人、そしてまた酒を呑む
もう酒は懲り懲りだ、と、これまでの30年間の人生の中で、恐らく5兆回は思って来ている。
煉獄のような二日酔い。押し寄せる嘔吐感と倦怠感。そして頭痛。
全て酒のせいだ。酒が元凶なのだ。
だのに何故、私はまた酒を呑むのか。
「わかっちゃいるけどやめられねえ!」と植木等的なテイストで開き直ってしまうのも、手段としては確かにアリだが、しかし事の真相はそれほど安易では無い。
今日も今日とて煉獄の如き二日酔いと戦いながら半日を棒に振り、夕方からもさもさと起き出してきてピアノの前に向かう。
日々のルーティンとして自らに課している練習を完全にすっ飛ばして、弾きたい曲を弾きたいように、いわば「本能の赴くままに」ピアノを弾く。
それもたまには悪くない。たまには悪くないのだが、やはりそれは「たまに」だから良いのであって、日々そんな事ばかりしていれば、あっという間に技術は錆び付いてしまう。ただでさえ少ない技術なのに。
何も考えずにピアノを弾いていると、何とはなしに感傷的な気分になる。
「あー、オレはやっぱり下手だなあ。まあ仕方ねえよなあ。」などと。
それはそれなのだけれど。確かにそれはそれなのだけれど。
やはりどこかに「上手くなりたい」という欲求も確かにある。その為にしなければならない事も、朧ろげではあるが全容を掴みつつある。
ただ、「やっていない」。それだけの話なのだ。
何たる怠惰。何たる怠慢か。
漫然と日々を過ごしながら、何を造る事も何を生み出す事も無く、何となく死んでゆく。
そんな人生を私は望んでいたのだろうか。
力無くうなだれて、また酒を呑む。
明日はどっちだ。
また明日、生きなければならない。
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 小岩「Back in time」10周年ウイーク突入(2020.03.19)
- 4月17日(水)セッション昼と夜で二つ(2019.04.16)
- 今度の月曜日はサックスの登さんと(2019.03.15)
- 連絡とりづらくなっております、のお知らせ(2019.03.03)
- 一人ゲネプロ大会(2019.02.26)
コメント
わたしはあなたに結構啓蒙されています
忌野清志郎やらもさんやジュリーや色々な人を尊敬していますが、あなたもその中の1人です。
投稿: ボクサー | 2010年4月22日 (木) 22時16分
オレも今朝はハードな二日酔いだったよ。
もう深酒はこりごりだ。
ほんとに死んじゃうよ。
投稿: ヤマ | 2010年4月23日 (金) 00時32分
ただ漫然と生きる…何の生産性もない毎日。そして、焦燥感と自己嫌悪。けれどもそこから抜け出せない、変えられない自分の弱さ。そうやってもがきながら生きてる人が大多数じゃない?
酒を完全に絶ちたかったら、酒が全く手に入らない環境に身を置くしかないだろうね。山にこもって仙人修行するとか。
私の場合は、酒の代わりにテレビとネットだね。だって、面白いんだも~ん。ずーっと見てても飽きない。まあ、今は昔ほどは見られなくなったけどね。
投稿: クロサバ | 2010年4月24日 (土) 01時13分
ボクサーさんへ
ありがとうございます。でも啓蒙はしないで下さい。中島らもが昔書いていた「カネテツ啓蒙新聞」を思い出しました。
投稿: ふくしまたけし | 2010年5月 9日 (日) 12時52分
ヤマちゃんへ
いやいやいやいや。また深酒しようぜ。奈美子に怒られない範囲内で。
投稿: ふくしまたけし | 2010年5月 9日 (日) 12時53分
クロサバさんへ
酒を断つのは無理だなあ。禁煙より遥かにハードルが高い。禁煙も出来ないけど。
ま、確かにネ。言う通り、なかなか弱さを克服できないけど、それでも何とか生きてるものね。
投稿: ふくしまたけし | 2010年5月 9日 (日) 12時56分