敗戦の弁
ああー!!
広島負けたー!!
巨人に負けたのか!?
いえ、貧しさに負けたんだ!!
日本プロ野球に是非とも共産主義の導入を!
火急的速やかに!!
でも「代打前田」見れたしいいや。
柔道見れなかった!チケット売り切れって何だよ!落ち込んだ!だから元気を出すために今から東京ドーム行って広島―巨人戦見てくる!
まっえっだ!まっえっだ!ってスクワットしてこよう。前田、スタメンだと良いなあ。
最近心を打たれたものリスト。
1・本田竹広ラストレコーディング
ジャズピアニスト本田竹広が亡くなる少し前に行ったホールでの演奏。ピアノはベーゼンドルファー。阿佐ヶ谷のジャズ喫茶で深夜4時頃に聴く。ベートーベンの「月光」とか童謡の「故郷」とか入っているヤツ。凄まじかったなあ。ぼくが最近模索してた、ソロピアノの、ある種の理想像だった。音色、間、無論、魂。色んな意味で圧倒された。アフリカ音楽的なアプローチというのも、ヒントになった。
2・絵本「100万回生きた猫」
本屋で立ち読み。ぎゅんぎゅん切なくなってしまった。何べん死んでも生き返った猫が、大好きな猫が一匹出来ただけで全て変わってしまうんだもの。「本当に死ぬ」っていうのはどういう事だろう、と考えた。
3・絵本「泣いた赤おに」
これも本屋で立ち読み。最後、青おにの残した手紙を眺めながら膝から崩れ落ちていく赤おに。本当に大事な友達は、きっと青おにだったんだねえ。青おにさえいてくれれば、他に友達なんていなくても良かったのに。人間も鬼も一緒で、本当に大切なものは、往々にして失ってから気付くもの。うん、読みながら泣きそうでした。
という事でとりあえずメモ程度に3つ。
本屋で絵本をじっと立ち読みする28歳児っつうのもどうかなあ。
自分に子供が出来たら、絵本は力(あ、経済力ね)の限り買い与えようと心に決めた。
本田竹広のCDも欲しいなあ。探してみよう。
さ、今日は今から昼に少しだけ仕事。終わったら全日本柔道選手権見に行って来ます!久しぶりの日本武道館だ!
深夜にはあまり思い出したくない事を思い出してしまう。
少しいじけながら酒でも呑めば尚更だ。
何故か思い出してしまったのは、中島みゆきの「命の別名」の一部分だ。
何かの足しにもなれずに生きて
何にもなれずに消えていく
ぼくがいる事を喜ぶ人が
どこかにいてほしい
(中島みゆき「命の別名」より)
ああ、そっか、ぼくは死ねばいいんだな、などと思うのは、酒が頭に回ってきた証拠だろうか。
それでは、また来世で。
ここの処、絶好調で頭の悪い文章を連日アップしておりましたが、そうそう、思い出した、明日、というか日付も変わって今日、4月25日は演奏の日なのですね。
錦糸町北口すぐのEarly Bird 駅前店に初出演です。ちょっと一風変わったソロピアノを、聴きに来ませんか。
来ません、か。
そうですか。
悲しいです。
でも、詳細は以下に。
4月25日(金)東京錦糸町 Early Bird駅前店
tel 03-5608-1083
http://music.geocities.jp/earlybirdnext/ebnx1.htm
pf:福島剛
アーリーバードのピアノソロ。新規オープンの駅前店に初出演です。こちらにも立派なグランドピアノが置いてあります。モンクとガーナーをやろうかなと考えていますが、当日の気分によります。
20:00~start music charge:2500円(1ドリンク・おつまみ付)
よろぴく。
池袋駅のポスターを見て知ったんだが…
東京国際大学野球部。
今年から古葉監督を迎えるらしい。
そういうのってアリなの?
古葉監督ってすげえんだよ?
ヤクザまがいの広島カープの連中を上手いこと束ねちゃって、日本一とかなった事もある名将なんだよ?
浩二、衣笠、慶彦、北別府、大野、津田。まあメンバーも凄いんだけど。
そんな監督が大学野球部の監督とかしちゃって良い訳?
そんな元気があるんならさ…
あるんならさ…
赤いユニフォームを着てよ!
古葉監督!
どうも、アメリカはアラバマ州の州立イマラチオ大学卒、ピアニストの福島剛です!
という事でまた適当な下ネタからである。「イマラチオ大学」って言葉は、確かMJ(みうらじゅん)先生が言ってたような気がするのだが、どうだったろうか、忘れた。とにかく私の頭の片隅にあった、クズワードの一つだ。
ジャズの世界での所謂「エリートコース」の一つに、「米バークリー大卒」というものがある。勿論私は違う。いささかの学歴コンプレックスを解消するべく、今後バークリー卒の人と話す時には、「ああ、私もアラバマの‘イマ大’を出ていましてね。え?ご存じない?イマラチオ大学ですよ。学科ですか?学科はクンニリングス学科という所を。ええ、首席で出ました。まあ、何の自慢にもなりませんがね、ハハハハハ」と英国紳士のようにジェントルかつエレガントに会話を繰り広げて行きたいものである。眉をひそめていただける事請け合いであり、その後の気まずい人間関係の構築に一役も二役も買ってくれる。
うむ。
黙らなくてはならぬな。
沈黙。
完全に沈黙。
後、
暴走・・・
はい!「わんこ」の「わ」の字を「ま」に変えてー!!
アソレ!連合赤軍!連合赤軍!ジステンパー!ジステンパー!
