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2010年4月 3日 (土)

木村拓也

木村拓也が倒れた。クモ膜下出血だそうだ。死んだ私の師匠と同じ病だ。

木村拓也。元広島カープの野球選手。昨年引退した。どこでも守れる器用な選手だった。

彼は自分がNo.1ではないという事を潔いほどに認めていた。「オレにはプロ野球の世界で特筆すべきものは何も無い。だから何でもやる。生き残る為に、何でもやる」と。その姿勢が、彼を稀代のユーティリティプレイヤーへと成長させた。決して欠く事の出来ない唯一無二の存在へと彼を高めた。

私もどこかで思っている。「オレには音楽的才能なんてまるで無い。でも、絶対に生き残る、何でもやる」と。

木村拓也のその前のめりな姿勢にいつも心を打たれてきた。勇気をもらってきた。ものすごく、感動してきた。

がむしゃらにやって、石にかじりついて。カッコ悪い事はとてもカッコいい事なんだと、木村拓也はそれを教えてくれた。

師匠が倒れてから約三週間、私はずっと病院の彼の傍で、回復を願っていた。クモ膜下出血の病状がどんなものかも、凡そ知っている。安堵したり絶望したりの繰り返しだった。きっと木村拓也の家族も、今はそんな状態なのだろう。

あのカッコ悪くて最高にカッコいい野球人を死なせないでほしい。

37歳。まだまだやる事はたくさんある。

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