ユニフォーム
今度、結婚のパーティーをするので、その時にタキシードを着なくてはならないそうで、どこかでレンタルしなくてはならない。タキシードなんて、昨年初めて着たばっかりだ。はっきり言うと、タキシードを着る事は全然好きじゃない。
でも、時と場合によっては着なくてはならない。我々は、時と場合を選んで服装を変えるのだ。
「オシャレ」という意味での服装には殆ど興味がない。寒くなくて暑くなければそれで良い。昔から一年か二年に一度くらいしか自分で服など買わないし、最近では私の服装は全てかみさん任せだ。買って来てくれたら、あまり文句も言わずにそれを着る。そんなものだ。
オシャレ命な人々から見れば、私のような服装に対する価値観など「頼むから、5千円あげるから死んでくれ」というレベルのものなのであろうが、そんな私が今日は服装について少しだけ話してみたい。理由は特にない。毎回理由を考えながら書いていたら、ブログの毎日更新なんて無理なのだよ。わかっておるかね。
私は、「ユニフォーム」という意味での服装はとても好きだ。その事を少し。
例えば、肉体労働者の作業着。
私も結構だらだらと、期間だけは長いこと引越し業者でアルバイトをしていた。とても居心地の良い職場だった。生意気で、仕事も出来ない私なのに、不思議なことに「居場所」だけはそこにあった。だからついつい長居をしてしまったけれど、音楽を食い扶持にしてからは、だいぶ足も遠のいている。そんな昔の事を、肉体労働者達の作業着を見る度に思い出すのだ。
またあの作業着に袖を通してみたいな。いや、みたくないのかな。作業着を見ると、そんなむず痒いような気持ちになる。
同じような気持ちになるのが、柔道着。何回かこのブログに書いた事もあるのだが、私は十年以上柔道をやっていたのだ。勿論段位も持っている。10年程前までは、毎日柔道着に袖を通して青畳の上でばたばたやっていたのだ。そう、今現在音楽をやるぐらい自然に、柔道という武道を楽しんでいた。
柔道は、とてもやりたい。恐らく、今柔道をやれば、昔とは違う気持ちで柔道が出来るから。
「誰にも負けたくない」、「誰よりも強くなりたい」そういう気持ちで柔道をやっていた。それはそれで悪い事だとは思わない。「強いって、どんなんだろう?」という男の子独特の好奇心から私は柔道をやっていたのだ。試合で負ける悔しさを学び、二度と負けたくないと願い、そうやって練習をしていた。
しかし、恐らく今ならば、それとは違う気持ちで柔道に臨める。「スポーツ」としての柔道でなく、「武道」としての柔道を。
知人から送られて来た、ピアニスト、アブドゥーラ・イブラヒム氏の言葉にこんなものがあった。(補足:アブサンは日本の古武道の免許皆伝です)
「武道の武には、争いを止めるという意味がある」と。
その通り、「武」とは、「戈(ほこ)を止める」と書く。私は昔から誰にも負けたくなくて、誰彼構わずケンカをふっかけて、そんな事で困っていた時もあるが、今は少しだけ違う。そんな事もしないように気をつけている。そもそも気が小さいからすぐに強がるんだろうけれど。とても惨めだ。だが、アブさんの言う通り、まさに武道は「争いを止めるための道」なのだ。今ならば、その事が少しぐらい分かる。昔よりは少しぐらいは。だからこそ久しぶりに柔道がやりたくて仕方がないし、柔道着を見ると、あのザラザラとした衣服の感触が妙に懐かしくなる。
野球選手を引退して暫くした人達も、やはりまたユニフォームが着たくなるのだろうか。あの、アンダーシャツの袖にまた腕を通したくなるのだろうか。
わたしの今のユニフォームは、とりあえずは背広だ。レッスンの時などは、全くオシャレ感に欠けるクソみたいな私服だけれども。
でもやはり、「さあ演奏だ」という気持ちで背広に袖を通すと、それは柔道をしていた時に「開始線で礼」と言われた時の気持ちに近いものになる。
ユニフォームというのは悪くないだろ、と私は思う。
だけれども、タキシードなんぞ着たくない、というのも、これまた正直な所だ。
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コメント
女性だって憧れるユニフォームは色々あるよね~昔はスッチーの制服にもんの凄く憧れたもんよね~それから、ナースの白衣も。白衣じゃなかったけど、病院で医療助手のバイトしてたとき、そこのユニフォームが、ピンクのワンピに、水色のエプロン、それと、白いナースシューズだった。病院のユニフォームって、どこもわりと可愛いのよね。これ、奈美子さんに着てもらったら、福島くん垂涎じゃないの?
投稿: クロサバ | 2010年10月21日 (木) 01時21分
柔道の創始者が素晴らしいですね。尊敬しています。
背の低い男性は、身体を鍛えた方がいいですね。それだけで舐められますから。
戦わずして勝つ
投稿: 鳥肌晋作(ウルフ) | 2010年10月23日 (土) 01時44分
クロサバさんへ
それは奈美子が着なくても垂涎ものです。奈美子が着ていたら、「君さあ、ちょっとは考えようよ…」となります。
投稿: ふくしまたけし | 2010年11月 9日 (火) 10時07分
鳥肌晋作さんへ
「自他共栄」「精力善用」という言葉が好きです。嘉納氏の理念です。
投稿: ふくしまたけし | 2010年11月 9日 (火) 10時08分