・
・
。
おっといけない。本当はもっと暴走して書いてしまったのだが、身の危険を感じて削除した。
今日は、前回書いた「酒の美味くなる状況」の続きを書こうと思っていたのだ。さて、本題に入ろう。
前回は第3位を紹介した。「失意の酒」である。今回は第2位から。
第2位は「背徳の酒」である。
失意が単なる「酒」を「優しい酒」へと変貌させたように、背徳というものは単なる「酒」を「耽美な酒」へと変貌させる。私がそれを度々目にするのは、電車の車内である。
電車の中で携帯電話を用いて通話をしてはならない、これは最早万人の共通認識としてのモラルになりつつある、と私は思っている。私も電車内で自らの携帯電話に電話がかかってくれば、声を潜めつつ「(生まれてきて)すみません、電車内なのでまたかけ直します」と言って即座に切るか、或いはそもそも電話を取らない。良識ある大人の、極めて一般的なマナーである。これらは、先ほども述べたように、最早共通認識、というレベルにまで到達している、と私は考えている。
では、酒、はどうだろうか。電車内で酒を呑んではならない、その認識は未だ共通認識ならざる処で蠢いており、またこの先もそういった一般的な倫理観には入らないのではないだろうか。無論、電車内で酒を呑んで暴れ、他人に迷惑をかけてしまうという案件にかんしては、この際考慮の外である。酩酊しない、というレベルにおいて言えば、電車内で酒を呑む事は、電車内でペットボトルのお茶を飲むのと等しい行為なのではないだろうか。
そもそも考えてみて欲しい。電車内でペットボトルでお茶を呑むOL。この光景自体は、何ら違和感のない光景であるが、そもそもそのOL美香子(仮名)がペットボトルから呑んでいる液体がお茶であるという保証はどこにもない。或いはそれはアルコールの含まれた液体である可能性も大いにある、という事を我々は認識せねばならない。よくわからないが、不確定性原理だのシュレディンガーの猫だのというのはそういう事だと思う。
美香子は、最近の仕事に疑問を覚え始めていた。何かをこなすというよりは、怒られないようにする事ばかりを念頭に置いた自らの仕事との向き合い方に、葛藤すら覚えていた。あたしはこんな事をする為に社会に出たんだろうか。様々な後悔や自戒の念が頭をよぎる。けれど、優しく微笑んで、全てを諦めて、そして受け入れよう、美香子はそう思っていた。恋人の健二との仲も、ここの処しっくりと来ていない。会話が続かない。体を寄せ合わせても、何かそれは義務的な行為のように感じられた。全てにおいて、空疎な感情が美香子を覆っていた。
仕事帰りの道すがら、会社から新橋の駅へ向かう途中のコンビニで美香子は焼酎を購入した。今すぐそれを呷りたかった。人目も憚らずに、その液体を体の中へ、と。しかし、それは出来ない。そういう行為を人に見られる事に付随する面倒を、美香子は熟知していたからだ。暫らく思案して、美香子はペットボトルの烏龍茶を購入した。どこからどう見ても烏龍茶だ。間違いは無いし、つけいる隙も無い。美香子は購入した烏龍茶の中身を半分ほど、トイレに捨てた。そして、その空いた空間に焼酎を注ぎ、軽く手の中で振った。
美香子は、その簡易焼酎烏龍茶割りを、店を出てから大っぴらに呷った。誰も美香子が飲酒している事には気づかない。美香子は、何か湧き上がるような愉快な感情を覚えていた。人を欺く快感?いや、そういったものとは少し違う。これは背徳の喜びなのだ。酒は、少しずつ体に染み透っていく。美香子は、くっくっくと含み笑いを洩らした。
といった事案が象徴するように、この背徳感は、酒を十二分に美味くする。おわかりいただけるであろうか。私も、時折電車内でのビールという背徳行為には及ぶが、この背徳感たるや満更ではない。安いビールが、より一層美味くなるのである。
さて、ここまで「失意の酒」と「背徳の酒」を紹介してきたが、最後に第1位を紹介したい。
第1位は、「百万石の酒」である。
(「百万石の酒」の言葉を見てうんざりした方、私を赦すように)
これは嘗ての私の経験による。
嘗て私が小田原にて温泉に浸かっていた時の事である。
正確な氏名は忘れたが、傍らには四人の男がいた。直江何某(なにがし)、奥村何某、伊達何某、真田何某、というのが彼らの名前であったと記憶している。私たちは小田原の雄であった北条何某という勢力と戦うために、彼の地へ赴き、そして戦に勝利した直後であった。戦自体は稀に見る勝ち戦であった為に、私の心は何一つ躍らなかった。私は負け戦こそを好む性質であるのだ。
湯の中で我々が酒を酌み交わしながら「天下」について話をしていた処、そこへ豊臣何某という初老の男性がやって来た。彼は、私たちに「天下の獲り方を教える」、と言いながら、ゆっくりと湯の中に入ってきたのだ。
彼は言った。「天下人は、天が決める」と。
そして、彼は私の傍らに腰を落ち着け、「此度の戦、陰働きはお主であろう、ご苦労であった」と私を労った。
私は「あんたのためにやった事ではありませんよ」と軽くあしらった。実際その通りであったからだ。
彼は、私に仕官の話を提案した。「これでわしのところに来んか」と、彼は右手の人差し指を一本、掲げた。
私は何も言わなかった。すると、彼はさらに続けた。
「百万石では不足なのか?」と。
百万石というのは、現在の貨幣価値に直せば、約二千五百億円もの大金である。一瞬、周囲が狼狽するのが私にもわかった。
私は落ち着き払って言った。「人は日に米は三合、畳は一畳あれば十分。」と。
そして続けた。「そんな事より、一献くれまいか。」
彼もまた一箇の傾奇者である。私のその言葉を受けて、彼は高笑いしながらこう言った。
「強情なやつめ」と。そして彼は私の盃に酒を注ぎながらこう言った。
「心して呑め、百万石の酒ぞ」と。
以上、参考文献は『花の慶次』であった。こういった事から導き出される結論としては、この私が経験した「百万石の酒」が何故美味かったのか、という秘密であるが、そこには自尊心というキーワードが隠されている。私は私とて、傾奇者としての誇りを貫き通した。その自尊が酒をより一層美味くさせたのである。
以上、二回に渡って書いてきた酒の美味い呑み方であるが、まとめとして。
美味くなるスパイスは、「失意」であり、「背徳」であり、「自尊」である。これらを美味く利用して、皆で愉しい飲酒ライフを満喫しようではないか。
最後に一つ断りを入れておくが、当ブログに記載されている内容の9割は嘘であるから、あまり真剣に読まぬように、今一度注意を促しておく。
Shall we セックス?
