呑みんさいや喰いんさいや
昔から楽器という楽器が好きだ。
何か道具を使って音を鳴らす、という事がそもそも好きなのかも知れない。我が家にはギターもベースもあるし、それらも頻繁に弾いている。訳の分からない謎の太鼓も持っていて、それも暇な時にポコポコ叩いたりしている。そう言えばハーモニカもあったかな。あれは最近とんと吹いていないけれど。
だから「何故に数多ある楽器の中からピアノを選んだのですか?」と問われると困る。照れ隠しや謙遜などでなく、本当に「たまたま」だったからだ。母校の京都府立大学の部室にものすごくボロボロなアップライトピアノがあって、暇潰しに弾いていたら段々楽しくなってしまった。きっかけとしてはそんな些細な事だったのだ。
「ジャズを演る事が面白かった」
最初は確かにそうだ。だから楽器は何でも良かった。学生の時に仲の良かった友人のツネキくん(彼はコントラバスを弾いていた)やらと夜な夜な部室に集まって、ガチャガチャとヘタクソな合奏をしているのがとても楽しかったのだ。
それがここの所少しずつ変わって来ている。
「ジャズが好きだ」というのは今でも変わらない。合奏も相変わらず好きだ。誰かと一緒に音楽を通じてコミュニケーションを取るのは、やはり最高に面白い。以前よりもそれらの気持ちは強くなっているぐらいだ。
だが、それに加えて「ピアノが好きだ」という気持ちの高まりが、強くなってきているのだ。
88鍵の黒白の鍵盤。ラウドペダルにソフトペダル。我が家のアップライトピアノには付いていないけれど、ソステヌートペダル。
それだけのものを組み合わせて、無限に音楽が広がってゆく。
タッチだけでも音色は変わる。指先だけを使った場合。腕を使った場合。全身を使った場合。
ピアノフォルテ。
いつの時代に何処の誰が作ったのかは知らないけれど、その作ったヤツに会いに行って「あんたはエラい面白いオモチャを作ってくれましたなあ」と言って酒をご馳走したい。もしも作ったヤツが下戸だったとしても、「良いから良いから、これは日本の大変上等な飲み物じゃけえ、まあ呑みんさいや」といって無理やりにサカズキを勧めたい。ついでに釣りたての魚の刺身もご馳走したい。そいつが宗教上の理由で生魚が食べれなかったとしても、「新鮮な魚じゃけえ、まあ喰いんさいや」と。
すごくイイカゲンな理由で選んだピアノフォルテというこの楽器。
今となっては「ひょっとしたら選ぶべくして選んでいたのかな」なんて事も思う。
そんなこんなで、ピアノが超ヘタクソな私は、今日も懲りずにピアノを弾いて遊んでいるのです。
ジャーン!…タラ〜ララ〜ラン…
なんつってな。
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