カレーの作り方、そして叫び方
昨日、というか日付的には今日の深夜0時を廻った辺りで、友人のヤマが我が家に唐突にやって来た。アポなしで。
片手には寸胴鍋、というどこからどう見てもガイキチ全開の出で立ちでやって来た。
彼がそんな酔狂なものを持ってきたのには理由がある。
私が昨日ツイッターを通じてネット上で「寸胴鍋が激しく欲しい」と書いた為に、それを見た彼が持ってきてくれたのだ。
昨日、かみさんと共に昼間に寸胴鍋を見に行ったのだが、やはり業務用は高い。大体一万円弱がその相場で、「これはちょっと手が出ないねえ」と言い合っていた。
そこへ来てヤマ、いや最早「おヤマ様」と呼ばなくてはなるまい、おヤマ様は「職場で余っていた、使ってないからあげる」と言って寸胴鍋を我が家へ持ってきてくれたのだ。
そうだった、おヤマ様の職場は料理屋であった。
おヤマ様は読者諸氏もご存知だとは思うが、かつて料理番組「料理の鉄人」で和の道場、中華の陳、洋の坂井らと共に「伊の山科」として名を馳せた特級厨師、奇跡のシェフである。勿論、「伊の山科」の名の通り、専門分野はイタリアンであるが、彼の手にかかれば、ありとあらゆる食材に魂が宿る、でお馴染みの敏腕シェフなのだ。
そんなおヤマ様から頂いた寸胴鍋、私としても心が躍る。さて、この寸胴鍋で何を作ってやろうか、と思案する。
やはり最初だからカレーが無難で宜しかろう、という事で、カレーを作る事にした。
たまには当ブログにもレシピのようなものを載せていこう。
まず、カレーを作る際には髪型と服装に気を付けなくてはならない。
髪型はリーゼント以外は認められない。ポマードべっちょりでリーゼント。ソリも入ればなお良い。
また、服装は革ジャンに革パン、そしてサングラスも不可欠だ。
これらの髪型と服装の理由については後述する。兎に角、クールス時代の舘ひろし、もしくはキャロル時代の矢沢永吉を意識した出で立ちをして頂きたい。
それが出来たら、まずは寸胴鍋に水を張り、それを沸かす。
その傍らで、玉葱をひたすらにみじん切りにするのだ。今回の私の場合は玉葱を計8個、全てみじん切りにした。なかなかの量である。
みじん切りにした玉葱にざっとサラダ油をかけ、それをフライパンで炒めていく。所謂「飴色玉葱」を作るのだ。炒める時に口ずさむ歌はBOROの「大阪で生まれた女」が最適だ。
「青春のかけらを置き忘れた街…」という所まで歌い終わった頃に、丁度玉葱が飴色になる。
ちなみに「大阪で生まれた女」という歌は本来は18番まである。大阪で生まれた女が東京に出て立教大学の近くの小さな部屋に住み、そこで「大阪で生まれた女やさかい、負けられへん」と唇を噛み締めて東京の地で暮らし……(中略)……青春とは何かをふと見つける、という所まである。
もちろんこれを全て歌うと、玉葱は完全に焦げるので注意して欲しい。完全版ではなく簡易版の方の「大阪で生まれた女」だ。間違えないで欲しい。
さて、それが出来たら、いよいよ寸胴鍋に具材を投入だ。
この時に、先ほどの出で立ちの意味が出て来る。
無論、具材を寸胴鍋に投入する際の掛け声は「ぶっこんでくんでヨロシクゥ!」である。
それに対する相槌は勿論「ヨロシクゥ!」である。
何だったら漢字で表記して「夜露死苦ゥ!」でも構わない。
やはりこのセリフを叫ぶ時には舘ひろし的な服装と髪型が必要不可欠となる訳だ。間違えないで欲しい。舘ひろしだ。猫ひろしではダメだ。
「ぶっこんでくんでヨロシクゥ!」
炒め玉葱どばどばどばー!
「夜露死苦ゥ!」
「ぶっこんでくんでヨロシクゥ!」
手羽元1kgぼとぼとぼとー!
「夜露死苦ゥ!」
「ぶっこんでくんでヨロシクゥ!」
カットトマト2缶だばだばだばー!
「夜露死苦ゥ!」
「ぶっこんでくんでヨロシクゥ!」
赤ワインじゃばじゃばじゃばー!
「夜露死苦ゥ!」
…………
あとはひたすら弱火で煮込む。途中で思い出したように色々入れる。シメジ、ショウガ、コーヒー、ブーケガルニetc。
手羽元はとてもダシが出る。肉が骨から完全に剥がれるまで煮込む。骨はあらかじめ取っておくと、食べる時に食べやすい。
現在はこの煮込む作業の真っ最中なのだ。なかなかに暇なので、こうしてブログを書いたりしているのだ。
朝の11時から煮込み始めて、現在夕方18時。
あと3時間ほど煮込んだら、そこに茄子と人参を投入。勿論この時にも「ぶっこんでくんでヨロシクゥ!」を忘れてはならない。
茄子と人参を投入してから一時間ほど煮込むと、丁度良い塩梅に全ての食材が溶け合う。そこにカレー粉、スパイス、ガラムマサラなどで味を調える。
そんなこんなしている頃に、かみさんが帰ってきて、夕食の時間になるのではないのかな。
という事で、厨房に戻ります。
さようなら。
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コメント
福島くんって、意外と忍耐強いんだよね~!時間かかる料理とか日跨ぐやつとかほとんど作ったことない^_^;
圧力鍋で時間短縮してやるよりも、寸胴鍋で時間かけてコトコトやるの方が、私の偏見イメージの中では、男の料理って感じがする。
投稿: クロサバ | 2010年8月23日 (月) 23時44分
クロサバさんへ
うん、料理に関しては随分と忍耐強い。でも本当に料理が得意な人っていうのは、こうやって時間をかける人よりも、短時間でぱぱっと美味しいものを作れちゃう人のような気がする。
投稿: ふくしまたけし | 2010年10月 8日 (金) 13時25分