いや、かたじけない。ついつい無闇矢鱈と思いついた下ネタを口にしたくなる私の悪い癖が出ただけだ。大目に見ていただきたい。
あ、でも女性とお酒を呑む時に、「ねえ、広島の新井が阪神行っちゃったのってどう思う?」ぐらいの軽いトーンで「Shall we セックス?」って聞いてみたいな。女の子の反応としては、「もーう、やーねえ。」と顔を赤らめてくれつつも、満更ではなさそうな微笑を浮かべてもらえるのが模範解答、100点。まあ、次いで「ウィー、ムッシュ!」とやる気満々で濡れた瞳を投げかけてくる、というのも悪くはない、80点。腰を低く落として「ヘイ、バッチコーイ」は、悪くはないのだけれど、60点。無視、というのはそれはそれで私の中のM的な部分が反応しなくもないのだが、50点。まあ暴力的な行為で反応されなければ、何だっていいや、というのが正直なところなのだが。どうでもいいか、思いつきの下ネタであまり引張ってはならぬな。
さて、気を取り直して本題に。
今日は、酒、である。
ご存知の方も多いかも知れないが、私は酒という液体を深く愛している。酒により重大な人間関係を壊した事も一度や二度ではないが、それでも今日、私は酒を呑んでいる。それは私が酒を愛する所以だ。酒を呑む事により生じるリスクよりも、酒を愛で、嗜み、そして私自身が酩酊するその時を優先させる。わかりやすい言葉でいえば、「クズ」という事である。
日本酒、焼酎、ビール、ワイン。様々な有象無象の酒が世の中には存在するが、ざっくり言ってしまえば酒には二種類しか存在しない、と私は考えている。無論、その二種類とは「美味い酒」と「不味い酒」である。全ての酒が、この二分法によってカテゴライズ可能である。
私は度々この問題について言及する事があった、と記憶しいる。以前、当ブログにおいても、「気の置けない友人と些細な話題に爆笑しながら呑む酒」は「美味く」、「いけすかない人間の自慢話に適当な相槌を打ちながら呑む酒」は「不味い」と書いた記憶がある。
こういった事からもわかるように、酒の美味さを決定づけるのは、呑む酒の種類や銘柄以上に、それを呑む状況設定が重要なのではないか、というのが私の持論である。勿論、酒の種類というものを無視している訳では決してない。私はお気に入りの小料理屋(←小岩にある。どこか知りたい方は私に直接お問い合わせいただきたい)にて、日本酒の呑み比べをする事を、数か月に一度の楽しみとしている。呑む日本酒の銘柄により、味の差が歴然とある事ははっきりとわかる。酒の種類による差というものは、厳然としてあるのだ。あるのだが、それ以上に重要なのは呑むシチュエーションではないだろうか、というのが私の提案である。この私の提案が、今回の話の大前提である。そこに同意できない方は、この先を読む事はあまりお勧めしない。
さて、こうした大前提のもとに私が考えるのは、「美味い(或いは美味そうな)酒の状況ベスト3」である。こうした状況で酒を呑めばハズレはない、という私なりのナビゲートである。参考になるであろうか。恐らく、あまり参考にはならないであろう事を先に断わっておく。
まず、第3位であるが、これは「失意の酒」と呼びたい。我々人間は、失意を味わう事がしばしばある。これまでに一度も失意を味わった事のない人間、或いはそんな人間も世の中にはいるのかもしれないが、そんな奴の話は聞きたくないし、今後も参考にする予定はない。失意を味わった時に呷る酒というのは、格別なものである。
私が呷った「失意の酒」。それは、焼酎であった。銘柄は、確か「大五郎」。4リットルで2000円程度で売られている「最凶」の名に恥じない酒である。味に関して先に言っておこう。掛け値なしにマズイ。ただそれだけである。
当時、私は恋人と別れてしばらく経った頃であった。別れた原因は私の浮気である。360度どこからどう見ても私が悪い状況で、別れを切り出された。私の心境としては、裸単騎イーピンで待っていた処で、ラスハイの東をツモ、ただしトイメンは国士無双13面待ちでオープンリーチをかけている。取れる対処法はただ一つ、「大声を出す」の一択である、という状況に似た状況。有無を言わさずに(言えずに)お別れと相成った。そこまではよくある話なのだが。
さて、暫くしてからその別れた女性から「新たに彼氏が出来た」という話を聞いた。私はまだ彼女に未練があった時分である、それはそれは苦悶した。私はその女性が私の知らない誰かと接吻を交わす処を想像した。そしてコマンとコチンの擦れ合う様をも。私は半狂乱であった。まるで修羅の如き形相をしていたに違いない。そんな折、私の傍らにあった「大五郎」の4リットルペットボトルが目に入った。私に出来る事は、そのペットボトルの注ぎ口に自らの唇をつけ、可能な限りの量の焼酎を、出来うる限り迅速に体内に摂取させる事のみであった。私は大五郎を呑んだ。可能な限り、多量に。
普段、まるで消毒用アルコールと間違えるかの如き香りを放つ大五郎であったが、この時は私のささくれだった心に染みた。そうなのだ、その時に呑むべき酒は、大五郎でなければならなかったのだ。私は、当時の一人暮らしの家で孤独に急速に酩酊し、そして少しずつ憎しみや嫉妬から解放されていった事を覚えている。
失意の酒、それは悲しい心を慰める、優しい酒である。安ければ安いほど良い。チープな自己憐憫が、酒を一層美味くするスパイスとなるのだ。
続いて第2位である。
と、書きたい処なのだが、眠くなってきた。2位以降は次回に持ち越したい。
書かなかった場合は、軽めの罵り言葉で私を罵っていただきたい。
なお、この場合、私を罵って良いのは和服の日本美人のみだ。いや、叱ってほしいな。
「もう、たけちゃんったら相変わらずダメねえ」といった具合に。
うん、叱ってくれる人募集します。
おやすみなさい。
よし、最近いくつかライブのスケジュールも決まってきたし、これは今日中に頑張ってブログにアップだ!と意気込んでパソコンに向かった私である。あ、仕事のメールしなきゃいけないんだった、今思い出した。
先にメールしてしまおう。
メール終わり。終わってからコンビニに行ったりしていたため、書き始めより小一時間が経過。いつもこういう流れで全部書ききれなくなるんだよなあ。
前述のライブスケジュールは辛うじて昨日(21日)の日付の内にアップすることができた。私のライブに来ると、何故だかは知らないが急に彼女が出来たり、宝くじの一等5000億円が当たったり、末期癌が治ったり、と様々な効能があると聞く。最近あれこれと芳しくない方は、私のライブを見に来る事をオススメする。きっと半年後には札束で出来たベッドの上で金髪美女を数人はべらして寝ている事だろう。ライブに関する詳細は当ブログをご覧いただきたい。
さて、しつこいようだが先ほどライブスケジュールをアップした。ああ、確かにアップした。私はそれを確かめるべく、自らのブログにアクセスする事で出来栄えを確認した。うむ、こんなものだろう。私はITすらも自在に操る自らの腕前に惚れ惚れとした。「こんなにパソコンが得意だなんて私ってば何・ゲイツなんだよ!何橋名人だよ!何連射するんだよ!」と自画自賛の嵐に陥った。
