幾つかの心象スケッチと金麦新CM
このブログを始めてから早くも二年以上が経つ。
下ネタを7割、愚痴を2割、たまに音楽の話や私の音楽活動の宣伝を1割書いて、丁度良い塩梅、と思いながら書いている。
過日、初めて(と言って良いと思うのだが)好戦的なコメントを頂戴した。長いことブログを書いておられる方々には日常茶飯事だとも聞くが、いずれにせよ私には初めてのことだった。
そのコメントを開く際の私の心象風景を福本伸行氏に代筆していただけば以下のようになる。
私はざわついた。
そして開いてみたならば、そこには
「テメー、ピアノ教師とかやってんじゃねーよ、カス」
という内容の、極めて含蓄深いお言葉が掲載されていた。
そして、誰やも知れぬ何某から(後から訪問者ログ調べたらすぐわかっちゃったんだけど)いきなりそんな事を言われた悔しさから、私の表情は以下のように歪んだ。
その後私の悔しさは怒りへと変わり、心象風景は以下のようになった。
さて、折角の初体験だったのでこうしていくつかの画像と共に紹介したが、今回の文章をこのネタのみで引っ張るのはもうやめにしよう。良いネタが出来た、と心が小躍りした自分を、少し恥じなくてはならない。私はかなり暇な人間であるが、私よりも更に暇な人間などザラにいるのだ、という事がわかっただけでも一つの収穫なのだ。
今回私が書きたかったのは、サントリーが販売する「第3のビール」、「金麦」の新CMについてである。
私はこれまでも折に触れて「金麦」のCMに言及してきた。
第一回目は「れいちゃんというらしい」
第二回目は「真相」
である。
参考までに、友人石田ゆうすけ氏がこのCMについて書いた文章も紹介しておきたい。
「移ろいゆくもの」
さて、これら一連の流れの中で我々が知性の限りを尽くしながら論じてきたテーマは、一貫して「れいちゃんの妻としてのあるべき姿」であった。
今回の新CMにおいて、れいちゃんは妻としての新しい側面を私に(他でもない私のみに)見せつけた。れいちゃんは時を経ると共に、妻として移ろいでいる。これは石田氏が危惧し、指摘した通りの展開であった。私は彼の先見の明に、力なく頭を垂れるしかなくなった。
未だ新CMを御覧になっていない方の為に、私が簡単にその内容を説明しよう。こういった辺りが暇なのだが。
~金麦新CM、「ホワッドアイセイ?篇」~
らー、ららっら、らっららら、らっらら、らっららら、らっらら、ららっらら、べべん、べべんべんべん(オールナイトニッポンのテーマ)
ふと、あたしは指先が氷のように冷たくなっているのに気が付いた。冬の寒さをあたしはいつも指先で実感する。秋はもう随分昔の事なのだろうか。春はまだ随分先の事なのだろうか。冬がやって来ている。冬に抱かれている。冬は何だか艶やかだ。あたしはぼんやりとそんな事を考えた。
傍らで、時代遅れも甚だしい薪をくべるストーブが独りで熱気を発している。中で、薪のはじける音がパチパチと鳴る。その音が部屋中に響く。しん、とした中で、薪が鳴いているように感じられた。
それはオーケストラの演奏が始まる合図だったのかもしれない。
あたしがそう思った刹那、次いで、ストーブの上に置いた薬缶がしゅんしゅんと音を立て始める。外で木々達が一斉にざわめき出す。瞬間、遠くで鳥の啼く声が、一声、聴こえた。まるでコンサートホールの中にいるかのように、全ての音が混在し、一体となる。ああ、素敵だな。たけちゃんは、まだ、帰ってこない。
遅い、遅い。
最近あいつは帰りが遅い。今までが早過ぎたのかも知れない。仕事が忙しくなるのは良い事だ。たけちゃんが自分の仕事を随分と気に入っているのは、普段から近くにいるあたしじゃなくったってわかる。「今日も忙しかったよ。疲れたあ」って言って帰ってくるたけちゃんは、言葉とは裏腹にいつも満足そうな顔をしている。でもね、あたしだってたまには嫉妬しちゃうんだ。早く帰ってきてよ、この楽団の素敵な音楽を一緒に聴こうよ、って。
たまには早く帰って来いよな。
気がついたらあたしは口に出してそう呟いていた。いけないな、最近愚痴っぽくなって来ている。でもね、あたしはあなたと少しでも長く過ごしていたいんだよ。
早く帰ってきてよ。
早く帰ってきてよ。
早く帰ってきてよ。
あたしの息が、窓にかかって、窓は少し白く曇った。
じゃないとあたし、金麦先に呑んじゃうから。
そうやって呟いた瞬間だった。
家の扉がぎいっと音を立てて開いた。凍てついた外気が中にも少し入ってくる。あたしの心の中にも。それは、すごく象徴的だった。扉が開いたのだ。家の扉も。あたしの扉も。
ただいま。
たけちゃんは寒さで少し顔を赤らめながら家の中へ帰ってきた。あたしは、すぐに笑顔を作れなかった。待ちぼうけて、少し愚痴っぽくなっていた表情を崩せずに、少し怒ったような表情になってしまった。
おかえり。
