I'm back to 日常
約一週間のタップライブも昨日で終わり、本日は丸一日レッスン。
また少しずつ日常に戻る。
ライブの度に幾つもの課題を得る。それはいつでも途方も無くて、いつか自分が心から満足のいく演奏が出来る日が来るのだろうか、そんな日は永遠に来ないんじゃないのかという気にすらなる。
音楽に触れれば触れるほど、それは巨大で全容すら掴めずに、私は茫然自失と立ち尽くす。追いかければ追いかけるほど、音楽はどこかへと遠くなっていく。
それでも、満足、というには程遠いが、ほんの一瞬、音楽に近付ける瞬間がある。「あ、今、良い音が出た」という一瞬。
人参を目の前にぶら下げられて走る馬のように、私はその一瞬だけを微かな頼りにして歩いている。偶然に発せられたその音を、ずっと探している。
場合によっては、或いは人によっては、それはすんなりと手に入れる事の出来るものなのかも知れない。けれど私はいつでも虚空の中で足掻きながら、まるで見当違いな場所を掴んでは放し、いつまで経っても実体へと辿り着かない。
もはやそれに対して惨めだなどという自己憐憫は微塵も無い。全て仕方のない事なのだという諦念ばかりが私を支配する。
エデンの園で林檎をかじってしまったばかりに。言葉を発してしまったばかりにアダムとイブが罪を背負ってしまったかのように。
仕方が無いよ、林檎が美味しそうだったのだから。
誰かが林檎を食べた二人を貶すかも知れないが、私は貶さない。
私にもよくわかる。
そうやって短い一生を棒に振るのだ。
誰も幸せにしないかも知れないし、誰も満足しないかも知れない。
仕方が無いのだ。
仕方が無い。
まだしばらく、日々は続く。
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コメント
剛さんの叙情的なブログ、最近ちょくちょく拝見しています。
『ほんの一瞬、音楽に近付ける瞬間がある』
この表現、ステキです。
暗闇でも一点の光があればそこに向かって進める、私自信もそう思っています。
これからもブログの更新を楽しみにしています。
投稿: K360 | 2009年9月27日 (日) 00時33分
やさしさにあふれた文章いいですね。
仕方がないのだ。
仕方がない。
投稿: あっき | 2009年9月27日 (日) 23時49分
K360さんへ
叙情的かなあ(笑)下品だとは思うけれど。
でも、そうやって読んで下さって感想をいただけるのは嬉しいです。これからもだらだらと駄文を綴ります。ありがとうございます。
投稿: ふくしまたけし | 2009年9月29日 (火) 15時47分
あっきへ
久しぶりだな、元気にしてるか?お前とかOがきうちとかKやまとかバカな奴らはたまに無性に会いたくなる。今度またゆっくり呑もうぜ。アホの臨界点を超えるまで。
投稿: ふくしまたけし | 2009年9月29日 (火) 15時48分