さて、久方ぶりに自分のブログを客観的に見てみた。なかなか頭の悪いワードばかりが羅列されているではないか。真っ当な神経をしている人間は、こんなブログは見まい、と納得していたが、その刹那、驚愕した。当ブログの右上方に設置してあるアクセスカウンターを見れば、それは50000の数字を超えていた。50000である、五万。ゴマン、コーマン。マン・・・・・・・おっといけない。ついつい下ネタを口走りそうになった。せめてジェイン・オースティンの「高慢と偏見」ぐらいを駄洒落の引き合いに出して、私の意外なる知的さをアピールしなくてはならないところであった。ちなみに英文科を9年もかけて卒業した私であるが、「高慢と偏見」は読んだ事がない。「ああ、アレですね」と物知り顔で「読んだフリ」をした事はある。良いではないか、とりあえず、五万、である。
さて、この五万という数字を元に、私なりに様々な仮説を弄んでみた。以下に詳細を。
前提として、このようなチンのカスであるブログを見ている時間というのは、手淫に励んでいる時間の六万倍無駄である、と定義する。あるいは、夏の猛暑の中、扇風機の前で下着一枚になり、自身の玉袋筋太郎を弄んでいる時間の6800倍無駄である、と言ってもいいだろう。とにかくこんなブログを読むのは時間の無駄である。「時は金なり」という座右の銘をお持ちの方は、今すぐブラウザの左上方にある「戻る」ボタンを激しくクリックだ!兎にも角にも無駄な時間なのである。
次に、このブログを見る時間を考えてみた。自分で言うのも何であるが、比較的文字の多いブログである。読むのには時間がかかる。きちんと読もうと思えばそれなりに時間もかかるであおう。そうした人たちの1アクセスにかかる時間を1分と仮定したい。
しかし、このようなマンのカスであるブログを開いてしまった瞬間に「わわわわわ、ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと!!!」とダッシュで「戻る」ボタンをクリックする方も多いであろう。かく言う私も中学生の時分、友人から借りた色本の中にあった「スカがトロ」な部分を見てしまった時には、「ちょちょちょ、そんなもの食わねえでいいから!!!」と、怖れおののいてページから目を逸らした経験はある。
前者と後者の割合であるが、希望的観測も含めて、恐らくは3:7で後者が多いであろう。「わわわ、ちょっと!!!」の方々が、である。
そこで問題である。
(以下、小学生の算数の教科書風に読んでいただきたい)
~~~「福島剛 ホワッドアイセイ?」という、廃人同然の自称ジャズピアニストが書くチンがカスなブログがあります。このブログは、読者の時間をフルスイングでドブに捨てる事で有名です。さて、このブログがこの度50000アクセスを記録しました。1アクセスにつき1分をドブに捨てたAタイプの人が全体の3割、ページを開いた瞬間に脱兎のごとく「戻る」ボタンをクリックして1アクセスにつき1秒しか時間を無駄にしなかったBタイプの人が全体の7割と考えた時、このキチがガイなブログは1アクセスにつき貴重な他人様の時間何秒を無駄にしているでしょうか。~~~
面倒くさいのできちんと計算していないが、私の読みではおそらく答えは「20秒前後」である。という事は、20×50000=1000000(秒)であり、それを日にちに換算すると、およそ11.6日である(これは計算した)。つまり、278時間である。
私は他人の時間を278時間も無駄にしてやった。してやったりである。
もう一度言う。「時は金なり」が座右の銘の人、今すぐ左上の「戻る」ボタンをクリックだ!最後まで読んでるんじゃねえよ!!
いや、素直になれなくてすいません。実は、50000アクセス、すごい嬉しいです。普段から読んでくれている方々、ありがとうございます。
とりあえずなんですが、6月までの決まってるライブを告知。
色々ありますよ。来てね。
注意:このブログの左上のほうにある「プロフィール」をクリックしても見れますよ!!!
2008年4月
4月25日(金)東京錦糸町 Early Bird駅前店
tel 03-5608-1083
http://music.geocities.jp/earlybirdnext/ebnx1.htm
pf:福島剛
アーリーバードのピアノソロ。新規オープンの駅前店に初出演です。こちらにも立派なグランドピアノが置いてあります。モンクとガーナーをやろうかなと考えていますが、当日の気分によります。
20:00~start music charge:2500円(1ドリンク・おつまみ付)
2008年5月
5月2日(金)東京錦糸町 Early Bird
tel 03-3829-4770
http://www.geocities.jp/earlybird_mmp/05.htm
pf:福島剛
ピアノソロです。この日は本店の方。ゴールデンウィーク前に、ガイキチピアノを聴きにいらして下さい。
20:00~start music charge:2500円(1ドリンク・おつまみ付)
5月25日(日)東京金町 Jazz inn blue
tel 080-1263-0955
http://www.jazz-inn-blue.net/component/option,com_frontpage/Itemid,1/
pf:福島剛 b:長谷川明弘 ds:松永博行
4回目の金町でのピアノトリオです。回を重ねるごとに、リラックスしつつも激しさを増してきました。呼吸が合ってきたのでしょうか。おススメです、是非おいで下さい。
20:00~start music charge:1500円
2008年6月
6月1日(日)東京新宿歌舞伎町 ゴールデンエッグ
tel 03-3203-0405
http://www.g-egg.info/top.html
gt:東別府拓真 harp:皆川和義 b:小林賢一 ds:西川邦博 pf:福島剛
新宿歌舞伎町でブルーズバンドに参加することになりました。どうなるんでしょうか。メンバーはハーモニカの皆川さん以外は全員初対面ですし、何だかわくわくします。張り切ってやります。
*時間・チャージ等詳細後日
6月21日(土)京都岩倉cafe jinta
tel 075-724-2534
http://www.cafe-jinta.com/
sax:黒田雅之 b:椿原栄弘 pf:福島剛
久し振りにジンタでライブです。サックス黒田さんもベース椿原さんも何度も一緒にやっていますが、このメンバーって実は初めてかもしれない。どうなるんでしょうか。今の所、ぼくの希望は「意外としっとりやる」という展開です。
*時間・チャージ等詳細後日
6月22日(日)京都祇園 pick up tel 075-525-0595
http://www.gion-pickup.com/
~G's Party~
四条寺町「ぎやまん」の30周年記念パーチーです。多分、夕方ぐらいから会費は4000円~5000円とかでやるんだと思いますが、ぼくもよく知りません。おそらく飲み放題になる事は請け合いだと思います。ぎやまんにゆかりのある酒の好きな方々は大集合ですよ。ぼくも早めに演奏切り上げて呑みまくりたいなあ。あれ?
