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2009年10月23日 (金)

ガラスの天才

やあ、パソコンモニターの前のボーイズアンドガールズ、今日も元気に心を病んでいるかな?

私か?私は心配に及ばない。絶好調だ。夜毎、誰からも必要とされなくなる悪夢を見たり見なかったりだ。快調だよ、安心したまえ。

さて、本日夜半から関西へ。

そのバスの出発時間を待つ暇つぶしに本日のブログ更新だ。

今日は、起きてピアノの練習をして、荷造りをして目医者に行ってバスで出発という一日だった為、これと言って特筆すべき話題も無い。皆大体がそうだと思うが、日々ドラマチックな日常を送っている人間など少ない。凡庸な日常を消費する事が大半、それはそんなに恥ずべき事でもないと私は思うのだが、どうだろうか。日々を生きるのに精一杯。それは我々凡人の現実だ。

だが、そのような時に何一つ誰かに伝える事も無い、というのはこれまた寂しい話だ。

私だって伊達や酔狂だけでこのブログを数年(多分約四年)続けている訳だが、そのような時にも書くべき事は無数に転がっているのを私は知っている。

有り体に言おう。

「何だって良い」のだ。正直な所。

何だって良いので、徒然なるままに書こう。

という、いささか長い前置きである。

さて、本編。

ファミコン世代の皆様、『スペランカー』というTVゲームをご存知の方はいるだろうか。

洞窟を探検するアクションゲームなのだが、それなりにヒットした作品である筈だ。ご存知の方が何人かいても、それは全く不思議な話ではない。

この『スペランカー』、ある特異な点から、現在も語り草になっているゲームなのだ。

その特異な点とは。

「主人公が異常に弱い、すぐ死ぬ」という点である。

そのあまりのひ弱さに、『スペランカー』の主人公は、「TVゲーム史上最弱の主人公」などと揶揄される事もある。

どう弱いかと言えば。

例えば、自分の膝ほどの高さの段差から落ちて死ぬ。コウモリのフンを踏んで死ぬ。遠くの爆弾が爆発すると爆風で死ぬ。などなど、まあ見事に簡単に死ぬ。

同時期に大ヒットした『スーパーマリオブラザーズ』と比較してみても雲泥の差だ。

マリオは自分の膝ほどどころか、自分の背丈の7〜8倍の所ほどまでジャンプし着地するが、それでも決して死なない。人間に換算して考えれば、地上約10mの位置から落ちても何ともないのだから、流石のスーパーマリオだ。『スペランカー』の主人公も多少は見習ってもらいたいものだ。

しかし、その脆弱さは我々に強烈なインパクトをもたらした。

いつしか「すぐに怪我をする人、すぐに病気になる人」の代名詞として「スペランカー」という言葉が使われるようになった。

(補足:ちなみに怪我をする事を「スぺる」などとも言う)

さて、現在の日本プロ野球界において、その「スペランカー」の異名をほしいままにするプロ野球選手がいる。

横浜ベイスターズで研鑽を積み、現在は福岡ソフトバンクホークスに所属する多村仁志選手だ。2006年のワールド・ベースボール・クラシックスでの「確変」とも言えるような活躍が記憶に新しい方もいらっしゃるのではないだろうか。今日は彼の「スペランカーぶり」を楽しく読者の諸兄と見ていこうという試みだ。「多村仁志スペランカー伝説」をご存知ない方は、きっと驚愕される事だろう。

やはり最も有名な所で言えば、球団宣伝用ポスターの撮影時、軽いジャンプをして着地時に足を捻挫、という一件であろう。無論、スーパーマリオよろしく10m近いジャンプをした訳ではない。ほんの数十センチのジャンプだ。流石は天下のスペランカー、多村仁志である。

他にも彼のスペランカー伝説は枚挙に暇がない。

握手会で握手し過ぎて腱鞘炎。流石はスペランカー!

A型インフルエンザの予防接種を受けて、B型インフルエンザに感染。流石はスペランカー!

勿論、今年のCSも腰痛で欠席。流石はスペランカー!

さて、ここまで私は彼を馬鹿にしているように書いてしまっているが、彼の名誉を少しでも回復させる為に、彼のスペランカー伝説以外も少しは記してみようか。

多村仁志選手、その野球センス自体は類い希なものがある。

パワーとミートを兼ね備えた打撃、堅実な守備、走塁も一流だ。走攻守の全てを兼ね備えた名選手ではあるのだが、いかんせん「スぺる」のである。

もし彼が「スペら」なければ。そうなればこれはもう非常に素晴らしい成績が約束されたも同然だ。

3割、30本、100打点。ひょっとしたら30盗塁のおまけまでついてくるかも知れない。それほどまでに卓越した選手であるのだ。本来ならば。

我らがカープにも、怪我に泣かされた選手は数多存在する。

先日引退した緒方孝市選手や、イチローや落合博満をして「天才」と言わしめた前田智徳選手もその代表格だ。彼らの怪我との闘いには、一種の悲壮感のようなものが漂う。

しかし、多村仁志。何故かあまり悲壮感が感じられない。

本人はそれは苦悩もしている事だろう。あまつさえ、脆弱な自らの身体に苛立ちすら感じているやも知れない。だが、全くもって悲壮感が感じられない。

多村がスペる。すると、我々プロ野球ファンは、「スペランカーktkr!」と何やらテンションが上がってしまう。

春を告げるそよ風のように、夏の到来を教える夏祭りの音のように、それは最早一種の風物詩とも言えるほどの風情と風格を兼ね備えているのだ。

スペランカー、それも含めての多村仁志の魅力だろう、と。

そんな多村選手が今オフ、FA権を取得した。その動向が気になる所ではあるが、一野球ファンとしての正直な所を言えば、「そんな故障の多い選手、獲る所あるのか?」といった所だ。

だからこそ、だからこそ、である。

広島にあるあの赤い球団が多村仁志を獲得してはくれまいか。私はそんな事をぼんやりと思うのである。

前田、末永、多村で組むスペランカートリオの外野陣。9回までは誰一人も残っていない外野陣。そんなものが組めたら、と夢は膨らむ。

まあ、先に断りを入れておけば、120%、それはありえないのだけれど。

まず多村を獲得することが現実的にありえないし、万に一つ獲得したとしても、今の競争の激しいカープ外野陣の中において、その三人が揃って外野を守る事はまずない。

天谷、廣瀬、赤松、フィリップス。なかなかに優秀な外野手がカープには既に何人もいるのだ。現実は厳しい。

今オフより野村謙二郎の新体制となった我らがカープ。毎年毎年「来シーズンこそは!」とファン達が鼻息を荒くするのがこの時期の常であるが、毎年毎年その荒めの鼻息は、シーズン終了時には溜息にとって代わる。

そんな事もあるけれど、優しい目で今年もカープを見守っていきましょう。

さ、そろそろバスの時間です。

そうだ、最後にライブ告知。日曜日、暇な人は京都岡崎までどうぞ!

10月25日(日)京都岡崎ZAC BARAN
tel 075-751-9748
http://www.secondhouse.co.jp/zacbaran.html
sax:黒田雅之 b:鶴賀信高 pf:福島剛
19:30~start  music charge:1200円

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