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2009年3月18日 (水)

侍?武士道?

500年もの昔、桶狭間の戦いと呼ばれる合戦があった。

二万五千もの大軍を誇る駿河の戦国大名今川義元を、尾張の織田信長率いる三千弱の軍勢が撃破した、歴史上最も華々しく奇跡的な合戦だと言われる戦いである。

本日私はWBC(ワールドベースボールクラシック)日本対韓国戦を観戦しつつ、その合戦の事を思った。

結果は4対1により韓国の勝利、スコアだけを見れば完敗という事になる。

私見も随分とあるが、事前の戦力のみを総合的に判断すれば、日本代表の方が幾分も上である、と私は思っている。つまり、軍勢としては日本の方が優勢である訳だ。桶狭間を再び持ち出すならば、日本代表は今川義元軍である。無論、今川−織田ほどの戦力差は日本−韓国にはないが。

織田信長が桶狭間の戦いにおいて勝利を収めた一番の要因は、「負け戦の自覚」であったのではないだろうか、と私は考えている。「そもそも負け戦なのだ、何でもしてやろう」という気概だ。創意工夫を凝らし、敵の本陣に奇襲を掛ける。これが見事に当たった。天候が味方したとの記述も文献にはあるが、作戦のみで勝利出来るほどの微小な戦力差ではない。明暗を分けたのは、その作戦を実行する兵士の士気が大きく関与しているというのが見方としては妥当だろう。

兵士の士気、そして心情。それらは全て想像の域を超える事はないが、敢えて想像するに、「所詮は死んだようなものだ、やれる事は全てやってやろう」という心境だったのではないだろうか。

死を覚悟した人間の強さ、それは我々の想像を絶する。躊躇や困惑、そういったものは一切ない。所詮は死ぬのであるから。所詮死ぬのであれば、敗走して背後を斬られるよりは、敵と向き合って正面から斬られよう、斬られるまでは何でもしよう、恐らくはそういった心持ちであろう。

それに近いような気概を、私は本日のWBCにおける韓国代表に見たし、そういった面では日本代表は圧倒されていた。そもそもは勝ち戦だった筈が、負けるべくして負けたのではないだろうか。

初回、韓国代表の攻撃。ノーアウトからヒットで塁に出たランナーは早々に二盗。キャッチャー城島の送球が多少高めに浮いた事にも助けられて盗塁成功。ノーアウト二塁の好機を作り出した。

この結果自体はさしたる問題ではない。問題は、少しでも先の塁を狙おうという姿勢そのものにある。本日の韓国代表にはその姿勢が顕著にあり、日本代表はそれに比してあまりにも足りなかったという事だ。

結果として韓国代表は初回のその好機を拡大させ、三点を入れる事に成功した。それはあくまでも結果でしかない。

勿論、その盗塁が失敗に終わっていれば結果は異なるものとなっていたかも知れない。しかし、そこには「正面から斬られよう、何でもしてやろう」という心意気が見て取れた。まさしく、武士(もののふ)の心意気である。

今回のWBC、日本代表には「侍JAPAN」などというニックネームが冠されている。このニックネームを解説者が連呼する度に私はいつも苦笑を禁じ得ない。これは何かの揶揄なのだろうか、と。

武士道とは、死ぬる事と見つけたり。

誰の言葉だかは知らないが、読者諸氏も聞き馴染みのある言葉だろう。

決死の覚悟を有する事を武士道とするならば、その意味においては韓国代表の方が多分に武士道を体現しているではないか。私はそう感じた。日本代表にその覚悟が微塵もない、とまでは言わないが、どちらが多分に、と問われれば、それは韓国代表だと答えざるを得ない。

もし仮に、ファッションとして「侍」という言葉を使っているのであれば、荒唐無稽、笑止千万の沙汰である。侍とはファッションなどではなく、心意気ではないだろうか。桶狭間における織田軍が有した決死の覚悟、それに卑近なものを有していた韓国代表には負けるべくして負けた。

個人的には九回表の攻撃時、稲葉が先頭打者として塁に出た後に、バッター石原の場面での代打阿部、これが解さない。仮に阿部が打ち同点もしくは逆転まで漕ぎ着けた所で、その裏の回に誰にマスクを被らせるつもりであったのだろうか。肩を負傷し送球のままならない阿部が守っていたならば、それは万全とは言い難い。石原をそのままバッターボックスに送り出すべきだったろう。石原慶幸のバッティングは、決して悪くはない。長打力では若干阿部に引けを取るが、確実性だけを見れば良い勝負だ。何と言っても石原慶幸は我らが広島東洋カープの正捕手なのだ。赤ヘル魂を舐めるな。クソボールに向かって飛びつきながら打つ「忍者バント」なる得意技もある。そもそも、カープの不動の四番打者である栗原健太を代表落ちさせた事からもわかるように、原監督はカープを舐めきっている。ペナントで痛い目を見るが良い。昨今のオープン戦における栗原健太は、「確変モード」とも思えるほどに打ちまくっている。恐らくは巨人との開幕戦でも打ちまくるに違いない。背番号5番、今日も明日も頼むぞ、そう我らの栗原。

カープに対する身贔屓を基にした原批判がしたかった訳ではないから、この話題はここまでにしよう。

韓国代表が決死の覚悟を有するきっかけになったのは、やはり第一次予選でのコールドゲームだったのではないだろうか。あの屈辱を噛み締め、敗因を徹底的に分析したからこそ、前回と今回の好ゲームを作り出す事が出来た。

本日の敗戦から何も変わらないようでは、日本代表の今後は暗い。

カープファンである前に一野球ファンとして、今後の日本代表の奮起を心より期待したい。

でもなあ、栗原と永川がいれば勝ってたんじゃねえの?なんて思うんだけど(笑)

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