6月27日(金)東京三軒茶屋 お山のすぎのこ
tel 03-5486-0094
http://www.oyamanosuginoko.com/
harp:皆川和義 pf:福島剛
今年初頭から打ち合わせと称しては呑み屋で下ネタトークばかりしていたどうしようもないデュオですが、やっと初ライブにこぎつけました。呑んでばかりいてはいけません。とは言え、皆川さん、良いハープですよ。確か、ハーモニカの大会とかで何回も優勝してる筈です。それも音を聞けば納得です。
*時間・チャージ等詳細後日
週末。
日付が変わる直前辺りの小岩やら錦糸町やらの風景は、しょっぱいとか香ばしいとかを通り越して、もはや酸っぱい。
野球で言えば球が走りまくっている。
いちゃつくカップル。路上で眠りこける親父。大声で騒ぎ立てる若者(バカもの)。
多分、痴漢ぐらいの軽微な犯罪なら警察は気持ち良くスルーしちゃうぞ、というぐらいのカオス。
色んな人が生きてて、良いなあ。
何だかホッとしてしまう。
ごみ溜めの中で暮らすのは、そんなに悪い事じゃない。と私は思う。
きれいはきたない。きたないはきれい。
『マクベス』より
明日、4月15日は錦糸町early birdにてソロピアノです。
のんびりやっております。宜しければ、見に来てやって下さい。
4月15日(火)東京錦糸町 Early Bird
tel 03-3829-4770
http://www.geocities.jp/earlybird_mmp/05.htm
pf:福島剛
ピアノソロです。ここの所、思索的にやる事が多いのですが、今回のテーマは「無心」です。立派なグランドピアノと、会話してみます。
20:00~start music charge:2500円(1ドリンク・おつまみ付)
ライブをしますので、告知です。
取り敢えず、3本分。
いずれも、来てくれたら、泣きゲロ吐きつつ喜んじゃいます。
4月11日(金)東京上野 Every Swing
tel 03-5818-3513
http://www2.every-swing.coco.jp/
tp:久原博高 b:藤田奏 ds;松永博行 pf:福島剛
トランペット久原さんのリーダーバンドに初参加。お店も初めてのお店ですし、タイコの松永さん以外は、ライブ共演は初めてです。恐らく、バップ色の強いジャズをやるのだと思います。
20:00~start music charge:2000円
4月15日(火)東京錦糸町 Early Bird
tel 03-3829-4770
http://www.geocities.jp/earlybird_mmp/05.htm
pf:福島剛
ピアノソロです。
20:00~start music charge:2500円(1ドリンク・おつまみ付)
4月25日(金)東京錦糸町 Early Bird駅前店
tel 03-5608-1083
http://music.geocities.jp/earlybirdnext/ebnx1.htm
pf:福島剛
ピアノソロです。
20:00~start music charge:2500円(1ドリンク・おつまみ付)
ちゅうことなんで、そこんとこ夜露死苦!
東京に帰ってきました。
それなりに色々ありまして。
そういった事はまた後日。
書くやも知れません。
書かぬやも知れません。
ツネキくん、結婚おめでとう。
君が持って来ていたジャズスタンダードの譜面、何故かぼくの鞄に入っていました。
どうしましょうか。
おめでとう。
これを書き始めた現在、4月4日(金)、午前2時18分である。
深夜2時過ぎ、こんな時間からパソコンのキーボードををカタカタと叩き出したのには訳がある。私はこれより約3時間後の午前5時30分頃まで、今日は強制的に起きていなければならないのだ。
その時刻、まだ夜も明け切らない早朝の時間から、西の都、京都に向けてここ東京を出発する。今回は、鈍行列車の旅だ。簡単に時刻表を調べてみたところ、朝5時19分に東京の小岩駅を出れば、14時13分には京都駅に着く、との事なのだ。5時19分、その時間まで私は起きていなければならない。早起きをしてその時間に起きるなどという事は、到底不可能であるのだから。
また、上記の5時19分~14時13分という予定は、間違いなく達成される事のない事も知っている。私は乗り換えの際などにしょっちゅう逆方向へ進行する電車に乗る事があるし、また、一番危惧するべきは途中下車である。広大な静岡県を越えて、愛知県に差し掛かった辺りで小腹も空いてくる。名古屋駅にて途中下車。
―――うん、ひつまぶしでも食っていくか、いや、きしめんも悪くない。味噌煮込みうどん?素晴らしい。
そういった自問自答が繰り広げられた挙句、途中下車して時間を一時間以上ロス、という事態は十二分に考えられるのだ。
補足であるが、今回、移動の際には「青春18きっぷ」なるものを利用する。この切符、同日内(つまり本日4月4日以内)であれば、何度乗降車を繰り返しても料金は変わらない、という画期的なきっぷであるのだ。
さて、その京都への電車を待つまでの時間、私は我が家での暇潰しの一手段として、当ブログを更新するという手段を選んだ。少々長めの文章を書く時には、毎回凡そ二時間前後を要している。つまり、ブログを更新する事によって、二時間は時間が潰せるのだ。悪くないではないか。そういった経緯から、本日は深夜の更新と相成っている。
ここまでで、2時34分。実に16分が経過した。素晴らしい。
ブログ更新時には、毎回、何を書こうか、と凡そのテーマを決めて書く事が多い。今日も、この更新に当たって、幾つかのテーマ候補が上がった。今回候補に挙がったものを以下に紹介しよう。
・最強伝説えなりかずき~その光と闇~
・金麦新CMにおけるれいちゃんの焦燥
・欲しいものは丈夫なロープと足を乗せる台
