早起きは何円の得か
宵っ張りな生活が随分と身体に染み付いてしまって、寝るのはいつも午前三時をまわる事が殆どだ。
別段遅くまで何か有益な事をしている訳でもなく、大体は酒を呑みながら落語なんぞを観ている。
まあどこにでもそそっかしい奴なンてのはいる訳でございやして…なんて話を「うんうん、上手いなあ」などと感心しながら観ている。
それが昨晩に限っては珍しく疲れてしまっていて、午前0時過ぎには床に着いてぐうぐうと寝息を立てていた。
珍しくそんな時間に寝たものだから、起きた時間も早かった。目覚ましを朝の8時半にかけていたのに、起きたのはそれから遥かに早く、朝の5時。魚釣りに行く時以外にはまず起きない時間である。
何であれば、そのまま釣りにでも行ってしまいたい心持ちではあったが、勿論そういう訳にもいかない。今日は朝からレッスンだった。
徒然に時間を潰してから朝飯を用意する。いや、用意してもらう。私がだらだらと過ごしていると、寝床からかみさんがむくりと起きて来て、「何でアンタはこんなに朝早く起きてる訳?」とぶつぶつ言いながら台所に向かってくれた。
白飯と納豆と味噌汁と卵焼き。それに箸休めの新香。
味噌汁が会心の出来であった事に舌鼓を打ちつつ、かみさんと朝飯を食う。
終わって暫くしたら風呂に入る。湯舟が少々ぬるかったので、頭や身体を洗いながら湯舟を熱くして、最後にその熱い湯舟に身体ごと浸かる。
髪の毛を乾かしたり着替えたりしていると、すぐに出掛ける時間が近付いてくる。
たまにはこんな朝も悪くない。
いつもならば、二日酔いの気持ち悪さと戦いながら、親の敵のように水をがぶ飲みして、「母ちゃん、仕事行ってくらあ!金くれ、金!」と寝ぼけ眼で喚きながら忙しく家を出るばかりだ。
それが今日のように時間に余裕があると、「おう、母ちゃん、いくら交通費の為の金とはいえ、流石に千円ぽっちっていうのは少な過ぎやないかい?せめてもう一枚、もう千円つけてくんな。それで二千円ちょうどだ。それならオイラも途中でコーヒーも飲めるしタバコも買えるってもンだ」と交渉の余地がある。
「嫌だよ、あンた。ついこないだだってアンタが‘お前の誕生日プレゼント買う’っていうからアタシが一万円も持たせてやったんじゃないか。それがアンタ、酔っ払ってすっかり使い切ってきちまうんだもの。アンタは金は持ってるだけ使っちまうんだ。だから今日も千円で良いンだよ。」
「後生だ、母ちゃん。あと千円で良いんだ。あと千円、付け足してやってくんな」
「ったく、しょうがないねえ。無駄遣いするんじゃないよ!」
と言ってかみさんがもう千円をくれる。これも早起きをしたお陰だ。
昔ならば三文の得であった早起きであるが、どうやら三文とは現在の貨幣価値に換算すると、千円らしい。
早起きは千円の得なのである。
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