損と得
「得をしよう」或いは「損をしないようにしよう」、なるべくそんな風に考えないように気をつけている。
例えば昔、麻雀をしていて、負けた時に金を払わない奴がいた。それがすごく嫌だった。
勝ったら金は貰う。負けても金は払わない。
確かに本人からしてみれば、得は多くて損は少ないのだろうけれど、何だかすごく嫌だった。
私だって麻雀に負けて金を払うのは嫌だ。それを払ってしまえば、今月は残り二百円で一週間を乗り切らなくてはならない、とかそんな状況だと、負けた金額を払う手が震える程に嫌だった。でも払った。それは勝負だからだ。
少なくとも、その麻雀がスタートした時点では、そこにいる全員が勝負の内容に納得して始めた筈だ。これこれこういうルールでやります良いですね、という事に了解した筈だ。
それが勝負がついた後に「ごめん今度払う」などと適当な事を言ってその場を繕って結局は払わないというのは、全くもって話にならない。ならば最初から「金なんて賭けない」というルールでやれば良い筈だ。
「自分だけは損をしたくない」という気持ちが強すぎるとそういう風になる。私だって人の事は言えない。負けた金を払う時に「がっくり」という効果音付きで落ち込みながら払った事だって何度もあるもの。理想を言えば、「ま、今日はこの辺にしといてやろうかな」などと強がりの一つも言って綺麗に負けられれば良かった。博打は如何に勝つかという事よりも、如何に負けるかという事の方が重要だ。私もまだまだ修業が足りない、という事だ。
以上の話は私が大学生だった頃の話。近所の大学に誘われて麻雀をしに行った時の事。私はその場の身勝手な雰囲気に辟易として、以降その大学へ麻雀をしに行く事はなかった。
ちなみにご存知の通り、日本国の法律では麻雀等の遊戯に金銭を賭ける事は禁じられているので、以上の話は全て嘘だ。私の妄想だ。念のためにそういう事にしておく。
閑話休題。
損と得である。
私など「損得勘定をしないように」と気をつけているほどであるから、まだやはり幾許か勘定をしながら生きているという事になるだろう。何も考えずに自然に勘定をしなくなれば本物だ。そういった「本物」を、たまに見る事がある。
「自分は損をするのだ」と決めた人間を目の前にして、そこに付け込んで自分は得をさせてもらおうと思うような人間にはなりたくはない。
広島カープが大好きなラーメン屋の店主がいたとして、広島カープが数年ぶりに優勝、大好きな選手の背番号は1番、ならば優勝からの三日間はラーメンを1円で提供しようなどと思った場合。
家庭内では奥さんからの「やめてアンタ!!」の悲鳴が飛ぶ事は間違いないが、私としてはそんな酔狂な事をしてしまう人間は大好きだ。
しかし、私が気に食わないのは、そういったセール中に「餃子無料券」を使って餃子を更に注文するような輩である。
確かに貰った餃子無料券は使う権利がある。そんな赤字覚悟のセールを行う事を決心したラーメン屋のオヤジに全ての責任がある。しかし、そこで餃子無料券を使うのは如何なものかと首を傾げざるを得ない。
「自分だけは得をしたい」とばかり思う事は、私にとっては随分とみっともない事なのだ。
美味い食い物が二つあったら、なるべく大きな方を人に勧めたい。荷物が二つあったら、なるべく重い方を私が持ちたい。
気をつけていないと、どうしたって自分が得をしようとしてしまう。
そうやって生きていくのは、何だかひどく息苦しい。
だから、なるべくそうやって思わないようにしよう、と思っている。
何を書いているのだかわからなくなってきたのでこの辺でお開き。
おあとが宜しくないようで。
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コメント
明日で今年も終わりですね…今日、昼過ぎ、今年最後の墓参りに行ったらゆる~い雪が降って来ました。昨年なくなった妹は自分が損することで、また苦労することで周りの人達が上手く行くならそれで良しと言う性格の人でした…姉の私が言うのは何ですが。職場でもそれをやってたので、身体には多少キツかったと思います。今日の雪も喜んで得をする仕事の人達も居るでしょう。また損する人も居るでしょう。外の仕事をする人達には厄介な天気。でも、損すると考えないで他人様の為に働いているんだ、と言う誇りを持って欲しいなぁと、母は思います。福島くん、1年間ブログお疲れ様!…そして有難う。
投稿: のりまき | 2010年12月30日 (木) 16時26分
のりまきさんへ
昨年も読んでいただいてありがとうございました。というお礼を半年後に言うぼくは終わっている(笑)
投稿: ふくしまたけし | 2011年5月24日 (火) 13時13分