・小岩ラーメン事情~群雄割拠の時代~
ざっとこんな所である。勿論こうして紹介するくらいだから、これらは今回の更新に際しては採用に至らなかった、という事になる。「えなり」と「れいちゃん」に関しては、共に5割程度は構想も定まっているので、近々採用する可能性も高い。全国の「エナリスト」達は首を長くしてお待ち頂きたい。下段二つのテーマに関しては、今、適当に思い付いた単語を羅列しただけだ。言外の意味はあまり無い。
さて、では今回のテーマに選んだものは何か、という事についてそろそろ触れていこう。今回私がテーマに選んだものは「結婚」というテーマである。
前回、プロポーズに纏わる少々物騒なショートストーリーを恥ずかしげもなく掲載した。そして奇しくも、今回私が京都へ向かう一番の目的は、非常に親しい友人の結婚パーティの為でもあったのだ。ならば、私なりに無い脳味噌を振り絞って、結婚という人生の一大イベントについて考察を巡らせてみようではないか、と思うに至ったのだ。えなりかずきを無反省に賛美する文章を書くのは、次回以降の機会に譲るとする、というのが賢明な大人の判断である。勿論、今私の中で抗う事の出来ぬほどのすさまじい「えなりブーム」がやって来ているのは明白の事実なのだが。
結婚、である。
古今東西、結婚に関する名言や格言は後を絶たない。そしてそれらは往々にしてネガティヴなものである事が多い。そういったものを引き合いに出して、「結婚とは人生の墓場である」という使い古された常套句のような結論を導き出すのはいかがなものか、と私は考えている。実際の所、そういった向きに私は否定的ですらある。
「女房は死んだ!俺は自由だ!」というシャルル・ピエール・ボードレールの言、これは間違いなく彼の心からの叫びであっただろう。
また、ボードレールよりも少しばかり後の時代を生きたオスカー・ワイルドが「男は退屈から結婚し、女は好奇心から結婚する。そして双方とも失望する。」と書いている事も興味深い。理想的な言辞を幾つ書き連ねてみたところで、結婚にはネガティヴな面は存在する。それはどうやら抗えぬ事実であろう、という事は、未だに結婚を経験した事のない私でも想像に難くない。
しかし、先にも書いたように、私は今日は結婚というものを、可能な限りポジティヴに捉えて考察するという事を心に決めている。ならば、ボードレールやワイルドの上記のそういった言葉たちに振り回される事無く、「理想的な夫婦像」というものを考えてみてはどうだろうか。
私はここで再びもう一つの名言を挙げてみたい。明治の文豪、永井荷風の言葉である。
「ねえ、あなた。話をしながらご飯を食べるのは楽しみなものね。」
この言葉の持つ破壊力、ご理解いただけるであろうか。
妻からこう言われた際の衝撃を、現代風に述べるならば、「萌え」の一言である。私は、この言葉から、「理想的な結婚の形」というものを妄想しつつ探っていきたい。以下、ショートストーリー形式にて。結局それが書きたいだけかよ!というツッコミに関しては、一切受け付けない。
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私は微かに揺れる海の中を見た。
青く、そして暗い海の中では、数多の生命が銘々にその生活を営んでいる。幾重にも連なる食物連鎖の渦の中で、新しい命が育まれ、そして古い命が朽ちていく。誰が決めた訳でもない、しかし数億年の時間の中で綿々と受け継がれてきた生命の摂理が、そこで成されていた。私もまた、そうした生命の摂理の真只中にいる。古い命を喰らい、新しい命を育み、そして朽ちる。その事を考えると、ふいに穏やかな気分になった。
私は同時に風の音を聴いていた。小さな船の上で。
遮るものは何もなく、直截的に風は私の頬を打ち、そしてその音を鼓膜に響かせる。いささか凶暴な音だが、決して不快な音ではない。私が手に持った釣竿の先端が、その風に煽られて、ほんの少ししなる。海中に垂らした釣り糸は、波に流されながら、しかしその緊張を保ったままだ。
私は家を出る時のお前の顔を思い浮かべていた。お前の、あの不安そうな顔を―――
「行ってくる」と私が言った。お前は俯いたままだった。
私が踵を返して背中を向けたその時に、お前は言った。
「ねえ、この間の事、まだ気になすってるの」
私は口を噤んだ。気にしていない、と言えばそれは嘘になるからだった。
私は少しだけ不愉快でもあった。私が釣りに出掛ける。釣りは私にとっては殆ど唯一と言っても良い趣味である。子供染みているのかも知れないが、私は前日の晩には僅かに興奮し、昂ぶったりもするのだ。月に一度か二月に一度、私はこうして船の上から糸を垂らす事を至上の慰みとしていた。その出鼻を、お前の憂鬱そうな表情によって挫かれたかのような錯覚に陥ったのだ。
しかし、少しでもそう感じた自らの幼稚さを恥じると共に、私は心に浮かんだ動揺の色をお前に悟られまいとして平静を装った。
「行ってくる」―――私は一言お前にそう告げた。
事の起こりは先週の晩だった。私が晩酌の席で、お前に対して愚にもつかない事を尋ねたのがきっかけだった。少し酒が過ぎていたのかも知れない。確か、普段ならば二合で止める筈の燗酒を、その日は私は四合呑んでいた。私はお前にふと、過去の事を尋ねたのだった。
お前が躊躇したのがすぐに分かった。お前の表情には、幾つかの徴しが見受けられた。余り隠し事が得意ではないのは、以前から知っていた。お前が沈黙した。傍らで、猫がにゃあと啼いた。
「いや、言いたくなければ構わない。人間には言いたくない事の一つや二つ、あって当たり前だ」私はそう言った。猫が、私の足許に擦り寄って来た。私は適当に猫を撫でた。
「言っても、構いませんわ」沈黙に耐え切れない様子で、お前はそう言った。
「だって、貴方が私の事を知りたいと思ってくだすってるんでしょう。ならば私、申し上げるしかないじゃありませんか」
