« Mさんの事 | トップページ | エースですから »

2010年8月 5日 (木)

Mさんの事2

結論から先に言ってしまえば、Mさんはさほど遠くへは行っていなかった。

ある日ウチダが、そこに通う全生徒の名簿を持って来た。現在ほどプライバシーや個人情報の保護が叫ばれていない世の中である。私の高校でもそうであったが、やはりウチダの高校でも、全生徒の電話番号と住所が記載された名簿が、皆に配られていた。

ウチダが持って来たその名簿を覗き込む私達。ごくりという唾を飲み込み音が今にも聞こえて来そうだった。

Mさんの住所は、我々の住む小岩からさほど離れてはいなかった。Mさんの住所は、上野の辺りにあった。

まずそれに狂喜乱舞したのはアキラである。アキラはかねてから「Mさんが可愛い、Mさんに童貞を捧げられるのならば死んでも良い」と公言する、筋金入りのMさんファンであった。

ちなみにこの「アキラ」については、いずれ「オレ達のアキラレジェンド」というタイトルで長文を書かなくてはならない。アキラの話をしてすべった事はない。

アキラが興奮気味に言った。

「う、う、上野に…行こうぜ…っ!」

私達は言葉もなく頷いた。

(続く)

|

« Mさんの事 | トップページ | エースですから »

創作」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« Mさんの事 | トップページ | エースですから »