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2009年12月10日 (木)

全力の代償

阪神タイガース赤星憲広選手引退の報。驚かれた方も少なくないのではなかろうか。

引退のきっかけは怪我だ。今年の九月、横浜戦で見せたダイビングキャッチが原因で持病の首痛を悪化させ、「これ以上のプレーは、半身不随や、或いは生命すらも脅かす危機」と医師に言われ引退を決意したそうだ。

御存知の通り私は大の広島ファン、そして大のアンチ巨人阪神である為に、赤星選手は「敵軍の選手」として見ていた。

しかし、敵ながら大変に素晴らしい選手であった。

ホームランこそ打たないものの、卓越した打撃センスと、また彼の代名詞とも言える俊足、いや、そのあまりの速さから超俊足と言っても良いかも知れない、まさしく走攻守全てに秀でた一流の選手であった。

以前当ブログ上で我が広島カープの緒方孝市選手に関する思い出を数回に渡って綴った。常に全力のプレー、そしてひたむきな野球への想い、と。

その印象と、赤星選手の印象とはそう遠くかけ離れていない。

赤星選手もまた、常に全力プレーの、ひたむきな選手であった。

先に述べたように、赤星選手と言えばその「超俊足」だ。

攻撃側に回りランナーとしてダイヤモンドを走れば、普通ならばアウトになるタイミングでもセーフにし、次の塁を陥れてしまう。守備側に回れば、その広すぎる守備範囲をもって「本来ならばヒットになるであろう飛球」を間一髪の所でアウトにしてしまう。敵として見ればこんなに厄介な選手もそういない。実際のプロ野球選手の中でも「阪神で一番厄介な選手は赤星」、そう考えていた選手はかなりの数に上るのではないだろうか。

だが、彼のプレーは、その小柄な体躯を補うかの如く、まさに全力プレーで彩られていた。

「100%では他の選手にかなわない。120%でやらなくてはならない」

これは赤星選手の弁だ。

その超過分の20%。それは時に信じられないようなスーパープレーを生んだが、少しずつ、確実に彼の身体を削り取っていた。

九月の横浜戦、内川選手の飛球に向かって飛びついて行く時、赤星選手の脳裏に「また首を痛めてしまうかも」、そんな考えがよぎりはしなかったろうか。

したかも知れない。

けれど彼は飛びついた。そして、選手生命が、途絶えた。

無事是良馬、ではないが、やはりスポーツ選手には怪我などせずにプレーをして頂きたいし、また怪我をしない選手はそれだけで優秀だという理屈も分かる。

それでも、心を打たれてしまうのだ。

そのがむしゃらなプレーに。そのひたむきな姿勢に。

もちろん、生命の危機を背負ってまでプレーしてもらいたいなどとは微塵も思わない。なので、今回の赤星選手の引退は、やむを得ない。

彼は志半ばだったのだろうか。まだ、野球に未練はあったのだろうか。

彼の全力プレーは、我々野球ファンに確実に夢を与えた。

赤星選手、ありがとう。

ゆっくり怪我を治して下さい。

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コメント

そうよなあ。。
全力プレー、ってリスク高いけど、見ている方は
感動するねんなあ。

うちが阪神ファンやから、このニュースはショックやったよ。。(ノ_-。)

投稿: okada | 2009年12月10日 (木) 22時01分

okadaさんへ
これはアンチ阪神からしてもショックだったよ。やっぱり赤星は素晴らしい選手だったからね。ホント、「お疲れ様」を心から言いたいね。
しかし、どんどん生え抜きがいなくなるなあ、阪神。桜井とか狩野あたりがもう少し頑張れれば良いんだけど。

投稿: ふくしまたけし | 2009年12月11日 (金) 13時50分

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