笑顔を作りきれないままで、あたしはそう言った。言ってしまったら、どこかから笑顔がやってきた。あたしはもう一回言った。
おかえり。
開きっぱなしになっていたあたしの扉の隙間から、とびきりあたたかな風が一陣、舞い込んだ。
(続く?)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
という事である。
以上の流れからもわかるように、れいちゃんは随分と人間臭くなってきている。それは彼女に芽生えた独占欲と嫉妬の為だ。
嘗て仏陀(釈迦)はこう言った。
交わりをしたなら愛情が生じる。
愛情に従って苦しみが起こる。
愛情から禍いが生じることを知って、
犀の角のようにただ独り歩め。
(スッタニパーダより)
れいちゃんの感じている独占欲や嫉妬、そういった禍いの源泉は全て愛情から生まれ出ずるものであったのだ。無論、他でもない私に向けられた愛情である。
れいちゃんは恋人から妻となり、少し変わった。しかし、その変化をもたらした要因が、他でもない愛情の所以であったとするならば、私は何を絶望する事があろうか。彼女のそうした変化を大きく受け止める事こそ、前田慶次郎利益に比類する傾奇者たる私の務めであろう。
れいちゃん、ごめん。
なるべく、早く帰るようにする。
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コメント
好戦的なコメント、読んできました。
いや~、いいね!
てか、そこがおもしろくて日記本文を読み飛ばしてしまいました(笑)
投稿: torii | 2008年1月31日 (木) 00時26分
toriiさんへ
なかなか面白いですよね。読み直せば読み直すほど、スルメのように滋味が増す。秀逸です。
いや、本文読んで下さいよ!!一生懸命書いたのに!!!
投稿: ふくしまたけし | 2008年1月31日 (木) 01時41分
かれこれ半年以上前からこちらのブログを拝見したり、こっそり演奏を聞きに行ったりしてる、ストーカーのような隠れファンである。はじめまして。
私はこのブログが好きである。
また、ふくしまさんのピアノが好きである。
色んなことを言う人もいるだろうが、気にせずに頑張って欲しいと切に願う。
なお、ふくしまさんの過剰な期待や過大な妄想の未然防止のため、私が男であり、男にそういう興味はないことをお伝えしておく。
最後に、休肝日の必要性と、人生意外となんとでもなるし、なるようにしかならないので、深く考えることの不必要性を指摘させていただき、私の駄文を終える。
GOOD LUCK!
投稿: CLOURSETOUE | 2008年1月31日 (木) 12時29分
おお、励ましのコメントが…。
ということで私もたけちゃんへ励ましを…。
私もこのブログ好きです!(告白)
演奏はいつか絶対聞きに行こうと思ってます!!
(東北遠征に来てください…。)
福本伸行氏最高っすね!!(関係ない?)
フレー、フレー、たけちゃん!!
れいちゃんの怒ったあとの笑顔がス・テ・キ♪
そのうち
ひとりで金麦飲んだくれて待ってたりして。
投稿: りん | 2008年1月31日 (木) 13時02分
CLOURSETOUEさんへ
コメントありがとうございます。あの、アレですね、こういうコメントいただくと、何だかアレですね、すごい、アレです、ちょっと、嬉しいっていうか、何か、アレですね、勇気付けられます。ホント、アレなんですけど。ええ。あの、ありがとうございます。
投稿: ふくしまたけし | 2008年2月 1日 (金) 22時36分
りんさんへ
こちらもありがとうございます。嬉しいっす。
東北方面は、ねえ、行きたいですね、演奏の仕事で。少し考えてみようかな。
新CMはいずれ、
あらしぃ~、きんむいのんだくれれるからぁ~
とベロベロのれいちゃんが登場する展開を望みます。
無論、その後はアル中病棟より、ですよ。
投稿: ふくしまたけし | 2008年2月 1日 (金) 22時39分
いきなり自分の脈絡のない話ですが、檀れいさんの次回のCMでは、是非金麦で飲んだくれたキッチンドリンカーになっててほしい
当然、その次のCMは「一人酒乱」
だめかなぁ。
コントとしてはいい感じだと思うのですが。
注1 ワタシは単なる映像コント好き
注2 ワタシにとって檀れいさんは芸能人でちゃんとファンになった初めての女優さんです
投稿: あー | 2008年2月 2日 (土) 22時35分
あーさんへ
確かにその設定だとコントになってしまいそうですけど、かなりシリアスに考えてみたいところですね。ぼくも次回妄想作としてシリアスに考えてみます。
わかってはいた。いけないとわかってはいたのだけれどあたしはほとんど無意識に手を伸ばしてしまった。目の前のその無機質な缶に。
みたいなトーンで。
投稿: ふくしまたけし | 2008年2月 5日 (火) 01時04分