投稿したんですか」と。
石田氏の発言に耳を疑った。彼の口から出された言葉は「ジャンプ」だった。
ドラゴンボール、スラムダンク、こち亀、北斗の拳、シティハンター。
我々は人生において大事な事は、ほぼ全てジャンプから学んだと言っても過言ではない。週刊少年ジャンプ、それは間違いなく小学生のバイブルだった。
そしてジャンプには三つのテーマが存在する事を我々は知っている。ご存知、「友情・努力・勝利」である。
高校生時代の石田氏、今の悪の様相からは想像もつかぬが、まさか「友情・努力・勝利」の高校生だったのか、と私はいささか驚いた。
私は彼に投稿した漫画のストーリーを聞いた。
彼は答えた。「陸上部の話」と。
なるほどなるほど。スポ根ものはジャンプの御家芸。当人の石田氏も当時は陸上部。自分の経験や妄想に基づく、甘酸っぱい恋愛の話を交えた、あだち充テイストの漫画を描いたのだな、と私は合点した。
否、そうではなかった。
彼の口から伝えられた大雑把な漫画のストーリーは以下。
「走り幅跳びの日本記録を持つ主人公。競技自体は既に現役を引退し、現在では指導者として後進の指導にあたっている。主人公と同じく走り幅跳びを専門とするある優秀な後輩が、目下めきめきと実力を付けてきた。いずれ自分の日本記録も更新する勢いだ。ある記録会で、その後輩が跳ぶ、というその時、審判員は奇しくも主人公であった。後輩によって目の前で自らの日本記録が破られたその瞬間、主人公はほぼ無意識に、ファウル(無効)の旗を挙げた。勿論、ファウルではないのに」
というストーリー。
ええっと…
…
さすが悪の作家である。
これは「友情・努力・勝利」ではなく、「虚栄・欺瞞・敗北」だよね?なぜにジャンプ?
孫悟空は「おめえつええな!オラわくわくしてきたぞ!」とは言っても「人間って狡いな!オラげんなりしてきたぞ!」とは言わないのだ。
安西先生は「諦めたらそこで試合終了ですよ」とは言っても「あなたなんか生まれた時点で試合終了ですよ」とは言わないのだ。
石田氏の考えた話は、人間の奥底に潜む無意識の悪を見つめる作品。ジャンプに載せられる訳がないでしょうが!子供がまだ食べてる途中でしょうが!
とは思ったのだが、どうやら話を聞くと、その漫画原稿、ストーリー面では絶賛を受けたと言うのだ。集英社に悪の漫画編集者がいたせいである。
しかし、その話を聞きながら私は「ああ、いつからジャンプを読まなくなったんだっけ」と考えた。
それは言い換えれば、「いつから友情努力勝利が大部分において嘘と気付いたんだっけ」という事だ。
そしていつから、勝利者よりも敗北者に興味を惹かれるようになったのだろう。
私はそんな風に大人になった。恐らく石田氏も、そのような紆余曲折を経て、修復不能なほどに性格が曲がりまくってしまったが為に、悪の作家になってしまったのだろう。だって明らかにその漫画、勝利者よりも敗北者・落伍者目線じゃん!もうその頃から人として手遅れだったんだね!
人としての手遅れ度という事では、当然私も石田氏には負けてはいられない。というか、勝っている。「Mr.お気の毒」こと私である。
ハイレベルな「お気の毒様」が二人寄ったので、私達はその後はひたすらに「オリジナル手淫」の話に終始した。
余りにも程度の低い下ネタに、周囲の人間が石化していた。
もう、私は海になりたい。
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コメント
ライブの告知メールいただいてたのに返信しておらずすみません。ライブお疲れ様でしたm(..)m
その頃は木曜さんと新潟にいましたよ。。
次は春??また詳細決まったら教えてくださいね♪
投稿: おかべあやこ | 2011年1月24日 (月) 15時17分
もう読みました いいですね
投稿: 北斗の拳同人誌 | 2011年1月25日 (火) 11時37分
おかべあやこさんへ
いつぞやは共演して頂いてありがとうございました。また一緒に演奏しましょう!
投稿: ふくしまたけし | 2011年5月24日 (火) 13時31分