今度は、私が躊躇した。私が躊躇したのは、お前のその表情に何か決意めいたものがはっきりと見えたからだった。
「厭じゃないのか」私が訊いた。
「厭じゃないわ。私が昔の事を貴方にお伝えして、貴方はそれでもまだ私の事を妻として愛して下さる、私、そう思っていますから」お前の顔には、不思議な力が漲っていた様にも見えた。
そして、お前は、ぽつりぽつりと、けれど確かに、自分の過去を話し始めた。
―――私はその晩の何ともやり切れない感情を、今、船の上で思い出していた。お前が語るお前の過去は、聞く前に想像していた以上に私を疵付けた。お前が嘗て苦しんでいたのは分かるが、それでも私は即座にお前の過去を全て許容し切れなかった。どこに向けて良いのかわからない怒りの感情が私を包み、私はお前の話を聞き終えてから、暫し肉体と意識が乖離しているかのような感覚に襲われた。私はどこにいるのだ、私は誰なのだ、と。
お前の過去を知りたくなったという、その欲求自体を私は疑いもした。果たしてそんな欲求をお前に吐露した事は正しかったのだろうか、と。私はわかっていた。私がそれを望めば、お前は戸惑いながらも有り体にお前の過去を語るだろう事も。ならば、それを承知した上で私がお前に過去を尋ねたのは、果たして本当に正しかったのだろうか―――
私の手に持った釣竿が、大きく前方にしなった。魚が、私の垂らした釣り針を口に銜えた証だった。私は竿を大きく上方にあわせ、リールを巻き、糸を手繰った。数分の格闘の後、船上に上がって来たのは形の良い、立派な鰤だった。
この時期の鰤は、脂が乗っていて非常に旨い。刺身にしても良いし、焼いても良い。私はそれまで脳裏に浮かんでいた鬱屈とした感情を意図的に外へ追いやり、今晩の食卓でのお前の顔を想像した。まあ、立派な鰤ですこと、お前はそう言って喜んでくれるだろうか。貴方、大した腕前ですわね、こんな美味しい魚を釣っていらっしゃるなんて。そう言って予定調和の世辞をお前は言ってくれるだろうか。机を挟んで向かい合って、お前がこの鰤に舌鼓を打つ所を、私は目にする事は出来るのだろうか。腕に微かに残る釣竿の振動の余韻は、私をより一層不安にさせた―――
船は、予定の釣行を終え、定刻通りに港へと帰り着いた。地上へと降り立つ。まだ少し船上での揺れが足に残っている。私は、鞄から携帯電話を取り出し、お前に向けて電話を掛けた。無機質な電子音が私の耳に響き渡る。港町特有の魚の脂の臭いが、私の鼻腔をついた。
「もしもし。ああ、私だ。うん、今終わった所だ。これから帰る」私は少々ぶっきら棒にそう言った。
「今日はどうでしたか。魚は釣れましたか」お前が私に尋ねてきた。
「形の良い鰤が釣れた。後は鯖と鯵が少し。きっと旨いと思う。帰ったら私が捌く」私は言った。
「まあ、良かったですわね。楽しみに待っていますわ」お前はそう答えた。
私は、少し口篭ってから、言った。
「折角だから、美味い日本酒を一本、買っておいてはくれないか。今晩は、この鰤で、二人で呑ろう」
お前は、沈黙した。沈黙に気まずくなって、私は言った。
「厭か」
お前はそれに答えた。
「いいえ、嬉しいです。お帰りをお待ちしております」と、呟くように。
そして、それに続けて、こう言った。
「ねえ、あなた。話をしながらご飯を食べるのは楽しみなものね。」
そうだな。私は、笑顔で答えた。
(了)
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という事である。なかなかによく出来た夫婦の妄想であると満足している。断りを入れておくが、完全にフィクションである。
ここまで書き終わって、現在5時27分。あーあ、遅刻だよ。
さ、今から電車に乗って京都に行ってきます。
あ、そうそう、4月6日は高槻JKカフェでライブもしてます。関西の方、宜しければどうぞ。
以下、参考までに。
4月6日(日)大阪高槻JKカフェ
tel 0726-71-1231
http://www6.ocn.ne.jp/~officejk/cafe/jkcafe.html
sax:黒田雅之 pf:福島剛
サックス黒田氏とデュオで。久しぶりです。大阪も、サックスデュオも。ずっと昔から一緒にやってる相手ですので、手の内もお互い熟知しております。息の合った演奏になると思います。
19:00~start music charge:カンパ制
行ってきます。
私は明日、人を大量に殺した挙句、自殺しようと思う。
4月2日、である。4月1日も過ぎた。
4月1日。エイプリルフール。
ネットサーフィンの折りに、いくつかのブログでささやかな嘘を見た。いずれにしても誰を傷つける嘘ではなかったし、ユーモアに溢れたものだった。
しかし、である。
そもそも「4月1日に限って赦される嘘」、というのは、「4月1日でなくとも何だかんだで赦される嘘」なのではないだろうか。
例えば、本日(日付的には昨日だが)一番多く見た嘘。
「結婚(入籍)します(しました)」という嘘。これに関しては5件ぐらい見た。一流会社の社長ばりに多忙な私は、分刻みのスケジュールを縫ってネットサーフィンをしたりスパイダソリティアに興じたりしている訳だが、そのネットサーフィンの折りに見た。
この「結婚します」という文言が嘘だったとして、誰が怒るのだろうか。誰が傷つくのだろうか。誰も傷つかないだろう。
極めて稀な例外としては、以下のようなショートストーリーに象徴される案件ぐらいではないだろうか。今日は、以下のショートストーリーを書きたかっただけなのだけれど。
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気が狂いそうだった。
闇夜の中で、桜の白が凶暴なまでに自己の存在を主張していた。
月明かりが川面を照らす。
闇と光。黒と白。
そのコントラストの中で、あたしは気が狂いそうなほどの恍惚を覚えていた。
美しさは、儚さと近似値なのだろうか。あたしはふと、そんな事を想った。終りがあるから美しくて、悲しい。悲しいからこそ嬉しくて、切ない。誰もが死の影に怯えながら、けれどその恐怖によって安堵させられながら生きているのではないだろうか、と。生の喜び、なんて言うとすごく陳腐に堕すけれど、生は、死によって保証されている。そんな気がした。
お前がふいに口を開いた。その時、あたしは信じられないような言葉を聞いた。
有り体に言ってしまえば、随分と前から、あたしはお前を欲していた。お前があたしを欲していたのかどうか、そういった意思の疎通みたいな部分を抜きにして、兎にも角にもあたしはお前を欲していた。遮二無二欲していたと言ってもいい。けれど、自尊心や虚栄心、体裁や種々の都合があって、あたしはそれを噯(おくび)にも出さずにいた。出せば、全てが壊れてしまう、そんな気がしていたのだ。
あたしは前に酔っ払ったお前に言われた事があった。「人間と人間は分かり合う事なんて出来ない。ただ赦し合うだけじゃないか」なんて。馬鹿じゃないか、とお前の事を思った。お前に少し落胆して、お前に少しうんざりした。あたしが聞きたい言葉はそんな言葉じゃなかったから。お前は馬鹿なんだと、あたしは決めつけて、それでもお前を欲していた。何の自己憐憫をも伴わず、ただひたすらに欲求として。
だから、お前の口から「結婚しないか」なんて言葉が出て来た時には、あたしはどう振る舞っていいのかわからなかった。
嬉しかった?そうだ、確かに嬉しかった。あたしは間違いなくお前を欲していたのだから。けれどそれ以上に、あたしは事態をうまく呑み込めない不便さに困惑していた。あたしがあたしでなくなりそうだった。踏みしめている筈の地面が、あたしの頭の中でゼリーのようにぐにゃりと歪み、あたしは危うく転びそうになった。
時間にして数秒、そうだ、5秒が良い所だろう。その数秒の間に、あたしはお前のその言葉を十遍ほど反芻してみた。激しく転調を繰り返すジョン・コルトレーンの楽曲みたいに、言葉は幾つもの様相を呈しながらあたしの頭の中で木霊した。
「結婚しないか」
「ケッコンしないか」
「kekkon市内か」
挙句の果てには、「決闘しないか」と聞こえてきそうな程の有様だった。決闘も悪くない。あたしはいささかお喋りになっている自分の意識に、少し辟易とした。
いけない。そろそろ反撃の狼煙を上げなくては。
あたしは意を決した。
「本気で言ってる?」あたしはお前にそう尋ねた。
お前はわざとらしく返事をしない。鬱陶しい人間だ、とあたしは心のどこかで思う。思わせぶりな素振りをしている自分が好きなんだろう。惨めで、愚かだ。しかし、どうしようもない一つの事実として、あたしはお前を欲しているのだ。砂漠で行き倒れた人間が一口の水を欲するように、切実に、そして実直に。
「いいよ。死ぬまでに一回ぐらい、してみたいもの」あたしはお前に向かってそう言った。
お前は猶も言葉を発しない。あたしがさっきそうしていたように、あたしの言葉を再び反芻しているのだろうか。そして咀嚼した上で、プロポーズが成功した喜びを噛み締めているんだろうか、あたしはそう考えた。間が持たなくて、咽喉が乾いた。ビールを呑みたかった。煙草も吸いたかった。けれどどちらも手許にはなかった。あたしはお前を見つめ続けた。
その刹那、お前の口許が汚らしく歪んだ。人間とは、こんなにも汚い表情を浮かべられる生き物なのかと、あたしに戦慄が走った。そして、たまらなく嫌な予感がした。背筋がうっすらと汗ばむのがわかった。
「今日、何月何日だっけ?」お前は確かにそう言った。
躊躇した。けれど、躊躇した自分を悟られるのが厭で、あたしは平静を装って、そして言った。
「3月…31…、いや、違うか。日付が変わったから、4月1日か」あたしは左手首に嵌めた安物の時計を一瞥してそう言った。時計の針は、深夜2時を少し過ぎた辺りを指していた。お前と夜桜を見るために散歩に出たのが夜の11時過ぎ。もう3時間近く、ふらふらと川岸を二人で歩いていたのか。
4月1日?
あたしは違和感を覚えた。胃の付け根の辺りが、締め付けられているように痛んだ。
お前は、その醜く歪んだ口許を更に歪ませて、あたしに言った。
「嘘だよ、嘘。本気にするなよ。エイプリルフールだよ」と。
エイプリルフール。
四月の、馬鹿か。
馬鹿、莫迦、ばか。五月蠅い。お前に馬鹿扱いされる覚えはない。あたしははっきりと怒りを覚えていた。
お前は相変わらず醜い笑みを浮かべたままだ。
あたしはお前から視線を外してみた。また、桜が見えた。それは錯覚かもしれないが、先ほどよりも色鮮やかに咲き誇っているように見えた。今度こそ本当に、目が眩んだ。
何か、バールのようなものが欲しかった。所謂、鈍器というものが。そいつで、お前の後頭部をしたたか叩いてやりたかった。桜の白が、お前の血で赤く染まる。お前の脳漿が、そこかしこに飛び散る。その光景を想像すると、あたしは不思議と心が躍った。
結婚か、とあたしは思った。
誰かが捨てたものなのか、傍らに、角材が見えた。
千載一遇。
「良いよ、あたしだって、それぐらいの冗談、わかるんだから」そう言ってあたしは苦笑いを浮かべた。
「ごめんごめん」と言って、お前は、あたしに背を向ける。
あたしは、角材を、しっかりと握った。
お前の、背後で。
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と、いうケースが考えられなくもないので、結婚に関する嘘は、慎重になった方が良いか、と。
私も、冒頭に嘘なのだか本音なのだかわからない言葉を書き記してみた。
単なる悪趣味である。
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